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クオリティーがブッチぎりのオラオラレストラン

2019年8月15日 椅子取りゲームに参加するぐらいなら、自分で椅子を作るよ

おはようございます。
昨日、レンタル会議室『ZIP』(大小ふたつの部屋があるヨ)で映画の会議が入っていたのに、「大会議室」の予約をとることを忘れていた須藤くん。
「大会議室」が何者かによって丸一日おさえられてしまっていたので、しぶしぶ「小会議室」で会議をすることになり、現場に来てみると、使われているハズの「大会議室」が使われておりません。
気になって『ZIP』の運営スタッフに問い合わせてたところ、大会議室を予約していた人の名前が『吉本興業 須藤』。
そうです。
会議室をおさえることを忘れていたのではなく、会議室をおさえていたことを忘れていた須藤くんをマネージャーに持つキングコング西野です。

さて。
今日は『良いTVタレント』について書きたいと思います。

吉本興業にはNSCというタレント養成学校があり、僕の時代は年間1500人ぐらいの生徒が在籍。
その中の極一部が生き残り、
その中の極一部が劇場の出番を獲得し、
その中の極一部が世に出てきて、
その名の極一部が何年間も世に出続けるわけですが、
その極一部中の極一部がボクです(ウーマン村本風)。

まぁ、おおかたの想像通り、そこにはとんでもなく熾烈な競争があるわけですね。
当然、脱落者が大量発生するわけですが、そこで業界から足を洗う人もいれば、「構成作家」として再起を図る人もいます。

「構成作家」というのは番組の企画を考えたりする人のことです。
TVの世界に飛び込んで、最も違和感を覚えたのは、芸人の競争に負けて、構成作家として再スタートをきり、2~3年も続けると、いつの間にやら『芸人を使う側』になっていて、「あの芸人は使いにくい」「あの芸人は使いやすい」という言葉を口にするようになります。

本当に優秀な構成作家もたくさんいらっしゃるのですが、当然、そこそこポンコツの構成作家さんもたくさんいらっしゃって、ですが、そこそこポンコツの構成作家でも、構成作家になった途端、『芸人を使う側』にまわるんです。

本末転倒の極みは「上手くまわっていないコント番組」です。

芸人時代に台本を書く勝負で負けた構成作家(もしくは台本を書いたこともない構成作家)が、マイナス30点ぐらいの台本を書き、
マイナス30点ぐらいの台本に合わせて美術セットが組まれ、
「美術セットを組んだ以上は撮らなきゃいけない」という状況で芸人はお粗末な台本を渡され、
そこから可能な範囲で手直しをして、
マイナス30点ぐらいの台本を、どうにか60点ぐらいまで押し上げて、ギリギリ放送する…という流れは珍しくありません。

この流れに対して異を唱えようものなら、「アイツはイタイ」「使いづらいタレントだ」と烙印を押されてしまうので、多くのタレントは、どれだけ酷い台本でも何も言えません。

そして、設計図に欠陥があろうが、黙々と設計図どおりに仕事をこなすタレント(大工)が、TVの世界では『良いタレント』とされてきました。

TVの世界では、「この設計図を誰が一番上手に形にするの?」という椅子取りゲームに参加させられてしまうのですが、そもそも設計図に欠陥があると大きなビルは建てらません。
(※くれぐれも言っておきますが、「素晴らしい構成作家さんはたくさんいらっしゃって、中にはポンコツ作家さんもいらっしゃる」という話で、構成作家批判ではなく、「タレントは立場上、ポンコツ作家のダメ設計図を形にする仕事を求められることがある」という話です)

こういったシステムの矛盾に対して愚痴っているだけの人間にはなりたくないので、TVに出なくても生きていける身体を作って、「その設計図だとできません」という交渉ができるようになろうと思い、行動し、今に至ります。

少し先になるので、まだ内緒にしておいて欲しいのですが、今度『ボクらの時代』(フジテレビ)という番組(3人だけでトークをする番組)に、キングコングとピース又吉君と三人で出演します。
興味深いのが、三人とも「TVに出なくても生きていける身体」を作っているメンバーで、「その条件なら出れません」という手札(交渉権)をチラつかせる、一昔前だと『使いづらいタレント』です。

同じ世代だと、ロバート秋山君や、オリラジ中田君や、渡辺直美ちゃんなんかも、交渉権をチラつかせるタレントに入るのかもしれません。

もちろん、キチンと仕事内容を飲んでくれて、収録を始めてしまえば、「使いづらい」どころか、最高のパフォーマンスをしてくれる人達です。

TVの視聴率が落ちてきて、
広告費が落ちてきて、
TVのターゲットが年輩層に絞られてきた今、
一昔前の『使いづらいタレント』が俄然輝きを増してきたように感じているのは、きっと僕だけではないハズです。

