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変わったセミの抜け殻

お盆明け初日の仕事は
リーダーと利用者と買い物に出掛けた。

 
気まぐれな利用者はその日は機嫌がよかったし
リーダーと一緒だし
私は嬉しくなった。

 
お盆明け初日の仕事はなんとなく疲れやすいし
お盆休み最後の日は色々あって心身疲れたのだが
なんとか大きな事件もなく、利用者が帰宅した。

福祉施設で仕事をしている人にはあるあるだと思うが
まだ仕事が終わっていなくても
利用者が無事帰宅すると気持ちはグッと軽くなる。

 
事務室に入ると
紙皿に乗ったセミの抜け殻が私の机に置いてあり
思わず「ヒィッ!」と小さく叫んだ。

何故私の机に抜け殻が。

 
「このセミの抜け殻、凄くない!?葉っぱの上って珍しいよな。このすごさを分かち合いたくて。」

 
リーダーが目をキラキラさせた。

リーダーは私と同じく虫の生態が好きだ。
多分私に見せたくてとってきてくれたのだろう。
それはありがたかったが
あげると言われたのでそれはさすがに断った。

 
私はセミを見ながら
私みたいなセミだと思った。

みんなみたいに木の幹や枝や葉の裏側を選ばず
葉の上なんて周りが選ばない場所で羽化した変わりもの。

 
それでも羽化できて
そんな変わりものの私みたいなセミの抜け殻を
リーダーは面白いと笑ってくれる。

 
恋愛をするなら
こんな風にセミの抜け殻の話題とかで盛り上がれる人がいい。

恋愛をするなら
私の変わっているところを長所として見てくれる人がいい。

 
お盆休み明け初日。
体は疲れたけど充実感があった。

仕事をするっていい。

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