たぶん仮面うつだったことを思い出した

最近「うつ」だったんだと思った。

病名として診断されたわけではないし、おそらくきっとそうだってことでしかない。

「仮面うつ」っぽい。

ぼくは元気だ。精神的に病んでいる、なんて誰からみても思われない。明るく振る舞えるし、無理をしているわけでもない。家を出れなくなることもない。

ただ身体にすべてが出る。1人の時、何もできなくなる。

これだけ、だった。

大学生の頃は部員に散々いじられて、監督に怒られて、そして就活にはみんなが受かっていく中1人だけ失敗し続けた。(最後の最後に拾ってもらえて本当にありがたかったです。)

気がついたら、過敏性腸症候群になっていた。IBSと言って、仮面うつの症状とも呼ばれることも多いらしい。

症状としては、万年の下痢で固形では出てこなくなっていた。消化されにくいキノコ類やコーンはほぼそのまま出てきた。朝食べたものが昼には出ている。

目の痙攣も止まらなかった。ずっと瞼が震えていた。

咳をしたら、血痰が出てきた。

朝起きたら枕元に大量の髪が抜けていたこともある。円形脱毛症にならなかったのは不幸中の幸いだったのかもしれない。

シュートを打つ手が震えて、リングに当たらなくなった。イップスだったのかもしれない。

ストレスには弱く、たぶんプライドは高かった。けど、ちゃんと自尊心があった。

だから辞めなかった。辞め方を知らなかったのほうが、あの頃は正しかったように思う。

それまでちゃんと愛されてきて、できることがあることがわかっていた。こんなもんじゃないとも思っていた。その時もちゃんと愛してくれる人がいたし、それに僕は僕自身を愛せていた。

もしかすると、だから「仮面うつ」になったのかもしれない。

大丈夫だったけど、大丈夫じゃなかった。

大丈夫だと思えてしまうから精神的にはある程度大丈夫だけど、身体は嘘をつけなかった。

転職してベンチャー企業に勤めた時は、さすがにキツすぎて仕事を辞めた。

毎日終電まで働いて、会社で寝たこともある。休日に社長からくる連絡で、胃が痛くなった。それからは携帯の通知音が鳴るたびに思い出す。少しずつ気にならなくはなってきたけれど、今でもトラウマとして残っている。

大学時代と同じような症状が出ていたし、毎朝吐いていた。みるみる痩せていって、最大83kgあった体重も、60kg代まで落ちていた。あった筋肉もなくなっていった。

写真を見返すと、明らかに顔色が悪くて、目つきも良くなかったように思う。

家で1人だと、何もやる気にならない日々。

もはや、それが当たり前になっている。

やらなきゃいけない時だけはできて、家では何もできない。

妻さんと2人だから、家事とか生きるためにやるべきことが生まれて、それはやれている。

やらなきゃいけない状況だけは、元気にできている。なんとかやっているに近いのかもしれないけれど、できる。

僕はメンタルが弱いけど、身体が反応していてくれて、愛してくれる人がいたから、やらなきゃいけないことだけはできる状態が保たれ続けていた。

そういうサイクルに知らぬ間に入っていけていたから、ありがたかった。

でも、だから気づかない。気づけなかった。

僕は1人の時間が短かかった。

だから今回福岡に引っ越して、1人になって、何もできなかった。仕事に行けてたけど、休日は何もする気が起きなかった。ただぼーっと寝転んでいた。

辛くて、しょうがなくて、涙を流して妻さんと電話をした。

「泣いてるの、9年一緒にいて2回目だね」と言われた。

仮面うつ。

いったん今も、これからも、きっと何もできない。1人だったら。

そういう自分と付き合っていくんだろうし、そういう自分でもできるやり方を続けていくしかないんだと思う。

早く帰らなくちゃ。

僕はなんとかやれる。

帰るところがあって、よかったと思う。


あとんす!きっとうまくいく