パワフルに変化をつくる『ポジションチェンジ』を身につける ⑧
ポジションチェンジのゴールは、アサーティブコミュニケーションによって、指針がきまって、スッキリすること
ポジションチェンジで大切なのは、それぞれの立場を分けて体験すること。そのためには、五感刺激の再現や、その人の行動を感情込めてしてみるが役に立つ
ポジションチェンジをする順番は、内側から。自分の中に葛藤があれば、そこから扱い始めること
今回のシリーズでは、こんなことを確認してきました。
ポジションチェンジは「人間関係をどうしていきたいか」「そのためには何をすればいいか」を考えるためにとても役に立つ技法ですから、活用してもらいたいのですが、それだけでなく、自分とのコミュニケーションにも使えますから、どんどん活用してほしいのです。
今回は、これまでの復習になるようなケースを紹介しつつ、触れてこなかったスキルなども紹介したいと思います
進みたい自分と動かない自分
ゴールを決めてもそこに向けて動けない。自分の中に動きたくない自分がいるみたい。。。。
よくあることですね。そんなときのアプローチ法の一つが、自分の椅子を2つ出して、それぞれの目的を明らかにするというものです。
実例を使って検討してみましょう
たいべき問題などと呼んでいますが「やりたい」のか「やるべき」と思ってるのかは大きな違いです。クライアントはそれをうっかり混同することがあります。
だから、コーチはそれを確認してあげるといいですね。このケースでは少し柔らかく「やれたほうがいいと思ってる感じ?」と問いかけていますが、「やれたほうがいい」も「やるべき」の仲間ですね
そしてコーチはその後、サラッと「動かない自分」と言い換えていますね。これは主体論的な考え方で、私たちは自分の意思で動かないのです。動けないのではなく動かない。そこに目的があるからです。
クライアントが同意してくれたので次に進みます
クライアントが置いた椅子は、こんな感じ。動かない自分は、ピッタリ後ろについてるんですね。この位置は何を表しているんでしょうか
コーチはまずは「やれた方がいいと思う自分」に座ってもらいます。どうしてこちら側からなのでしょうか。
この場合は消去法というか、いきなり「動かない自分」になりきるより、「やれた方がいい自分」になりきる方が簡単そうだからという理由です。まずは「やれた方がいい自分」をやりきれば、その後「動かない自分」の体験もできやすそうという算段ですね
そして、手早く目的を明らかにしていこうとしています。具体化、網羅、順接接続詞、そして収束の質問の使い方をぜひ参考にしてください
次にいきます
のような展開になりました。
途中で砂袋というメタファーが出てきましたが、素敵な砂袋でしたね。イベントのテントが風で吹き飛ばないようにポールに結びつけている砂袋みたい。。。。雨風があっても立ち続けられるように。。。みんなの役に立ち続けれるように、守ってくれている存在。その存在に触れてコーチの僕の胸もあたたかくなりました。
このパートでは、椅子を引っ張ってもらったりしながら、より体験に集中して、無意識のデータベースにアクセスし、内部で起こっていることを言語化してもらうように工夫しています。
そして、この砂袋の自分が声を上げ始めたら、コーチは目的の階層を上げていきました
最後の「し?」の部分は「結果も出せるし、そうすると?」という意味になるわけです。だから実質は順接の接続詞の質問ですから、結果や結論が導かれることになるのです。
簡単な質問でやるなら「それはなんのため?」とか「それをすると何がいいの?」とかを繰り返せば大丈夫です。
いずれにしても、目的の階層をあげると、何が本当に大切なのかわかりますし、他のパート(部分)との共有ゾーンに入ることも多くなります。
各論では反対もあるけど、総論は賛成みたいなことですよね。
このケースでは、自信が持てるようになる。は2人の自分、双方の思いだったわけです。
「やれた方がいいと思う自分」は、仕事ガンガンやって周りの人に認めれて自信を持ちたい
「動かない自分」は、自分のペースを大切にして、長く続けることで結果をだして自信を持ちたい
というように、このケースは手法の対立だったわけですね。
動かない自分と呼ばれていましたが、決して動かないわけではなく、自分のペースで動きたい自分。潰れるリスクを避けたい自分、だったわけですね。
ポジションチェンジの基本形だと、ここで俯瞰ポジションからの気づきを語ってもらうことになります。このケースでは、以下のように展開しました
クライアントはこれまでの人生で体験してきたパターン(アドラー心理学でいうライフスタイル)を改めて言語化しました。
自覚するということは、半分抜け出したようなものですね。自覚してはじめて「ではどうしようか?」と考えられるようになるわけです。素晴らしい!
そこでコーチは迫りました。クライアントの中で起こっていることに、さらに直面してもらうためです。直面化はコンフロンテーションと呼ぶこともあります
クローズドクエスチョン(YES /NOクエスチョン)を使って迫ることで、クライアントは選択できないことに直面します。そして「周りからどう思われるかが気になっているのではないか?」とフィードバックを受けて、自分に向き合うわけです。
これはかなり早い段階からのコーチの仮説でした。
ガンガンやらねばの奥には、人からの評価を気にしている(恐れている)部分があるのではないか。コーチはそう思っていたわけです。
ただいつも言うように決めつけは良くないので、仮説に左右されずに情報収集しようとしてきました。
その上でタイミングをみて、この場面で、フィードバックしたわけです。
僕は基本的にクライアントを勇気づけたいと思っています。自分に直面して勇気がくじかれるのでは本末転倒です。だからここでは咄嗟にノーマライズをしています
自信がもてない「とき」には、人が気になることは当たり前であると
そして、このようにさりげなくいれた「とき」みたいな言葉もクライアントに影響を与えています。
今はたまたまそんな「とき」だからだよ。あなたには自信がもてている「とき」も、人のことが気になっていない「とき」もあるはずだよ
と伝えているわけです。
僕はこの辺はクライアントの無意識へのメッセージのつもりで、サラッとやっています
このクライアントは、早速そのニュアンスを感じ取って答えてくれました。
「新しい職場だから、まだ何ができるかわからない」と。
これは「そのうちわかるようになる」「できるようになる」といってくれているわけですから、クライアントの考え方は変化していっているのです
これで見通しがたちましたので、以下のようにつづけてみます
ということで、なりゆきで対人関係編がスタートすることになりました。
けれど、まだクライアントの内面が一枚岩になっていません。なのでまずはクライアントの内面を統合してから、A課長とのポジションチェンジに入っていくことになります。
その様子は次回の投稿でお見せします。お楽しみに!
拙著「人生を変える!コーチング脳のつくり方」の『タイムマネジメントに悩む女性(P220 〜)』も似たような事例です。これも素晴らしいものですので、ぜひご一読ください
ちなみに今回のようなケースを扱うのによい形式が以下のやり方です
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