CBC㉛「妊活とセックスレス」その2

続きです。その1からご覧ください。

実際に椅子を置いてもらうところは、こんな感じでしていました。

CS:でね、家族が素晴らしく幸せな未来があるとしたら、どっちの方向か決めて。。。そっちね。じゃあ、その未来に対して、先ほどのあなたとご主人は、それぞれどこにいて、どっちを向いてるかしら。。。。ちょっと椅子で表現してみて。

CL:。。。うん、こんな感じです。

CS:それがあなたね。はい。うん、オッケー。

椅子の配置1

クライアントは自分の椅子(セックスが面倒くさい自分)に座っています

CL:(自分の席に座る)どうしよう。ここにいるとすごい苦しい。

CS:あ、本当?では1回立とうか。ちょっと1回立って、深呼吸して。。。。。。オッケー。よし、そしたら、ちょっと今日は変なことをしてみよう。東洋医学の先生曰く、なんかあれなんでしょ?あなたは健康な何も問題がない身体をお持ちなんでしょう?

CL:そうなんです、はい。

CS:そしたら、じゃあ、これ(新しい椅子)をちょっと健康な体だとして、 健康な体をどっか置いてあげてくれる?全然この2人(夫と自分)と違うとこにいて、野生の、もしくはプレパーソナルな身体がいるとしたら。

椅子の配置2

プレパーソナルとは生まれたての赤ちゃんのような、社会の中で個として確立していない、未分化な状態のことです。

椅子の配置はこのようになりました。

初期配置(上から見た図)

CL:なんかこの辺かな。

CS:止まってない感じなのかな?うろうろしてるかんじ?(具体化)

CL:そうです。なんか、フーン(身体を揺らす)……みたいな感じ

CS:いいねいいね。素晴らしい。

CL:特にこっち(夫婦の方角)を凝視してるわけでもなく。。。(クライアントは自由に踊るようにしている)

椅子の配置3

まずはイキイキした身体の方からスタートしようも決めました。

セックスしたくない自分の椅子に座るのは苦しそうだったので、まずはイキイキした身体をしっかりと味わってもらい、そちらの感覚をベースにセッションをスタートしようという意図です

NLPで言うとアンカリングですね。イキイキした身体の状態にアンカー(錨)を下ろして、そこに戻れるようにしておくわけです。

CS:よし、いいよ。とても上手だから先にそっちから聞いてみよう。。。ちょっとそのモードに入ってもらって。いいよ。。。そこに入ってて……。で、それを感じながら、動きを、だ ん だ ん とゆっくりしていって。。。そ の エネルギーを感じながら。。。それと共にいるよ。その身体と、一緒にね。。。。で……すごく変な質問するけど……ご主人の健康な身体。。。っていうのが存在してるとしたらり。。それはどこでどんなことしてそうな感じがする?。。。あなたの身体がそこで過ごしてるとしたら?


CL:なんかあの辺り(ご主人の椅子の方を指す)にはいて、

CS:うん。あの辺りにいそうだけど。。。座り方とか何が違うとか。。。何をしてそう?(具体化)

CL:主人もなんかこんな感じに。。。

イキイキした身体1

とにかくイキイキした身体をまずはしっかりと体験してもらいたい。最終的にはそれと一緒に生きられるようになってもらいたいので


CS:じゃあ、ご主人がそういう風に……何か動いてるね。。。で、そのことをちょっと感じながら……今。。。この身体から出てくる言葉とか、この体の中にいて感じた何かを。。。言葉にできそうだったら、なんかしてみよう。。。

CL:楽しい。。。って感じ……。ダンスをしてるみたい。

CS:なんだろう。。、どんな場所にいるとか。どんな空間の中にいて、どんな風にダンスをしてるか……。(具体化)

CL:なんか……なんだろう、細胞みたいな、 なんかぷにょぷにょして……透明で、なんかこう……くるくる動いて……なんか……なんかすごい……そういう感じ。

イキイキした身体2

細胞の例えが出ました。。。命そのもののイメージ。。。これは妊活していることとどこまでリンクするのでしょうか。身体にスイッチを入れ、それが必要なら妊活に繋げたいので、細胞のメタファーはどこかで活用しようと思っています

CS:あぁほんと

CL:うん……で、なんか、男とか女とかじゃなくて、なんか細胞。。。として、いるみたいなかんじ

CS:あぁいいね細胞。あとは?なんかこの身体のこととか、この感覚のことで他にわかってることは?(網羅)

CL:なんか子どもみたいっていうか……新陳代謝がこう……細胞じゃないけど、こう、常にこう……されて、ぷりっぷりっぷりの……なんか細胞みたいな感じ。

イキイキした身体3

「男とか女とかじゃなく」というのはジェンダーの話でしょうか。その1でクライアントは、セックス「お務め」と表現していましたが、それと関係あるのでしょうか。

そしてさらに「子どもみたい」との表現。

イキイキした新陳代謝を繰り返す、子どものような、未分化な身体。。。いい感じに進んでいます

CS:オッケー。じゃあちょっと、それこそ全身の細胞1つ1つがプリップリップリってなりながら、 ちょっと自由にダンスしてるのを感じてみて……。なんかこの細胞というか、この命が感情を持ってるとしたら、どんな感じのと、どんな状態ですか。

CL:なんだっけ……なんかこの……“快”ってかんじ。

CS:カイ?快楽の快ってこと?

