見出し画像

クラブW杯2023への出場条件を解説する | 浦和レッズサポ日記 #3

2021年からアメリカ留学中(NY在住)のトップです。

浦和レッズが既に決勝進出を決めているAFC Champions League 2022ですが、西地区のベスト4が出揃いました。サウジアラビアから2クラブが準々決勝に残っていることから、浦和レッズのFIFA Club World Cup 2023への出場がもうすぐ決まるのではと言われています。

今回は、FIFA Club World CupとAFC Champions Leagueのレギュレーション(大会運営規則)を読んで、浦和レッズが置かれている現状を整理した上で、どのような条件でFIFA Club World Cup 2023への出場が決定するのかを解説します。

この記事のまとめは以下のとおりですので、お時間のない方はここだけでも読んでいただければと思います。

FIFA Club World Cup 2023は、12月にサウジアラビアで開催
・ACL 2022で、開催国サウジアラビアのクラブが優勝した場合、準優勝クラブが「開催国枠」でクラブW杯に出場
・2月23日に行われるACL 2022の準々決勝(西地区)でサウジアラビアの2クラブが勝利した場合、浦和レッズのクラブW杯出場が決定
・2月26日に行われるACL 2022の準決勝(西地区)でサウジアラビアのクラブが勝利した場合、浦和レッズのクラブW杯出場が決定
浦和レッズがACLで優勝すれば(するので)、浦和レッズはクラブW杯に出場


1. 現状の整理

  • FIFA Club World Cup 2023は、サウジアラビアで開催(1週間ほど前に、FIFAから公式にアナウンスがありました)

  • これまでと同様、各大陸王者と開催国のチームが出場

Saudi Arabia will host the 20th FIFA Club World Cup™ from 12-22 December 2023. It will become the sixth nation to stage the tournament after Brazil, Japan, United Arab Emirates, Morocco and Qatar. [訳:第20回目のFIFA Club World Cupは、2023年12月12日から22日の予定で、サウジアラビアで開催されます。サウジアラビアは、ブラジル、日本、UAE、モロッコ、カタールに次いで6番目の開催国となります。]

Saudi Arabia 2023 will feature the yet-to-be-crowned champions of the AFC, CAF, Concacaf, CONMEBOL, OFC and UEFA regions, as well as a team from the host nation. It will be the penultimate Club World Cup to feature seven sides before its expansion to a 32-team event in 2025. [訳:FIFA Club World Cup Saudi Arabia 2023には、AFC(アジア)、CAF(アフリカ)、Concacaf(北中米カリブ)、CONMEBOL(南米)、OFC(オセアニア)、UEFA(ヨーロッパ)の各地域の王者と、開催国のチームが出場します。2025年には、32チームによる大会方式に変更になるため、今大会は、7チームによるクラブワールドカップの最後から2番目の大会となる予定です。]

FIFA
  • AFC Champions League 2022は、浦和レッズが東地区から決勝(4/29、5/6)に進出

  • 西地区では、準々決勝まで終了しており、2月23日に準決勝が開催予定。準決勝第一試合はAl Duhail SC(カタール) vs Al Shabab(サウジアラビア)。準決勝第二試合はFoold Khouzestan(イラン) vs AL Hilal SFC(サウジアラビア)。

  • FIFA Club World Cupのレギュレーション(大会運営規則)は、直前に公表されるものの、毎年ほぼ変更なし

2. FIFA Club World Cupのレギュレーション(大会運営規則)

FIFA Club World Cupのレギュレーション(大会運営規則)は、直前に公表されるため、Saudi Arabia 2023(2023年大会)のレギュレーションはまだ公表されていませんが、毎年ほとんど変更はないため、つい先日行われたMorocco 2022(2022年大会)のレギュレーションを確認していきます。

(1) 参加クラブ

まず、参加クラブですが、以下のとおり規定されています。
・原則として、各大陸王者+開催国クラブの7クラブが出場(この点は、FIFAからの公式発表にも記載されており、レギュレーションの変更はなさそうです)
AFC Champions Leagueが終了していないため、AFCが別途決定するクラブがクラブW杯に出場
・2022年大会は、開催国であるモロッコのクラブがアフリカチャンピオンズリーグを優勝したため、アフリカチャンピオンズリーグの準優勝クラブが開催国枠で出場

