パワフルに変化をつくる『ポジションチェンジ』を身につける ⑨
前回⑧からの続きです。
クライアントは新しい職場で「(もっと)やれた方がいい」と思っている自分と「(なかなか)動かない自分」との葛藤で悩んでいました。
ところがセッションが進むにつれて
「やれた方がいいと思う自分」は、仕事ガンガンやって周りの人に認めれて自信を持ちたい
「動かない自分」は、自分のペースを大切にして、長く続けることで結果をだして自信を持ちたい
だと言うことに気づけました。「動かない自分」は自分が潰れないように守ってくれていたいわけです。しかし
周りからの評価が気になって、自分のペースで進むのは難しい
ということも明らかになりました。そこでコーチの
という質問によって、A課長とのコミュニケーションについて検討してみる。というところまできました。
課題はコミュニケーションで解決する
これは重要な指針ですので覚えておいてください。「評価が気になり焦ること」はクライアントの課題ではありますが、A課長とのコミュニケーションによって解決(解消)することもできるのです。
しかしそれに先立って、僕はまずはクライアントの内面を一枚岩にしたいので、次のような関わりをしました。
自分とのコミュニケーションの練習ですね
このケースでは
「ありがとう」と「お願いします」の練習をしています。
「ありがとう」と「お願いします」の練習なんて、幼稚園児のようですが、そう馬鹿にしたものでもありません。僕は極めて大切な練習だと思います。
アドラー心理学では「共同体感覚」を目指してセッションするのですが、「ありがとう」と「助けて」は共同体感覚をつくるための最も簡単なフレーズなのです。
共同体感覚=共同体に所属している感覚。共同体の中で、自分にも相手にもOKを出せ、お互いに貢献し合えると思えている状態
「ありがとう」と伝えたら、相手にOKを出せますし、相手は貢献感を持てます。「お願いします」と言われたら、相手は自分が貢献できることを知れますし、ここに居場所を感じることもできますね。
もちろん「ありがとう」や「お願いします」と言った方にも効果があります。相手を信頼関係があるから「ありがとう」「お願いします」と言うわけです。だから、これは相手への信頼感を確認する行為になります。
そして「ありがとう」「お願いします」は循環します。一方が相手に言い始めると、相手も言い始めるようになり、お互いが「ありがとう」と「お願いします」で相互貢献のコミュニケーションを回し始めるのです。
ということで、この素晴らしい「ありがとう」と「お願いします」を自分とのコミュニケーションにも、家族や友人、職場でのコミュニケーションでも活用してほしいものです
セッションに戻りましょう
今度はA課長とのコミュニケーションにフォーカスを移して「助けてほしい」と言ってもらいました。
そこからの「どんな風に助けてほしい?」(具体化)。そして網羅→具体化→目的→予測のコンビネーション。こんな風に相手から引き出していくのです。
引き出すためには色々なやり方がありますが「確認の質問」は便利なのでぜひマスターしてください
続けましょう
最初の自分の声をきいてもらってから「なんて言ってあげたい?」と質問しています。この「あげたい?」がポイントですね。相手に貢献するような言葉が引き出されてくる可能性があがりますね。
あとは最後の部分の「何を意識してるといいのかな?」に着目です。このクライアントの「うまくやれるやり方」を引き出しています。今後に役立ててほしいからです。
とても美しい部分でした。このように自分の奥にある素晴らしいリソースに気づいてもらえると本当に嬉しい気持ちになります。
コーチも言い換えを駆使しながらクライアントの言語化をサポートしています。ぜひ共感的理解の姿勢を大切にしながら、言い換えにもチェレンジしてください
共感的理解に関しては以下で触れています
続きです
せっかくなので2人目の自分の名前もしっかり変えてもらいました。コーチがしつこく具体化することによって、クライアントの内面の正確な理解が進んでいる様子をぜひ参考にしてください。
そして、椅子の並べ替えを促しています。
椅子の並びが変わるということは「すでに自分は変化した」ということを確認することにつながります。
この「セッションの中でもうすでに自分は変わったのだ」という認識は、クライアントの未来への展望や希望にもつながります。ぜひ覚えておいてください
クライアントはA課長の椅子も向きを変えました
素晴らしいですね。ここにも共同体感覚が存在していたわけです。
「(未来への)基盤と繋がっている自分」がいるのですから、当然のことかも知れませんが。。。
ということで、ここまできていれば、本当はもう終了でもいいくらいの進展です。
が、実際にA課長とのコミュニケーションが変わっていくと、今後仕事がしやすくなるでしょうし、それを参考に他の人とのコミュニケーションについても学べることもあるはずです。
ということで、対人コミュニケーションの実験や練習として、次回はA課長とのコミュニケーションをとってから、セッション結了に向かいます。
このケースがどうなるのか、お楽しみに
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