コーチングで一番大切な「探索」の話②

「探索」については、僕もコーチング1年目で発見してたんですよ。

最初の1年は、あまりコーチング分かってないままでガムシャラに会社のメンバーにコーチングしてました。

・相手の可能性を信じる
・相手の話を一所懸命聴く
・「本当はどうなったらいい?」と質問する
・「そのために何ができる?」と質問する

くらいしか指針がない状態でした。骨太の指針すぎますね(笑)

だけど、これだけで頑張ってたら自然と「どういうこと?」って具体化する質問とか、「どう?言えた?」みたいな網羅とも反芻ともつかない質問とかが自然と出てきて、結構コーチングっぽい関わりになってきたわけです。

具体化、網羅、反芻などは以下の記事をご覧ください

とは言え、コーチングがうまくいく時といかない時があります。当時のうまくいかないというのは、相手がなかなか話してくれないとか、話が盛り上がらないとかそんなことです。

で、何が関係しているんだろう?と考えました。その時に見つけたのが「相手が良い状態であるか」「相手がしっかりと考えているか」が大切だということだったのです。

1年目の発見

我ながら感動しましたね。すごい発見をした!と思いました。
そこから夢中になって「クライアントの心の状態をよくするために、何ができるか?」「クライアントに探索して(しっかり考えて)もらうためには何ができるか?」を考えました。

で、後になって、コーチングカウンセリングの学びが進んだら、50年前にすでにジェンドリン博士が発見していたことが発覚。。。

悔しい!と思いましたが、仕方ないですね(笑)。とは言えジェンドリン博士はこの後さらにとてつもない発明をします。それがフォーカシングです

フォーカシングの発見

うまくいくカウンセリングではクライアントは、まだ言葉になっていない「身体の内側の漠然とした感覚」に触れている。そのため、沈黙したり言葉に詰まったりしている。

うまくいかないカウンセリングではクライアントは終始話していて、その感覚に触れることがない。

だったら「身体の内側の漠然とした感覚」に触れてもらうような技法を作ってしまえばいい!!

そうしてフォーカシングという技法が生まれたのです!!

単なるおしゃべりや知的な議論に終始することが多かったカウンセリングが、効果を生むための直接的な方法が開発されたのです。

フォーカシングの風景

いきなり具体的なケースからフォーカシングに触れてみましょう。

ケースは30代男性。家族とのことで悩んでいました。コーチは僕です。

CO「ご家族のことで悩んでいるということですが。。。」
CL「最近仕事が忙しくて、家族との時間が取れないんです」
CO「時間がとれなくて。。。」
CL「子どもと遊んであげられない」
CO「遊んであげられない。。。。。。。」
CL「。。。なんか、罪悪感なのか。。。そんな感じで」
CO「罪悪感。。。。具体的にはあなたの身体のどこで、どんな感じを感じているのでしょうか。。。」
CL「。。。。重苦しい感じ。。。」
CO「。。。。どの辺りで?」
CL「。。みぞおちの少し下くらい」
CO「。。。。。そこにどんなものがある感じ?」
CL「。。。。うーん。雲状のもので。。。中心は黒っぽい、ちょっと重い」

ということで、早速コーチの働きかけで「身体の内側の漠然とした感覚」に意識が向きましたね。これがフォーカシング(内的感覚への焦点化)です

クライアントはこんな感じ。自分の感覚に集中していますね(身体には触れても触れなくても構いません)

身体の感覚に意識を向ける

ここでクライアントが意識を向けている「内的な感覚」のことをフォーカシングではフェルトセンス(感じられた感覚)と呼んでいます。フォーカシング用語ですね

ちなみに、彼が感じた鳩尾のしたで感じているフェルトセンスを絵にしてみるとこんな感じ

クライアントのフェルトセンス

フェルトセンスはさまざまです
・形
・大きさ
・質感
・色
・明るさ
・重さ
・温度
・動き

などいろいろな形態があります。そのなかで今回のものは白黒の雲状だったわけです。

セッションは続きます

CO「この雲みたいな感じ。。。。この感じは何からきているんだろう。。。」
CL「。。。。。うーん。。。重い。。。息がつまる。。。なんかいやな感じ。。。なんだろう」
CO「この雲みたいなものは、何て言いたくてここにいるのかな。。。。」
CL「。。。つまんない。。。って言ってそうです」
CO「。。。つまんないっていいたいの?。。ってその部分に優しく問いかけてみて。。。。何が起こるかな。。。。」
CL「。。。。。。あ、いっかい脈打ちました」
CO「。。。。つまんないって言ってるのかな。。。」
CL「。。。多分そうだと思います」