Article 4: Participating clubs
4.1 A total of seven clubs shall participate in the World Cup 2022 (each a
“participating club”). [訳:7クラブがクラブワールドカップに出場する。]
The participating clubs shall be the winners of the following competitions or the representatives of the following confederations: [訳:出場クラブは、各大陸のコンペティションの優勝クラブまたは大陸の代表クラブとする。]

a. AFC to be nominated as per the procedure outlined in article 4
paragraph 2 [訳:AFCからは、4.2条で規定する手続に従ってエントリーされたクラブが出場する。]
b. CAF Champions League 2021-2022
c. Host/CAF Champions League 2021-2022 runner-up as per the procedure outlined in article 4 paragraph 2 [訳:開催国枠として、4.2条に規定する手続に従ってアフリカチャンピオンズリーグ2021-2022の準優勝クラブが出場する。]
d. Concacaf Champions League 2022
e. CONMEBOL CONMEBOL Libertadores 2022
f. OFC Champions League 2022
g. UEFA Champions League 2021-2022

Regulations FIFA Club World Cup Morocco 2022

(2) 各大陸のCLが終了していない場合の取扱い

クラブW杯時点で各大陸のコンペティション(CL)が終了していない場合の取扱いですが、各大陸のサッカー連盟がFIFAに対して出場クラブを推薦し、FIFAが承認することとなっています。

クラブW杯2022年大会の時点で、AFC Champions League 2022は終了していませんでしたので、AFCは、前年大会の優勝クラブであるAl-Hilal(クラブW杯2021にも出場)を出場クラブとして推薦しました

Article 4: Participating clubs
4.2
 In the event that any of the competitions listed above are not held or completed in a manner that determines a winner (due to cancellation, postponement, abandonment or otherwise), the applicable confederation shall propose to FIFA, for FIFA’s prior written approval, a club located on its territory as its participating club. [訳:各大陸のコンペティションが開催されない、もしくは終了していない場合には、当該大陸のサッカー連盟がFIFAに対し、出場クラブを推薦し、FIFAが承認する。]
The confederation shall base its proposal strictly on the sporting merits of the club and shall provide a written report to FIFA explaining the reasons for proposing the club when seeking FIFA’s approval. [訳:当該大陸のサッカー連盟は、クラブのスポーツ(競技)上の観点のみに基づいて当該提案を行わなければならず、提案理由の説明書をFIFAに提出しなければならない。]
In the event that FIFA does not approve the confederation’s proposed club, the confederation shall propose an alternative club for FIFA’s approval. …

Regulations FIFA Club World Cup Morocco 2022

(3) 開催国のクラブが大陸CLを優勝した場合の取扱い

開催国のクラブが、各大陸のコンペティション(CL)を優勝した場合の取扱いについては、
・同一のサッカー協会から2クラブがクラブW杯に出場することはできない
・開催国のクラブが各大陸のコンペティション(CL)を優勝した場合、当該CLで第2位のクラブが、「開催国枠」で出場

実際、CAF Champions League 2021-2022では、クラブW杯の開催国モロッコのWydad ACが優勝したため、同CLの準優勝クラブであるエジプトのAl-Ahlyが、開催国枠でクラブW杯2022年大会に出場しています。

Article 4: Participating clubs
4.2 … There shall not be two participating clubs from the same member association in the World Cup 2022. [訳:同一のサッカー協会から複数のクラブがクラブワールドカップ2022に参加することはできない。]

If the winner of the host confederation’s competition is a club affiliated to the Organising Association, the winner of the latest season of the Organising Association‘s top league will be replaced by the next best club in the host confederation’s competition that is not affiliated to the Organising Association and shall be appointed by the host confederation. [訳:開催国が所属する大陸のコンペティション(チャンピオンズ・リーグ)の優勝クラブが、開始国のサッカー協会のメンバー・クラブである場合、開始あ国が所属する大陸のサッカー連盟によって指定される「開催国が所属する大陸のコンペティション(チャンピオンズ・リーグ)の第2位のクラブ」が、「開催国のリーグの優勝クラブ」の枠で参加する。]

Regulations FIFA Club World Cup Morocco 2022

(4) トーナメント方式(組み合わせ)

レギュレーションでは、トーナメントの方式についても規定されています。この点は、2021年大会から大きく変更があった点で、従前は開催国クラブとして出場すると、1回戦からの出場になる上、2回戦を勝った場合に必ずヨーロッパ王者との対戦となっていましたが、2022年大会からは、1回戦からの出場であることは変わりませんが、抽選によってヨーロッパ王者の山か南米王者の山かが決まる方式になっています。

