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質感のアルバム

また部屋にボールがあふれてきてしまったので、無印良品のケースを10個買い足した。朝、置き配でドカッと届いて、さっそく部屋にセットする。ボールを収納して、すっきりとした。特にビーンバッグをつくりはじめてからというもの、部屋にある道具の体積は増えつづけるばかりだった。

埼玉の実家も、東京の自宅も、部屋のなかは無印良品のケースでいっぱいだ。工房とか、アトリエのような、木や自然の雰囲気があるいい感じの部屋にして、さっと道具づくりの風景を撮影できたりしたら、仕事の宣伝にもなっていいんだろうなーと思うけども、結局、無印良品のケースで壁が埋まってしまう。これ以上買い足すことはやめようと思っていたけど、今回、もう諦めた。むしろ、これが僕のスタイルに合っているんだ、と思えてきた。

朝起きて、部屋に入ると、僕は、千個以上の道具に囲まれる。そしてそれが、昨日書いたように「ひとつひとつ違うものだ」と考えると、怖いくらいものすごい情報量に囲まれている。生き物に囲まれているみたいに。中身を詰められるのを待つ空のボールもあれば、すでに自分が充分に手を加えた道具もある。人とコラボレーションして生まれた道具もあれば、ただ単に自分がつくりたくてつくってみた道具もある。ピザの生地もあれば皿回しの棒もある。昔のものも、今のものもある。これは僕の、質感の、アルバムなのだ。ちょっと気持ち悪いかもしれないけど(笑) そう考えて、無印良品のケースに囲まれた部屋を、ようやく肯定できたような気がした。

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