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初めての災害支援に大切な3つのこと

①現地支援同様に後方支援(≒ロジ)も精神的な負担は大きい
②支援の成果を比べない
③自治体職員自身も被災者である

災害支援の専門的なトレーニングを受けている方は不要の情報ですのでスルーして下さい。こちらは、主に民間組織での災害支援を行う方向けの情報です。

初めに、お前は何者と思う方へ簡単に自己紹介をさせて頂きます。
私自身は、東日本大震災で初めてボランティア活動を行いました。その後、リハビリテーション専門職の災害支援組織を仲間と立ち上げ、最大被災地である宮城県石巻市の支援活動を行い、その後に移住し起業しました。

「にっぽんリハビリ応援団」H23.11.8放送

初めての災害支援活動で、医療系団体、NPO団体、行政機関など様々な組織と連携しながら、避難所、在宅被災者、仮設住宅の支援などを行ってきました。具体的には、現地の代表として直接支援、間接支援などあらゆることを担ってきました。これらの経験から、今回記事を作成しました。

①現地支援同様に後方支援(≒ロジ)も精神的な負担は大きい

災害支援では、現場にいなくても想像以上に後方支援(≒ロジ)担当者の精神的負担は大きいです。

今回初めて災害支援を経験する方は、ヘルプや交代を躊躇しないで下さい。後方支援とはいえ、活動中は極めて気づきにくいです。

プロジェクトの代表者やコアメンバーの方は、複数名でチームを組んでお互いの体調やメンタルを内省する機会とサポートの機能を作ってください。

災害時の支援者支援マニュアル,災害派遣精神医療チーム(DPAT)の機能強化に関する研究
災害時の支援者支援マニュアル,災害派遣精神医療チーム(DPAT)の機能強化に関する研究

災害支援では現場が優先になりがちですが、後方支援(≒ロジ)がいなければ孤軍奮闘に陥り、結果的に継続が困難になります。同様に、現地支援者も現地に没頭していると、いずれ疲弊していってしまいます。

それぞれが孤立しないように、チームとして支え合える体制の構築をお願いしたいです。

②支援の成果を比べない

災害支援の現場では、経験豊富な方やトレーニングを受けた方、また平時より制度の狭間の方の支援やマジョリティー支援の開拓者など沢山います。

当然、被災された方の支援をしたい思いで現地に入ります。その思いとは裏腹に、初めは思うように行かないことがほとんどです。それによって、自分に焦燥感や罪悪感が生まれるかもしれません。さらに、思うような成果が上がらないことによって、他の支援者や支援団体の妬みを覚えるかもしれませんが、そうなっては本末転倒に陥ります。

例えば、以下のような事が考えられます。

  • 支援が必要な人がどこにいるか?

  • 何を必要としているか?

  • 物資は足りているか?

落ち着いて考えると分かるのですが、思うように行かないこと自体が、災害の深刻さを表していますし、それが貴重な情報です。現地に行くのは直接的な支援の側面がありますが、必ずしも被災者に直接支援することだけができることではありません。

それよりも、日々の出来事や情報の記録、そして共有が極めて重要です。これらは、とても地味です。しかし、着実に被災された方の支援につながっていきます。平時では情報が整理されていますが、災害時はそれが全くない状態から始まります。それぞれが持っている情報を共有することで、現地の被害が立体的に浮かび上がります。それによって、今必要な支援や物資、そしてこれからの支援につながります。

災害支援は短距離走ではなく、リレーのようなイメージです。バトンを次へ繋ぐイメージが重要です。

③自治体職員自身も被災者である

被災地で最も苦しい状況にいる属性の一人が自治体職員です。自身や家族も被災しながら、住民、支援者の対応を行っています。時には、住民や支援者より罵詈雑言を受けることもあります。さらに、県や国から平時の何倍もの業務がもたらされ、オーバーワークは当然、バーンアウトのリスクが極めて高くなります。

リスクファクター(職場でのコミュニケーション、不十分な休息、家族の行方不明や死、自宅外での生活経験)を抱えている場合にはストレス反応が高くなる一方でリスクファクターは長期的なストレス反応の軌跡に影響を与えない。さらに、職場でのコミュニケーションの量がストレス反応の低減に最も影響を与える。

【研究】「東日本大震災における行政職員の心理的ストレス反応の軌跡」Nature関連誌に掲載/平泉拓助教 共同研究

最も重要な役割を持っているのは、一人一人の自治体職員です。災害時に支援者は、自治体職員の対応に対して不平不満を言ってはなりません。彼/彼女たち自身も被災者であることを忘れてはなりません。


災害時の支援者支援マニュアル,災害派遣精神医療チーム(DPAT)の機能強化に関する研究

もし、それが難しければ支援活動から撤退するべきです。

問題は人ではなく災害であり、対象を間違えてはならないし、支援の目的を見誤ってはなりません。


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