【2021年大会】
1回戦:開催国クラブ vs オセアニア王者
2回戦①:アジア/アフリカ/北中米カリブ王者(抽選) vs アジア/アフリカ/北中米カリブの王者(抽選)
2回戦②:アジア/アフリカ/北中米カリブ王者(抽選) vs 1回戦の勝者
準決勝①:2回戦①の勝者 vs 南米王者
準決勝②:2回戦②の勝者 vs ヨーロッパ王者
決勝:準決勝①の勝者 vs 準決勝②の勝者
3位決定戦:準決勝①の敗者 vs 準決勝②の敗者
5位決定戦:2回戦①の敗者 vs 2回戦②の敗者

【2022年大会】
1回戦:開催国クラブ vs オセアニア王者
2回戦:アジア王者/アフリカ王者/北中米カリブ王者/1回戦の勝者の中から抽選で組み合わせを決定
準決勝:抽選で組み合わせを決定

(5) 賞金

FIFA Club World Cupのレギュレーション自体には規定されていませんが、2022年大会の賞金は以下のとおりでした。

優勝:USD 5,000,000
準優勝:USD 4,000,000
第3位:USD 2,500,000
第4位:USD 2,000,000
第5位:USD 1,000,000
第6位:USD 1,000,000
第7位:USD 500,000


3. 浦和レッズがクラブW杯2023年大会に出場する条件の考察

2022年大会とFIFA Club World Cupのレギュレーションが同じだと仮定した場合、以下のいずれかの場合、決勝をまたずして浦和レッズのクラブW杯2023年大会への出場が決定します。
①2月23日に行われるAFC Champions League 2022の準々決勝(西地区)でサウジアラビアの2クラブが勝利
②2月26日に行われるAFC Champions League 2022の準決勝(西地区)でサウジアラビアのクラブが勝利

その場合でも、浦和レッズが優勝するかどうかによって、どの枠で出場するかが変わってきます。

アジア王者として出場する条件
・4月29日/5月6日に行われるAFC Champions League 2022の決勝で勝利

この場合には、2回戦からの出場になりますので、最低でも賞金USD 1,000,000(2022年大会の場合・現在のレートで約1.35億円)を確保、1回勝てば賞金USD 2,000,000(2022年大会の場合・現在のレートで約2.7億円)以上を獲得することになります。

開催国枠で出場する条件
・4月29日/5月6日に行われるAFC Champions League 2022の決勝で敗退
 かつ
・同決勝に西地区からサウジアラビアのクラブが進出

この場合には、1回戦からの出場となる上、レギュレーションによっては勝ち進んだとしても準決勝でヨーロッパ王者と対戦することになります。仮に1回戦で敗退した場合の賞金はUSD 500,000(2022年大会の場合・現在のレートで約0.7億円)

なお、

①FIFA Club World Cup 2023時点で、AFC Champions League 2023が終了していないため、AFCの推薦とFIFAの承認により出場クラブが決まる
②開催国クラブがACLを優勝した場合、AFCが次点のクラブを開催国枠(代替)として推薦し、FIFAの承認により出場クラブが決まる

という一応の留保はありますが、

①FIFA Club World Cup 2022にAFC Champions League 2021優勝クラブが出場したこと(AFCが、前年度ACL王者を「アジア王者」枠として推薦し、FIFAが承認したこと)
②日本で開催された2007年大会(ACL 2007の優勝は浦和レッズ)、2008年大会(ACL 2008の優勝はガンバ大阪)において、それぞれACL 2007の準優勝クラブ(セパハン)、ACL 2007の準優勝クラブ(アル・アハリ)が「開催国クラブ」枠(代替)で出場したこと(AFCが、当該年度ACL準優勝クラブを次点クラブとして推薦し、FIFAが承認したこと)

から、AFC/FIFAも先例に従う(前年度王者を次点クラブだと言い張ったりはしない)ものと考えられます。


いかがでしたでしょうか。普段は、ブロードウェイのことを中心に記事を書いています。励みになりますので、面白かった・参考になったという方は、是非、スキ、コメント、フォローをお願いします!!


この記事が参加している募集

サッカーを語ろう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?