私が担当している某下請け作業の会社には様々な種類の作業がある。

契約をしてからまだ1年経たないが、今まで　
に50種類はやってきただろう。
しかもまだそれが全てではない。

　
納品には1～2週間に一回行っているのだが
下請け作業の種類はほぼ毎週変わる。
続いてせいぜい三回までだ。

　
だから正直、どのくらいの作業量が妥当かを読むのが難しかった。
初めての作業だと、やってみたら思ったより簡単だったり、また思ったよりも難しいケースもある。後者の方が比率は高い。

　
契約した際、作業量や種類はこちらである程度選べるということだったが
実際はやはり作業をもらっている立場なので弱いところもあった。

やりにくい作業をたくさんやる週もザラにあった。

　
とある納品日、私は通院のため新施設長に納品を託した。
私が担当する前に新施設長は納品や作業受け取りを担当していたため、新施設長はある程度分かるはずだと思った。

　
翌日出勤した時、数ヶ月前にやった、今までにやった中でもNo.2に手こずった某作業資材が大量に置いてあり、私は唖然とした。

しかも以前もらってきた時よりも量が多く、納期が早い。

更に別の新規の作業も大量にもらってきたので頭が痛かった。

　
何故この作業をこんなにもらってきたのか。
大変だったと言ったはずだが…
まぁ担当していない人には分からないだろうし、数ヶ月前の話だから忘れているのだろう。

　
私は新施設長に言った。

この作業量は今日から取りかからないと厳しい、と。
利用者や職員もたくさん関わらないと厳しい、と。

だが、私の訴えは届かず、私の提示した時間、提示した人数で作業をやることは叶わなかった。

　
だから私は自主的に早出した。
私の職場は早出や持ち帰り仕事には何も言われないが、夕方居残りは言われてしまうのだ。早く帰るようにと。
残業代が派生するからだろう。

残業代はいらないが
夕方居残りができないとなると、毎日早出して、土日休みは持ち帰るしか道はない。

　
それでも納期まで半分の日程が過ぎたところで、作業は1/4さえ終わっていなかった。

　
今回は作業が悪かった。
土日に持ち帰るといっても、作業資材が多すぎて自家用車に乗らないのだ。

もしも自家用車で事故にあい、資材が不良になったら？
土日に持ち帰って、体調不良などで月曜日に出勤できなくなったら？

それを考えると、ゾッとした。

　
金曜日に終わらなければ、週明けに一気にみんなでやればいいじゃないと新施設長もリーダーも言ったけれど
作業量はそんなものじゃなかった。

　
金曜日夕方時点で、もう持ち帰らない限り、納品日に終わらないことは確定したのだ。
正直、自家用車に乗るだけ持ち帰っても、終わらないことは確定なのだ。

　
私は絶望感に打ちひしがれながら、取引先に連絡した。

今後作業量を減らしたいことや、今回の作業に関しては次回からお断りしたいと伝えた。

　
すると、取引先からその作業資材を全て返してほしいと言われた。
やりかけでもいい、と。

　
思いがけない提案に私は驚きつつ安堵した。
これで土日持ち帰らずにすむ。終わらなくても大丈夫なんだ、と。

　
とはいえ、感情は複雑だ。

下請け作業は全工程の1/4しか終わっていない。全部やりかけなのだ。
工程数が10もある難易度の高いもので、一気に完成させることは叶わない。

ここで作業を中断ということは、稼ぎは0円ということだ。
私だけでなく、手伝ってくれた同僚、携わった利用者の今までの頑張りは0円扱いとなる。

　
更に、今回の申し出に取引先が何を感じたかは分からない。
納期を守れなかった私たちへの信頼は下がっただろう。
今後作業は減らされるかもしれない。

　
新施設長は「今後はこの作業を引き受けないことですね。」と言ったが
引き受けてきたのはお前だろうが、と私は内心毒を吐いた。
サービス残業して朝早くから来てやっている私に何も思わなかったのか、と。

だから早めにたくさんの人数でやらないと間に合わないと訴えたのに、と。

　
今まで、前の職場と今の職場と合わせて　
下請け作業をたくさんやってきた。
納期を守るために無茶をしてきた。
福祉施設は立場が弱いから。
納期を守れなかったり品質に問題があると、「これだから障害者は。」となりかねないから。
同僚とサービス残業をした日もたくさんあった。なんとか仕上げてきた。

　
今回初めてだった。
納期に間に合わないのは、人生で初めてだった。

　
私はひどく落ち込んだ。悔しかった。
だけどどうにもならない。
周りの同僚も忙しいし、土日持ち帰れる量でもない。

この結果ははじめから見えていたのだ。

　
月に一度の定期通院の日が納品日に当たっているのが辛い。

もう新施設長は信頼できない。

今後は通院日だけ納品日をずらせないか交渉しようかな。

　
毎回下請け作業が変わるとなると、作業に関わりがない人には何をどれだけもらってきたらいいのか判断は難しいだろうから。

　
三週間ぶりに土日休みの金曜日。
本当は解放感に満ちたはずだった。

なのにモヤモヤが止まらない。
ちっとも嬉しくない。

　
疲れがたまっていたのだろう。
土曜日、私は体調を崩した。