クルクルと回る理由
最近新たに利用者になったAさんは
前通っていた施設で色々あり、笑顔がなくなり、家から出なくなった時期があったらしい。
以前外出先で見かけた、製品を販売していた施設が気になると親に漏らし
それがきっかけで事態は急変した。
急遽明日見学をしたいと申し出があり、見学をしたら施設を気に入り、見学次の日から急遽実習が入り
実習が終わってすぐに利用開始となった。
笑顔がなくなった時期があったとは思えないほど
うちの施設に来た時は初日から楽しそうにしていた。
知っている利用者もたくさんいて心強かったのもあるだろう。
Aさんは様々な活動や作業を嫌がることなく行い、行事や外出にもバンバン参加した。
施設を休むことも全くなかった。
段々と施設に慣れてきたのだろう。
Aさんは時折、クルクルと同じ場所で回りながら踊ることがあった。
自閉症ではないが、自閉症の方に見られる反復行動に似ていた。
クルクルと回る時は機嫌がいい時のような気がした。
ある日、リーダーが「それはなんのダンスなの?」と聞いた。
確かにただ回るだけではなく、手の動きが絶妙だった。
Aさん「………。」
リーダー「○○のダンス?(流行の曲)」
Aさん「違う。自分の世界に入っている時に踊る。」
私はそのやりとりを聞いて感心しつつ笑ってしまった。
まさかそんな風に反復行動の理由を説明できるとは思っていなかった。
Aさんは今日も元気に登所し、楽しそうにクルクルと回っている。
それは幸せな風景の一つだ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?