CBC㉛「妊活とセックスレス」その3

続きです。未読の方は、その1からお読みください。

しつこいようですが突入の前に最終確認をします。クライアントに安心してワークしてもらいたいから懸念点はなくしておきたいのです

CS:ほんと一応、安全のために確認したいんだけど。。。あなたの内側の声を言葉にしたら彼と一緒に居られなくなっちゃう。という考えに対して「どうして」ってきいたら、どんな答えが返ってくる?

CL:…………いや、わっかんないけど……

CS:うん

CL:女性らしくいたくないとか、子供を産みたくない っていうのが、もしかしたら出てきて……そうすると、やっぱり夫の求めてるものとは違うから。

最終確認1

この答えは想定内です。なので

CS:変な質問だけどさ……女性らしくいたくないとかって思ってる自分がいるとして、その自分っていつ生まれた自分な気がする?

CL:。。。。記憶にあるのは、幼稚園の年中だか年長だかの時に、 幼稚園にスカート履いていって、ジャングルジムに登ってた時に、なんか下から、たぶん男の子だと思うんだけど、「◯◯ちゃんパンツ見えてる」みたいなこと言われて、そこまではスカートを別になんとも思わず履いていってたんだけど、そっからちょっとすごく嫌になっちゃってっていうのは意識としてはある。

CS:なるほどね、なんかさ、その自分は長いこと苦しんできたんだよね。。。で、やっぱりさ、それは幼稚園かどこかのタイミングで作られた自分なわけさ。。。ということはよ、その子の話を聞いて、その子からさ「こんなことがなかったら本当はこう生きたかったんだ」っていう話を聞けたら、その子には変わっていく力があるんだよ……うん……。でね、そこと向き合ってなんとかしようと思いながらも、ご主人のことも大切にしたい、一緒にいたいって言った時に、ご主人が本当に「もう一緒にいられない」っていう結論を出すんだろうかと。どう思う?

CL:。。。主人は出さないとは思うけど、でも、なんか彼の中で満たされないこと?が……

CS:気になってしまう。

CL:うん、それは本当に申し訳ないと思う。

最終確認2

僕は提案しているのです。

その子の声を聞いてみようよ

、と。

幼稚園の時に嫌な思いをして、「女の子みたいな格好するの嫌だ!」と言っている子に寄り添って、

「本当はどう生きたいの?」と問いかけよう、と。

そして、その答えを大切にしながらも、ご主人と幸せに生きていけるような道筋を探そう、と。

でも、クライアントは「それでは主人の中に満たされないものがあるのではないか?」と懸念しているのです

とは言え僕の提案は変わりません。お互いの幸せのためには、まずは自分の内なる声を聴こう!!その上でご主人とうまくやっていける方法を探そう。。。

あなたが苦しみながら、内側にいる自分をないことにしながら、幸せに生きていくことは難しいのではないか??

そう思うのです

CS:じゃあさ、これでいけるんだったらこうしよう。この部分の気持ちを表に出してみる。で、それの本当の声を聞く。で、 それを受け止めよう。それは自分だから。自分の人生生きていく上では必要なことだから。その上で、本当に彼のことを大切にしながら生きていくためになにができるか考えよう。

CL:(うなずく)

最終確認3

いよいよ突入です。

やれるだけの準備はした。クライアントもワークにreadyな状態になっています。

僕は声のトーンを変えます。確信に満ちた、穏やかだけども力強いトーンで、彼女に伝えました

CS:よし、じゃあもう1回、さっきの言葉に繋がるよ。あなたの内側にあるものに繋がるよ。。。で……今度はフォーカシング的なやり方じゃなくて、どんどんその中に入っていっちゃう。入ってのみ込まれっていっちゃう。。。。で、そのものになっちゃう。。。安心して、私はここにいますから、この中に入っていっちゃう。さっきのあそこで細胞がダンスしてたみたいに、今度こっち側の自分に入るとどんな動きになるかしら。。。。どんな姿勢が取りたくなるかしら。。。。さぁ。。。どんどんその中に身体を使って。。。入っていくよ……。

