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a new musical「ヴァグラント」

あれは2019年だった。

ポルノグラフィティがデビュー20周年を迎えたあの年、東京ドーム2daysを成功させた後
晴一さんはイギリスに短期留学をしていた。

その際、「メリー・ポピンズ」を見てとても感動したらしく
自分でもミュージカルを作りたくなった、ということを
それ以降様々な場所で口にしている。

 
2020年、コロナ禍になり
ポルノグラフィティは各自の活動をしていた。
もともと、20周年記念東京ドームライブを終えた後はしばらくは大きな仕事はしないようにしていたらしく
緊急事態宣言やステイホームの影響から
各自の活動にはちょうどよかったのもあっただろう。

 
昭仁さんはX(旧Twitter)やYouTubeにて企画を始めたり、カバーソングを歌い出し
晴一さんはというと、ミュージカルについて動き出したらしかった。

 
それまでSNSを全くしていなかった昭仁さんと対象的に
晴一さんはX、noteを行っていたし、毎週ラジオのレギュラーもあった。

晴一さんはSNSでミュージカルについて動き出したもののダメ出しをくらったり、歌詞が上手くいかない時期があったことを書いていた。

 
晴一さんは読書家で、ポルノグラフィティの多くの楽曲の作詞だけでなく、他アーティストの作詞、また小説も手掛けており
書くということの才能が素晴らしい。

だからミュージカルの脚本に興味を持つこともファンからしたら意外性はなかった。
ライブ演出も晴一さんは積極的に関わっていたし、もともとエンターテイメントに対してこだわりが強かったからだ。

 
2023年1月の日本武道館ライブにて、いよいよミュージカルのタイトルや東京公演があることが発表された。

「ヴァグラント」というタイトルからして晴一さんらしかったし、ミュージカルの煽りの「我らはマレビト この世に極楽を見せましょう」という言葉もまた晴一さんらしかった。

 
日本武道館はツアー最終日。

8月に東京公演があると知った時から
いや、晴一さんがミュージカルを手掛けると知った時から
私は「ヴァグラント」を楽しみに楽しみにしていた。

2023年のメインイベントといってもいい。

 
「プロデュース・原案・作詞・作曲 新藤晴一」の文字の強さはいつだって私に喜びを与えたし
キービジュアルの写真もかっこよすぎて何度も見た。

 
GWには東京でミュージカルについてのトークショーがあったり
YouTubeやラジオなどで宣伝も増え
私は夏が楽しみすぎた。

 
チケットも無事ファンクラブ先行で買えたし
5月にコロナは5類になったしで
夏を待てばいいだけと思っていた。

 
だが
私は「ヴァグラント」を見に行けなかった。

 
公演日直前に演者の方が何人か体調不良になり、ミュージカルは中止になったからだ。

誰も悪くないとはいえ、落胆した。悲しかった。
それだけ楽しみだったのだ。

 
明治座には晴一さんや演者ののぼりや特性ののれんが飾られ
喫茶店ではコラボ企画も行っていた。
グッズ販売もしていた。

その写真を見ながら今か今かと待ちわびていたところで
公演は中止で振替公演はないと告げられたのは辛かった。

 
公演期間中、初日と千穐楽が無事できたのは不幸中の幸いだったし
いっそ別日…東京公演か大阪公演に行くかも迷った。
グッズだけでも買いに行くか迷った。

だが、急に平日有給をとり、当日券を買うことは私には難しかった。
泣く泣く諦めるしかなかった。

 
まぁDVDはきっと発売するだろうと
通販にてグッズやパンフレットを購入し
私は待つしかなかった。

 
そんな中、冬に有料チャンネルで「ヴァグラント」の放送が発表された。
1月6日と21日に放送するだけでなく、ダブルキャスト分放送してくれるのはありがたすぎた。

2024年1月1日に私がやったことは有料チャンネル契約と録画だった。

 
1月6日15:30になり、平間壮一さん主演版の「ヴァグラント」の放送が始まった。
2時間30分に及ぶ大作でCMが全く入らなかった。

今日の映像は明治座のものらしく、本来ならば明治座に行く予定だった私は少し切なくなった。

 
ミュージカル会場には曲が流れ、やがて晴一さんがタイトルコールをした。
テレビを見ながら思わず拍手だ。

 
【物語の舞台は約100年前の日本。
炭鉱の町で貧しく働く人々の元へ、マレビトという歌や踊りを生業とする佐之助と桃風がやってくる。

その町は、雇い主は裕福な暮らしをするが、炭鉱夫は一向に楽な暮らしができずにいた。
また、取締隊のトキ子は10年前に両親を殺され、犯人捜しをしていた。

雇い主の社長・炭鉱夫の一人・取締隊は幼なじみで、昔は故郷を守ってよりよくしようと約束するが、大人になると今の生活にいっぱいいっぱいでゆとりをなくしていた。】

そんなストーリーだ。

 
日本が舞台のオリジナルストーリーを大々的にミュージカルでやるのは挑戦というか、珍しい気がする。

 
いくつかの歌はラジオ等で聞いたことがあったが
踊り付きで見ると迫力がまるで違かった。

また、想像以上に歌が多くてビックリしたし
演者さんもたくさんいて迫力があった。

歌はどれも圧巻だった。

 
テレビだと、演者さんの表情がよく見えるのがよい。

 
作詞作曲が晴一さんなだけあり、ミュージカルの曲なのだが晴一節も炸裂しており
聴いているとテンションが上がる。
ミュージカル曲やサントラを集めたアルバムを発売してほしいと切に思った。

 
ミュージカルは割とリアリティがあって
なかなか貧しい生活から抜け出せなくて戦うシーンや怒鳴るシーンが多めなのだが
だからこそ、「おふねのえんとつ」の歌がより染みて泣ける。名曲だ。

 
「祝い唄」は歌詞もメロディーもみんなで歌い踊るシーンも圧巻だし
「牙を剝きなさい」「丸をつけましょう」も歌詞がじんわり来た。

いやでもとにかくどの歌もよかった。
さすが晴一さんの手掛けたミュージカルなだけある。

 
旅人であり、お金を稼げ、人から忌み嫌われていたマレビトの人の存在と
貧乏故にムラから出られず、人同士群れる炭鉱夫は見事に対比で描かれていて
舞台は100年前だが
今にも通ずるものがあって考えさせられる。

 
平間さん版のミュージカルを見終わった後、読まずにいたパンフレットを見ながら、廣野さん版を見た。

 
同じ役柄でも印象がまるで変わった。
平間さんは明るくパワフルだが、廣田さんはソフトでありながら男らしさも兼ね備えた佐之助を演じていた。

トキ子さんもまた印象がちがかった。

廣野さん版は全部は見ていないので、また後日見ようと思う。

 
晴一さんはまた次のミュージカルに向けて積極的だ。

次作のミュージカルがあったなら、その時は生で見たい。

 
6日夜、春にDVD発売が発表された。
私はガッツポーズをした。

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