CL:快!心地いいって感じ。

CS:あぁいいね……心地よい!わーって……この時の 周りの世界との繋がりとかね、この自他の境界線のあり方みたいなものをちょっと感じててくださいね。こんな風に繋がってるんだと。 こんな風に世界に生きて、で、こんな風に新陳代謝をして……。オッケー。よし、じゃあ、ちょっと1回ここ抜けようね。

CL:はい。

イキイキした身体4


コーチはクライアントに、イキイキした身体がどんな感情を持っているのか探ってもらっています。

感情を言葉にしてもらおうとすると、今一度しっかりと身体感覚を味わうことになります。正確に言葉にするためには!しっかり体験する必要があるからです。

そしてさらに「周りの世界との繋がりとかね、この自他の境界線のあり方みたいなものをちょっと感じて」と指示しています。

これは周りの世界とのイキイキとした繋がりも感じて欲しい。その喜びを感じて欲しいと言う意図です。

イキイキした身体にスイッチを入れること。このご夫婦なりのセックス(繋がりの喜び)の形を見つけること。

これらの目標に向かってコーチは粛々と手を打っています

そして、次の椅子に行きます

CS:よし、じゃあ、あんまり心地よくないけど、こちらの自分に入っていくよ。。。

CL:(セックスをせずに済んでホッとしている自分の席に座る)

CS:よいしょ。ね?。。。で、まずちょっと感覚とかの話からいくよ。。。さっきとの比較で。。。あそこはなんか 細胞みたいな感じでプリプリしててね、自由にダンスしてっていう感じだった。。。。で、こっちの体の中に入ってみると、。。。そこにはどんな感覚があるだとか、体の中でどんなことが起こってる感じがするのかしら。。。。

CL:こっち側が暗くて……ふぅーって……

セックスしたくない自分1

最初からあまり強い感情に巻き込まれることがないように、前の椅子も意識してもらいながら、現在の感覚を観察してもらうように指示しています

ここからフォーカシング風の関わりがスタートします

CS:うん、いいよ。変な質問だけど、この自分の本体。。。は、どの辺にありそうだろうか。。。なんか、この自分の存在をどこに感じるか。。

CL:(胸の辺りを触る)

CS:触れながら……で、そこにどんな感じの感覚があるかなっていうのを探していくよ。

CL:ここには何かこう、暗いものがある。この暗いものを出せる。こっち向きに、ふぅーって。

CS:今出してる?

CL: 出してるけど、スッキリしてない。

セックスしたくない自分2

身体反応(フェルトセンス)が起こっている場所を特定し、そこと対話を始めようとしました。

するとクライアントは「それを出しているが、すっきりしない」と言います。

こういう言い方をするということは出したいのでしょう。どんな感じなのか、もう少し観察してもらいます

CS:なるほど、出そうとしてる。

CL:ちょっとだけ出てたけど、まだある。

CS:あぁ。。。この自分は出したい感じなのかしら?。。。楽になりたいとか。どういう感じなの?

CL:なんかそういう感じではない。

CS:うん、どういう感じだろう?

CL:なんか全部出せるとは思ってない。ちょっとだけ出せた……

セックスしたくない自分3

「全部出せるとは思ってない」とはどういうことでしょう。

出せそうもないのか、出したくないのか。。。

出したくないのだろうな。。。出すのが怖い。。。そんな直観がします

なので、無理やり出してもらうのはやめて

CS:いいよ。で、その暗いものっていうのをもう1回感じながら……どんな言葉が出てくるかしら。

CL:……助かった。

CS:そっか……助かった……よかったね……助かった。何回か「助かった」って、その部分に共鳴するようにね。。。「助かったー、助かったー」って言ってみようね。

CL:助かったー……、助かったー……

CS:なんか自然と言葉が出てきたら、それを口にする。それまでは「助かったー」って…。。。

セックスしたくない自分4

セッション後の振り返りでクライアントは、この「自然と言葉が出てくるまでは」というインストラクションが良かったと言っていました。

このインストラクションのおかげでしっかり体験できて、深い部分へのアクセスが始まったそうです

CL:……誰にも言えないって感じがする。。。

CS:あ、誰にも言えない。いいよ。誰にも言えない……誰にも言えない……なんだろう誰にも言えないって……何のこと言ってんだろう……

CL:ここにあるものを、全部出すっていうのは……しちゃいけない。誰にも言ってはいけない。

CS:なんだろうね。ここにあるのは何だからなんだろう……、ここにあるのは何かなって感じてて……なんで言っちゃいけないんだろう……言うとどうなるんだろう……ここにあるのはなんなんだろう……