彼らが総じて言っているのは、「椅子取りゲームに参加するぐらいなら、自分で椅子を作るよ」で、TVタレントは、『良いタレント』を定義する立場にある人間の力が、ここ2~3年で大きく落ちてきていることを把握しておかないと、「椅子取りゲームに数年を費やした結果、座り心地の悪い椅子しか残って無かった」という現実に直面することになるでしょう。

皆さんのお仕事にも当てはめて考えてみてください。
現場からは以上でーす。




2019年8月16日 とはいえ、時と場合によるよ

おはようございます。
この、食に1ミリも興味がない男ですら、この度のN国党の不買運動のおかげで崎陽軒のシウマイ弁当を食べたくなっているキングコング西野です。

さて。
先日、映画『えんとつ町のプペル』の制作会議の中で、少し面白い“やりとり”がありました。

映画『えんとつ町のプペル』は、町中から「ホラ吹き者」だとバカにされ続けた「ブルーノ」(=煙突掃除屋の少年ルビッチの父親)が作った「えんとつ町のプペル」という“紙芝居(おとぎ話)”が、ストーリーの軸にありまして、映画のラストシーンでは、この紙芝居がブルーノの講談師さながらの声で読み上げられるんですね。

んでもって僕はブルーノの声優を「立川志の輔師匠」にお願いしようと思っています(まだ、オファーは出しておりませんが、絶対に口説きます)。

一流の落語家さんの声は『楽器』そのもので、ピアノの音色やフィドルの音色を聴いたら泣けてくるように、僕自身、立川志の輔師匠が泣かしにかかる時の落語の終盤に畳み掛けてくる『声』に、毎度、泣かされちゃうんです。

これはきっと「自分が劇場生まれの芸人だから」という理由が多分に関係していて、フラットな気持ちでは判断ていないと思うのですが、「劇場生まれの芸人が作る映画なのだから、それでいい!」と言い聞かせています。

一方で、制作会議では「ラストシーンを“噺家さんの語り”でいくのはどうだろ? もっと大衆に向けた方が…」というフラットな意見も出ていて、それに対してアニメーションスタジオ『スタジオ4℃』の田中社長は、「とはいえ、『えんとつ町のプペル』は夢を語って日本中から迫害を受けた西野亮廣や、今まさに西野亮廣のような目に遭っている人達の物語で、この“語り”は西野亮廣が色濃く出ている部分だから、大衆的ではないかもしれないけど残すべきだ!」と主張されました。

どちらの意見も正解だと思います。
最後は、「国内は西野亮廣の物語で巻き込みましょう。ただ、海外は、噺家の声も知らないし、西野亮廣の物語も知らないので、海外で出す時は海外に伝わる方法をキチンと探り、その選択を『逃げ』というのは辞めましょう」ということで、なんとなくまとまりました。

普段、エンターテイメントを『レストラン型(一方通行型)』『BBQ型(お客さん巻き込み型)』で分けて、どちらかというと僕は『BBQ型』を面白がっていたりするのですが、当然、戦う場所によって戦い方はあって、「巻き込み力」が機能しない場所(海外)であれば、これはもうクオリティーがブッチぎりのオラオラレストランを展開するつもりです。

ポーズとして『BBQ型(次世代エンタメ)の旗手』みたいな感じで表には立ちますが、「晴れの日はBBQ会場に招待するけど、雨の日はレストランに招待するよ」という話です。

今日は東京キネマ倶楽部で舞台『テイラーバートン』があります。
演劇をカラオケ化(誰でもカジュアルにやれる化)する為に、予算や演技や演習の再現度を限界まで上げてみました。

役者は、演劇超ド素人の「ホームレス小谷」。
「小谷でやれるのだったら、私でも」と思ってもらう為です。

きっと、いきなり本番を迎えると緊張で潰れてしまうと思うので、ゲネリハ(本番直前のリハーサル)からお客さんを少し入れて、ゲネリハどころか当日の稽古からお客さんを少し入れて、客前で演技することに少しずつ慣らせていって、本番を迎えます。
まるで介護のようです。

これは、あくまで国内(しかもサロンメンバー向け)にお届けするエンタメであって、海外では、こんなことはしません。

普段、「今はBBQ型だー!」と言っている責任はそれなりに感じていて、今はBBQ型だというのは確かだとは思いますが、そこに、「とはいえ、時と場合によるよ」という一言を添えておきたいと思います。

そんなこんなで今日は『テイラーバートン』。
会場の物販ブースで脚本(1000円)も販売しているので、是非ゲットして、演劇にチャレンジしてみてください。

エンターテイメントの総量が少しでも増えることを心から願っております。
現場からは以上でーす(*^^*)

【追伸】 
いつもコメントありがとうございます。
なかなか全員に返信はできませんが、必ず全て読ませてもらっています。好きです。

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