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SaaS GIANTたちの始まり学②マネーフォワード編

こんにちは。

前回に引き続き、「SaaS GIANTたちの始まり学」をテーマにnoteを書きました!

『SaaS GIANTたちの始まり学』
wayback machineという過去のHPを閲覧できるサービスを使い、巨大SaaS企業の「始まり」に遡ることで、サービスの変遷やそれに基づく企業戦略を読み解いていきます!

第一回ではSmart HRについて取り上げています。よろしければそちらの記事もご覧ください。

今日取り上げる企業は、家計簿アプリやクラウド会計ツールを提供するマネーフォワードです。

マネーフォワードについて
・2012年5月創業で9期目
・家計簿アプリマネーフォワードMEは950万人超え!
・クラウド会計ツールMF会計はユーザー50万人超え
・4回で40億調達ののち2017年9月に上場

マネーフォワードは、創業者の辻さんの「個人がお金というツールを自由に扱えるようになることで、お金に対する悩みや不安をなくしたい」という想いから設立され、個人・法人問わずお金に関する様々なサービスを提供している企業です。
今回wayback machineで過去のHPを閲覧する中で、そんなMoney Forwardに一貫してある理念が、サービスの変遷を通して垣間見えたような気がしました。皆さんもぜひこの理念を念頭に置きながら読んでみてください!

それでは早速、マネーフォワードの「始まり」に遡っていきたいと思います!
(今回はtoC向けサービスである家計簿アプリ「Money Forward ME」を中心に見ていきます。)

【2012/5/18】創業

創業当初のマネーフォワードは「マネーブック」という家計簿をシェアするアプリを作っていました。「家計が上手い人の家計簿をシェアすれば、お金の使い方がうまくなるのではないか?」という考えに基づいたサービスです。まさしく「個人がお金というツールをうまく扱えるようになる」という理念通りのサービスでした。しかしこのサービスががうまくいかず、創業半年のタイミングで家計簿アプリにピボットします。

【2013/1/23】家計簿アプリ「Money Forward」をリリース

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家計簿アプリ「Money Forward」がリリースされました。現在はMoney Forward ME」というサービス名ですが、当時は社名と同じシンプルなサービス名になっています。

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『「ソニー銀行」「アメリカン・エキスプレスカード」がご登録いただけるようになりました。』など、提携金融機関を着々と増やしている様子が伺えます。マネーフォワードシリーズの一番の強みといえば、提携金融機関の多さですが、この頃からの地道な積み重ねによって成り立っています。この時点では、銀行15サイト、証券9サイト、年金3サイト、カード19サイト、ポイント5サイトの計51サイトからデータを取得することが可能だったようです。

【2013/8/18】プレミアムサービススタート!

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メルマガ

リリース約半年でプレミアムサービス(有料会員)がスタートしました。
「正しいお金の育て方」をテーマにしたメルマガ、収支の予測機能や月毎のレポートなどの機能がついて月額500円です。メルマガは、プレミアム会員から募ったお金に関する疑問に、専門家が答えるという形式だったようです。

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HPのUIも大きく変わり、
○facebookアカウント、Googleアカウントの連携
○ユーザーの口コミ
○対応金融機関の一覧
がHPのトップ画面に掲載されるようになりました。これらが前面に押し出されることによって登録へのハードルが下がったような気がします。

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そして、「金融機関ランキング」というサービスがスタートしました。金融機関の口コミを集め、ランキングとして公開し、手数料などのスペックなども比較できるようになっています。(スタートしたばかりなので口コミ2件で1位になっているのが面白いです。)
HPに載っている創業者の辻さんの挨拶の中に以下のような文言があります。

特定の金融機関によることなく、中立的な立場で、真のユーザー目線で、ユーザーの問題を解決するようなサービスを提供することで、マネーフォワードが、個人のチャレンジを間接的にサポートすることができるのではないか、と考えています。

このサービスも、利用者から多くの口コミを集め公開することで、金融機関の中立的な口コミプラットフォームを目指していたのかなと、想像してみたり。。

また、「口座開設はこちら」というボタンがあり、ここから口座開設を行うと金融機関からマネーフォワードに成果報酬が支払われるようです。新たなマネタイズ方法でありながら、連携金融機関を開拓していくフックにもなっていたと考えられます。

【2013/11/28】クラウド会計リリースの告知

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11月末になると、クラウド会計のβ版リリースの告知が掲載され始めました。マネーフォワードはこの1ヶ月前の10月に5億の資金調達を行なったばかりで、調達した資金はMF会計の開発にあてられたことが伺えます。法人向け会計ソフトには外せない3月の確定申告シーズンに間にあわせるために駆け込みで開発を始めたようです。