CL:……なんかわかんないけど、言っちゃうと自分もすごい……あの……傷つくような……元に戻れないような気が……

セックスしたくない自分5

誰にも言えない。

と言われても、コーチは淡々と外堀から埋めてます

誰にもって誰のこと?
なんのこと言ってるの?
ここに何があるからだろう?
なんで言っちゃいけないんだろう?
言うとどうなるんだろう?

そんな関わりの中で、朧げに正体が見えてくるのです。。。。暗闇に目を凝らすと、だんだんと輪郭が見えてくるように。。。

クライアントは言います。「言っちゃうと自分も傷つき、元に戻れない」と。

僕は経験上知っています。これはそれほど危険なものではない。けれどもクライアントの意思確認せずに入っていくことはできません

CS:オッケーオッケー。どうする?私は、もしあなたが協力してくれるんだったら、 そこの中に入っていって。。。で、その、変な言い方だけど、救い出してあげたい。。。。そんなに苦しまなくても、ちゃんとあなたのままでいいんだと体験してもらいたいと思ってますけど。。。やってみます?ちょっとおっかないけど。。。どうしても口にしたくないことはしなくていいし。。。

CL:(うなずく)

CS:よし、そしたら、ちょっといつもと違う変なことをするよ。。。で、この辺りにあるものをもう一度描写するとどんなものがあるかな??暗いもの。大きさは?とか、形は?とか。

CL:大きさはこの辺り(みぞおち付近)にあるような感じで……

CS:どんなものがある感じ?

CL:気体っぽい……煙みたいな雲みたいなものがある感じ……で……真っ黒ではなくて……グレーとか紺色とか、なんかそういう感じの色が混じってるような感じ……

セックスしたくない自分6

こんな感じでクライアントの許可をとりました。そして、もう一度、身体反応を描写してもらいます。今度はフォーカシングではなく、ゲシュタルト療法やプロセスワークの人たちがやるように、この感覚そのものに全身でなりきってもらおうと考えています。

恐怖心があって、向き合いきれないなら、いっそそのものになりきって、体験し尽くしてしまえばよいのです(僕は一応専門的なトレーニングを受けています。見様見真似でやると収拾つかない可能性もあるので、きちんとトレーニングを受けて行ってください)

そして、そのためにももう少し描写を続けてもらおうとしたときです

CS:どんな風に動いてるとか動いてないとかありますか……

CL:……ちょっと今思ってること言ってもいいですか

CS:もちろんもちろん

CL:これを出しちゃうと…………主人とはもう一緒にいられなくなる。。。(涙)

CS:。。。それを言ってるのは誰ですか?その部分が言ってる?それともあなたが言ってる?

CL:私

CS:私が言ってる。あ、私がね。

CL:と思ってる。だから言いたくないと思ってる。

セックスしたくない自分7

コーチは「それを言ってるのは誰?」と確認しました。

この部分が言っているのか、それとも別の部分が言っているのかによって対応が変わるからです。

そして今回のように、このパート(部分)の声を表にだしてはいけないとクライアント自身が止めている場合は、なおさらフォーカシングよりも、パートそのものになりきるほうがいいわけです。

ですから最終確認です

CS:どうしようか?これ本当に冗談抜きで言わなくてもいいし、言わないなら言わないなりのやり方があるんだけど、。。。でもなんかさ、少なくともこの状態で抱えながら、「いや、でもこれを口に出したら一緒にいられないから、出さんとこう」と思いながら生きてくのは辛いじゃん?どうしよっか。なんかアイディアがあったら教えて。

CL:一方で、これを言っても一緒にいられるような気もする。

CS:そうなんだ?(笑)

CL:(笑)だから、大丈夫な気もする。だし、これをそのままにして、例えば妊活を続けても、子供を授かったりしていくプロセスがとても危険なように感じる。

セックスしたくない自分8

出したら終わりな気がする。そう口に出してみることで、

実はそうでもないか

と気づくこともあるわけです。そしてこのままもし妊娠したら、それはそれで良からぬことが起こる可能性も感じるとクライアントは言うのです

と言うことで、この部分に入っていうことを2人で決めました。

このあとクライアントは7分間にわたって絶叫することになります。そしてその中から出てきたものは??

次回にご期待ください

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