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仕事をしくじった時の思考回路

土曜日勤務が続く。
疲れがとれない。
仕事が終わらない。

持ち帰り仕事。
朝早く来て仕事。
サービス残業。

そんな日々。

 
週明けの月曜日も、いつもより早く出勤して仕事をしていた。
空は晴れていたけど、心は疲れていた。

 
月曜日は利用者とグループごとにお昼を買いに行く。

私はAグループ担当だった。
新施設長からお昼を買いに行く前に車で別のお店で買い物をしてほしいと頼まれた。

利用者によって歩くスピードがちがかったり
グループによっては車を使うことから出発時間は異なる。

 
同じお店に一度に人が集まると迷惑をかけるし
あまり早い時間に行くとお弁当がまだ並べられていないので
近場のお店に行く場合は気持ちゆっくり出掛ける。

 
待っている間、新施設長から「やっぱりBグループを担当する?」と聞かれ
私はどちらでもいいと伝えた。
今にして思えば、この時そちらを選んでおけばこんな思いをしなかっただろう。

 
他グループが出発したタイミングで私はAグループは出発しようと思った。

すると前施設長が、「私達も行きましょうか。」と言い出して
内心バカじゃないかと思った。

 
うちの施設は玄関が狭い。
みんなで一度に靴の履き替えをすると混む。
利用者は道を譲れる人ばかりではないし、むしろ我先にと行く人ばかりなのだから。

 
案の定、私達Aグループが出発前に前施設長のグループの利用者が玄関でわちゃわちゃし出した。
タイミングをもう少しずらしてくれたら違うのに、と思った。

Aグループにはふらつきやすい利用者がいたので、わざと他のグループがいない時間帯を狙ったのに。

 
内心ムカムカしながら車に向かった。
私はCさんに、助手席の後ろに乗るよう伝え、DさんがCさんの隣、Eさんは後列に乗るように伝えた。

私は後列に誰を乗せるか迷った。
C~Eさんはそれぞれに課題があり、後列に乗るには不向きだった。この車は後列が狭く、乗りにくいのだ。

仕方なく、消去法でEさんにした。

 
すると、前施設長のグループの利用者も車に乗りたがった。
この日は買い物は私達のグループだけ車で行くことになっていた。ふらつきやすい利用者がいたからだ。
だが、そんな理屈は他の利用者には通用しない。

出発のタイミングをずらせばこんなことにならなかったのに。
私はまたもため息を吐きたくなった。

 
その他のグループの利用者を対応をしている間、Eさんはいつもとは違う場所から後列に乗ろうとした。
Cさんが指定場所以外に座ったからだ。

Eさんは無理な姿勢で乗ろうとしたので足を痛めた。

 
そしてそれを見ていた前施設長から私は咎められた。

「あれじゃあ足痛いよ。乗せ方気をつけないと。」

利用者の目の前で咎められた。

 
私は言い訳をしなかったけど
内心ムカムカしていた。

言われた場所から乗らなかったCさんとEさんにも
タイミングを合わせてきた上に色々言ってきた前施設長にもイラついた。

 
だから私は前施設長がいなくなってから、Cさんを怒った。
あなたが指定場所以外に乗ったから、Eさんは無理な姿勢で後列に乗らざるを得なかった、と。

前施設長が私を咎めたように、私は利用者を責めたのだ。最低だ。

 
車内は険悪な雰囲気になった。
Eさんは足が痛い痛いと喚く。通院レベルだろうか。腫れていたらどうしよう。もうすぐマラソン大会なのに。

憂鬱だった。

 
一方、私に怒られたCさんも落ち込んでいた。
私に怒られたのもあるし、他の利用者の足を痛くさせた原因が自分だと落ち込んでいた。

ズーンと落ち込んだままスーパーにお昼を買いに行った。
お昼なんかどうでもいいから早くEさんの足を確認したい。そんな気持ちだった。

 
歩行を見るとスタスタ歩いているが
たまに「痛い、痛い。」と言うので頭が痛くなる。
私のせいだ。事故報告書レベルだろうか。

 
施設に戻ってからすぐに足を確認した。
腫れも赤みも擦り傷も何もなく、痛いと言われた箇所を触ったり、掴んでも「痛っ」とは言わなかった。

 
見た目は何もなかった。
それが逆に厄介だと思った。
メンタルからきている痛みの可能性がある。
そもそもが、前施設長が「あれじゃあ足痛い。」と発したことでその気になっている可能性さえある。

 
ご飯なんかちっともおいしくなかった。
ほとんど食べられなかった。
それはCさんも同じだ。

「ごめんなさい……足…。」

涙目で私に謝る。

 
ごめん、ごめんなさい。
悪いのはみんな私だ。
私がちゃんと伝えなかったからだ。配慮しなかったからだ。

利用者に八つ当たりして、私は最低だ。

 
新施設長から提案された時、Bグループ支援を希望すればよかった。
他の施設の車が余っていたのだから、他の乗りやすい車にすればよかった。
新施設長からあの車を提案された時、断ればよかった。

 
あの時もっと強く乗る位置を伝えればよかった。
あの時無理な姿勢で乗るなと伝えればよかった。

 
悔いても仕方ないけれど
月曜日午前中から気落ちは止まらなかった。

 
周りの同僚は利用者が大袈裟に騒いでいるだけだと、歩き方や動きを見ても足を庇う様子はないと慰めてくれたけど
それでも私は落ち込んだ。

 
新施設長から事情を聞かれて落ち込んだ。

別件で新施設長から言われてまた落ち込んだ。

 
午後は他の利用者が不穏になり、その対応をして、私は仕事中泣きたくなった。

 
リーダーがいれば、と思った。
その日はリーダーが休みだった。
もしもリーダーがいれば、きっと私の言えない気持ちや苦しみや大変さに気づいてくれて助けてくれたのに、と。

 
私は前施設長にも新施設長にも心を閉じた。
正論ばかり言う二人にはうんざりだ。
関わるとろくなことがない。

 
せめてもの救いは保護者が分かってくれたことだ。
うちの子が騒ぎすぎなだけだと、私を責めないでくれた。

 
早く帰りたいのに仕事がたまっているからサービス残業するしかない。
人を避けた場所で黙々サービス残業をして終わり次第速やかに帰った。

 
明日もなるべく前施設長や新施設長には関わらないようにしよう。
疲れがとれないまま、あれこれ言われるのはしんどい。

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