大学教員の採用人事を知る6―応募の仕方編

今年度も公募戦線がひと段落してきた。団塊の世代大量退職の影響だろうか、今年は(今年も?)非常に多くの公募があったように思う。若手研究者の諸君は、何としてもこの時期にアカポスを手に入れてほしい。

私は今年も採用人事を担当した。他のシリーズを読んでいる読者はすでにおなじみのことであるが、やはり一番はじめの審査は様々なフィルターによる「足切り」だった。今回のフィルターは、他のシリーズ内で言及しているもの全てが当てはまり、書類審査の前に一気に6割以上が落とされてしまった。

そのあともシリーズ内で言及したとおりに審査が進み、採用された方はおおむね本シリーズの指南通りの方であった。特に「面接」では、本シリーズを読んでいたのかと思うほどの出来栄えであった。文句なしに第一位であった。

その一方で、面接に呼んで「なぜ応募したのか?」と問いたくなる応募者も少なくなかった。年齢が若く、これから公募の経験値をあげたいと考えている若手なら救いようがあるが、これまでにたくさん公募に出してきたであろう中堅どころの方もいた。応募するのは本人の自由なので構わないが、さくっと応募者リストから除名しながらも一瞬彼らの将来を心配してしまう。なぜなら、このままでは絶対に受からないからだ。何通出そうが、どんなに業績をあげようが、絶対に受からないからだ。

この記事は、公募に出す際に絶対にやってはいけないことなどの注意点をまとめたものである。これまでも一定数あるにはあったが、今年度は少し多かったように思われる。これも、問題の根幹はシリーズ内で言及した指導教授の問題かもしれない。いずれにしても、あまりにも無残な散り方をする応募者が絶えないことに、毎年心を痛めている。この記事に書くことで、そのような応募者が一人でも少なくなることを祈っている。

特に、履歴書の「学歴」「職歴」の書き方例、業績欄に書くべき業績、も記載している。これに悩む応募者も少なくないと思うので、ぜひ参考にしてほしい。

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