【2013/12/2】クラウド会計ソフトマネーフォワードFor BUSINESSのβ版リリース

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マネーフォワード  For BUSINESS(現MF会計)のβ版がリリースされました。β版は無料で、正式版以降、個人事業主プランは980円/月、法人プランは1980円/月という料金プランでした。
家計簿アプリで既に金融機関を開拓しており、リリース当初から1200社以上と連携していたことが大きな強みとなっていたのは間違い無いでしょう。

【2014/3/17】家計簿アプリMoney Forward、「保険の見直し」機能追加
(HPが少し崩れています。ご了承ください。)

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クラウド会計から家計簿アプリに戻ります。リリース1年ちょっとで、家計簿アプリMoney Forwardに保険の見直しをサポートするサービスが追加されました。ブロードマインド株式会社、保険マンモスなどといった企業と提携し、自宅や店頭で保険の見直しについて相談ができるサービスのようです。「金融機関ランキング」と同様に、このページから保険の相談をすると成果報酬がもらえるような仕組みになっていそうです。

【2014/12/18】HPのUI刷新

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⬇︎変更後⬇︎

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リリースから約2年で利用者数が180万人を超え、HPのUIもリニューアルされました。以前より統一感が増して洗練された印象になっています。

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⬇︎変更後⬇︎

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口コミは、1枚目のような人のアイコンから顔写真付きのものに。実際の人物写真になると一気に説得力が増しますね。

また、サービス開始から9ヶ月ですが保険の見直しサービスがなくなっています。ユーザーにとって必要ないと判断された機能はどんどんなくなっていくのがマネフォ式のようです。

【2016/9/29】400万人突破&お金のサービスランキング消滅
(HPが少し崩れています。ご了承ください。)

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リリースから約3年半で利用者数が400万人を突破しました!

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また、ページの最下部が1枚目から2枚目のようにかわり、3年間続いていた「お金のサービスランキング」機能がなくなっています。口コミが集まらず、うまくいかなかったのかな…

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と思いきや、なんと約2年後の2018年5月(正式ローンチは12月)に「Money Forward Mall」として復活しています!家計簿サービスからは一度切り離し、独立したブランドとして生まれ変わったようです。

【2017/3/11】プレミアムサービスから専門家のアドバイス機能がなくなる
(HPが崩れています。ご了承ください。)

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プレミアムサービスからお金のコンサルのメルマガもなくなりました。しかしこちらもサービス自体がなくなったのではなく、家計簿アプリから切り離され、「経済メディアMONEY PLUS」や「Money Forwardお金の相談」など別のサービスに役割を吸収されていったようです。

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家計簿アプリ「Money Forward ME」/ 金融機関の比較サイト「Money Forward Mall」/ お金のメディア「MONEY PLUS」/ 自動貯金アプリ「SiraTama」/ フィナンシャルプランナーへの無料相談「Money Forward お金の相談」/ お金の体質改善「Money Forwardおかねせんせい」

現在の6つの個人向けサービスです。上で見たように、家計簿アプリで生まれたサービスが独立するなど、サービスと機能が1:1対応するようになっています。各機能が一本化されていることで使い始めやすいのはもちろん、ユーザーが自分に必要なサービスを選べるので、必要な人に適切な量のサービスが届きますよね。

【2019/1/9】サービス名変更&HP大幅リニューアル

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2018年末には、ブランディング強化と各サービスのミッションの明文化を目的としてサービス名が「Money Forward」から「Money Forward ME」へと変更されました。「Money Forward ME」の「ME」には、「私」「個人」の意味が込められており、冒頭で述べた創業者である辻さんの「個人がお金というツールを自由に扱えるようになることで、お金に対する悩みや不安をなくしたい」という理念が一貫して反映されていることがわかります。

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⬇︎リニューアル後⬇︎

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リブランディングとそれに伴うHPの大幅リニューアルによって、情報量は半分以下に。情報密度をグッと下げることによって、サイト訪問者の理解度をあげ、離脱者を防いでいました。

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以上でマネーフォワードのHPタイムトリップ、終了です!
リリース時からHPを遡り、わかったことは以下の通りです。

まとめ
①一貫したビジョンに基づくサービス立案
②筋の良いサービスは独立させ1つのサービスに対して1つの機能を徹底

HPを追っていく中で、マネーフォワードの価値観が強く伝わってきて、とても素敵な企業だな〜と惚れ惚れしてしまいました。直近も、コロナの影響下でお金について悩むユーザーと様々な手法でコミュニケーションを深めているようです。一貫した理念はこういった非常時にこそ強さを発揮するのだな、と思いました!
私も4月に社会人になったばかりなので、まずは「Money Forward ME」を使って見ようと思います!

ここまでお読みいただきありがとうございました。訂正や異議あり!などございましたら、ぜひコメントしてください!
他の企業についても随時更新していく予定ですので、いいねの方も待ってます!

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