そのものになりきる1

後にこのセッションを振り返って、クライアントは言ってくれました

「あの瞬間、だいじゅさんが言ってくれた『安心して、私はここにいますから』が私の命綱になりました。だからあの怒りの中に入っていくことが出来た」と。

いよいよです。

クライアントは、内側のエネルギーの中に入って、それと同化しようとしています。

クライアントは、そのエネルギーに同調するにつれて、姿勢や表情を変えていきました。

椅子に座りながらも、脚を大きく開いて、肘をつきます。頭が深く垂れていきます。

ガラの悪い男が、怒りを溜め込みながら周囲を威嚇している。。。そんな雰囲気です

CS:うん……そうね……少し大げさなぐらいにどんどん入ってっちゃう。で、その部分がしてそうな呼吸をしてみる……。

CL:(フーッ……フーッと荒い呼吸)。。なんか。。怒ってる感じ。。です

CS:うん、いいよー。怖いけどその中に入っていこうねー。どんどんその中に入っていく。。。もし言葉が出てきたら、そのまま言ってみようね。。。

CL:(ハーーッ……ハーーッ……怒りで体が震える)ううううう……(泣)ううううーーーううううーーー(うめきながら泣く)ううううううーーーー

CS:ううううーーーー……そうそう……いいよー……自分でしっかり感じていく。主体的に感じていくよ……ね……

そのものになりきる2

僕は「主体的に感じていくよ」と声をかけています。これは重要な声がけです。クライアントは、飲み込まれていくのではなく、主体的に、それそのものになるのです。

意識的にそれを感じて、自らの意思でそれになりきるのです

CL:うううううううーーーー

CS:そう!

CL:うううううーーーーー

CS:そう!

CL:うううううーーーーヒィヒィ……(呼吸荒くなる)

CS:深呼吸しながら。。。そのエネルギーと一緒にいて。。。。

CL:ううううううーーーーーーー

そのものになりきる3

クライアントが飲み込まれかけたので、深呼吸するようにとインストラクションをしながら、バランス調整をします

飲み込まれることなく、しっかりとなりきる。そのバランスが大切なのです

クライアントはさながら猛烈な嵐の中を飛行する新人パイロットのようです

僕はその様子を感じています。一緒に。。。

そして、次の瞬間

繋がった!行ける!

そう確信しました。だから

CS:さぁどんな言葉が出てくる?言葉が出てきたら教えて

CL:クソーーーーー

CS:クソーーーーー(繰り返し)

CL:うううううううーーー無視しやがってぇーーーここにいるのにーーーーううううーーーーううううううーーーー

CS:そう、しっかり感じます。意識的に感じます。

CL:ずっといるのにーーーー

CS:ずっといるのにーーーずっとここにいるのにーー(繰り返し)

CL:クソーーーーああああああああああああーーーーーないがしろにしやがってーーーここにいるのにーーーーうううううううーーーーー

そのものになりきる4


クリアに繋がれました。素晴らしい。コーチはそのエネルギーに同調しつつ言葉を繰り返してクライアントを支えます

でも想定よりエネルギーが大きい。セミナールームでやっていたので、隣室への影響が気になります。

途中でノックでもされたら、セッションが台無しになりかねない

なので

CS:いいよー。。。そしてもっと静かに感じてみるよ。。。。。蔑ろにしやがってーーー……ここの奥にある虚しさとか、悲しさとか、なんかを感じようとするよ……うううーーーわかってくれない……ここにいるのに気がついてもらえない……

CL:ハァーーーハァーーーここにずっといるのに……ずっと無視してる……

そのものになりきる5

エネルギーには繋がりながら、声量は落として関わります。そうすることで良い調子にクライアントの声量も下がりました。

クライアントは却って繊細に感覚を感じられているようにも見えます。

コーチは「奥にある虚しさ、悲しさ」などと言って、怒りが二次感情だとした場合の一次感情の存在を示唆しています

CS:ずっと無視してる……いいよ〜それ感じててー。で、ここにいるのはどんな感じのものなのかとか、人でも物でもいいし、どんなものがここにいる感じがしますか。。。。

CL:うーん、なんだろう……

CS:クソーー無視しやがってーーずっとここにいるのいにー……

CL:なんか小さい男の子みたいだけど、大きいような気もする

CS:あぁほんと?

CL:大きいエネルギーだけど、小さい男の子みたいな

そのものになりきる6


コーチはクライアントの代わりにクライアントと同じエネルギーで、クライアントの言葉を繰り返しています。そうやってクライアントの探求が深まるのをサポートしているのです

そして「男の子」が出てきました。

クライアントは意外そうにしています。僕にとっては想定内でした。僕は「男の子以前、女の子以前の自然な子ども」の登場を予測していたので。。

CS:大きいエネルギーがあるちっちゃい男の子。。。。わーーーー!!どうしてーー!!ぼくここにいるのにーー!!って。。。ねぇ?この子が望んでること言ってみて。気づいてほしい!なのか、こっち向いてほしい!なのか、何かをしないでほしい!のか。。。

CL:もう無理やり形を変えようとしないでほしい。

CS:無理やり形を変えようとしないでほしい。

CL:無理やり変えようとしないでほしい。……うん。フゥーッ、フゥーッ、フゥーッ……

CS:無理やり形を変えようとしないでほしい……ハァーッハァーッハァーッ……

CL: ハァーッハァーッハァーッ……(CSとCLが一緒に大きく呼吸をしている)十分にスペースが欲しい。窮屈だ。ハァーッハァーッハァーッ……

CS: ハァーッハァーッハァーッ……(CSとCLが一緒に大きく呼吸をしている)なんか、どんなスペースを欲しがってるのかしら。

CL:。。。あ、今ちょっとスペース広がった。。。

そのものになりきる7

ここでやっと踊り場に出ました。突入してから7分。クライアントはよくがんばりました。

いないことにされていた子どもに出会って、そのニーズを聞くことができたのです。

「無理矢理形を変えようとしないでほしい」
「十分にスペースがほしい」

そのニーズがクライアントに受け止められた時、不思議なことですが、彼女の内側にスペースが生まれたのです

CS:いいよ。。。なんかどんなふうに広がった感じがする?

CL:これぐらいだったのが、これぐらいに(両手を広げるて表現)

CS:いいよ、じゃあその広がったのを感じて。その広がりの中にいて、もう少しこの体がしたくなることがしたくなること感じて。

CL: ハァーッハァーッハァーッ……(CSとCLは一緒に大きく呼吸をしている。椅子の背もたれに体を預けて上を向いて呼吸)

CS: ハァーッハァーッハァーッ……(CSとCLは一緒に大きく呼吸をしている)今その呼吸しながら少しどんなところに出てきた感じかしら。

CL:広いところに

CS:どんな広いところかなってちょっと感じてみて

CL:ハァーーー……誰もいない……幼稚園の園庭の真ん中……に……大の字で寝転がってる……ハァーーーハァーーー天気がいい。誰もいない。

無意識の物語を追いかける1

僕は追体験をしようとしています。クライアントの無意識が差し出してくれた体験にただついて行きたいのです。

僕たちがそのような態度を取ると、無意識は次の展開を示してくれます。それにまたついて行く。

そうやって行き着くところまでくっついて行くと、そのプロセス全体が、人生とは何かについてを教えてくれるものなのです。

だからただクライアントの無意識の物語について行きます。全身で。。。夢中に映画の展開について行くように。。。

CS:十分それ感じて……広い園庭の中で……誰もいない……天気がいい……

CL:(静かに呼吸する)はぁーー……はぁーー……(椅子から降りて床に大の字で寝転がる)はぁーー……はぁーー……

CS:(一緒にゆっくり呼吸を続ける)こうやってしてるとどんな気持ちだろう?

CL:はぁーー……気持ちいい。はぁーー……。

CS:この子にこの気持ちよさを十分感じさせてあげて

CL:はぁー……

CS:十分感じさせて何かこの次こうしたいとかこれが欲しいとかってなったら教えて。

CL:ふぅー……はぁーーーー……なんかこうやって土にこうやって(寝転んだまま土に指で絵を描く)

CS:ああ、いいね。じゃあそうやってやらせておいてあげて。

CL:泥団子作って、虫潰して……(床に指でぐるぐるしたり虫を潰したり)

CS:いいね、そうやってやらせてあげて……それを十分やらせてあげながら……ちょっと変な質問ね。 なんかもしここに誰かが来てくれるとしたら誰に来てほしいかな? 時空とか超えてて、別にこの時代のことじゃなくてもいいし、この世界の人じゃなくてもいいし。

無意識の物語を追いかける2

物語をさらに展開させるために誰かと接点をつくりたかったのです

親でも兄弟でも、先生でも、誰か友達でも。。クライアントの無意識は誰を呼び出すんだろう。。。

クライアントは穏やかな表情で目を閉じ、深い呼吸をしながら、無意識からの答えを待っています

CL:なんか今思ったのは、高校の時の校長先生に来てほしい。A先生

CS:あぁほんと?A先生に来てもらう

CL:あの先生だったら一緒に遊べるような気がする。

CS:そっか……そっか……。

CL:うん

CS:じゃあA先生に来てもらって……で、ここで一緒に遊んでみよう。

CL:(体を起こして脚を開いて床にベタッと座る)

無意識の物語を追いかける3

僕は深い感動を覚えました。すごいところから出てきたな、高校の校長先生だってさ。。。

ありのままで生きることを誰にも認めてもらえなかった幼稚園児が、

「あの先生なら遊んでくれそう」

って思えるような高校の校長先生。そんな人がいたんだ。クライアントの人生に。。。よかった。。。

そしてこの校長先生の存在が浮かび上がってきたことで、セッションはここから急速な展開を見せることになります

続く

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