無意識とのコミュニケーション方法

これが基本戦略です。フェルトセンス=無意識は

YES /NOクエスチョンには反応をくれるのです

「ここ試験に出るから覚えとけ!!」って感じですね。

一般に心の声って聞くの難しいんですけど、フェルトセンスにアクセスしてYES/NOクエスチョンを投げかけると、こんな風に答えを教えてくれるのです!!

なのであとは、このフェルトセンスが伝えたかったことに辿り着けるまで、YES/NOクエスチョンを投げ続けるだけです。続きを見ていきましょう

CO「つまんない。。。そう言ったことで、雲みたいな部分はどう変化してきたかな」
CL「。。。少し重心が下がって。。小さくなった感じかな。。。」
CO「いいね。。。その感じを感じて。。。その感じは何からきてるのだろう。。」
CL「。。。頑なな感じ。。。譲りたくないとか。。。守りたい。。。」
CO「譲りたくない。。守りたい。。。何て言いたそうかな」
CL「子どものこと守りたいのかな」
CO「。。。子どものこと守りたいの?ってきいてみて。。。」
CL「いや、違うな。。。違う。。。」

クライアントはフェルトセンスの反応をみています。こちらの問いかけが間違っている時は、フェルトセンスは無反応か、何か間違いだと直感させてくれるような反応をしてくれます。

CO「もう一度。。。さっきの頑なな感じ。。。それを感じて。。。その部分は何て言いたくてそこにいるのかな。。。」
CL「。。。。。。。。遊びたい。。。。うわっ」
CO「。。何が起こりましたか。。。」
CL「。。。急にさっきの黒いものが爆発したみたいに、青空みたいになりました。。。。」
CO「ゆっくりと鼻から呼吸をして。。。そして今身体の内側で起こっていることを感じますよ。。。青空のような。。。広がり。。。」
CL「なんか。。。子どもの頃みたいな気持ち。。。夢中で走って。。。」

クライアントの声がうわずっています。

CO「なんだろう。。。」
CL「なんか切ない。。。。遊んでいるとあっという間に夕方になって。。。家に帰るのがいやで。。。。でも帰って、御飯を食べながら、今日遊んでたことを話して。。。。また明日も遊ぶんだって。。。。あぁ。。。」
CO「なんですか?」
CL「夢中で生きたいんだな。仕事も義務感。義務感っていうと大袈裟だけど、やらねば。。。みたいに生きてる。。。子どもに対しても。。。もっと小さい頃はただただ可愛かったのに。。。。」
CO「そっか。。。。ねぇ。。さっきの青空はどうなりましたか?」
CL「。。。。。あぁ。。なんか身体を超えて広がって。。。今は不思議な感じですけど、青空の下にいるみたいな感じです。。。」
CO「身体の内側はどうなっていますか。。。」
CL「。。。落ち着いています。。。ゆっくり呼吸ができる感じ。。」
CO「そっか。。。あの部分は◯◯さんに何を伝えてくれたんでしょうね」
CL「。。。。。夢中で生きよう。仕事も家庭も。。。そして。。。1日の終わりにみんなで美味しくご飯を食べよう。。。。僕の親もそうしてくれたから。。。」

目を開けたクライアントは涙を滲ませていました。。。とても爽やかな表情でした。

CO「心の声を聴いてみて、どうでしたか」
CL「。。。罪悪感を感じているのかと思っていましたが、違って驚きました。。。でもすごく納得感があったので」
CO「それはよかった。まずは何から始めてみたいですか」
CL「このあと仕事の残りをしようと思ってましたが、来週に回して、午後は子どもたちと思いっきり遊びます」
CO「いいですね!」
CL「はい。でみんなでご飯を食べて、子どもの話をきいて。。。。あ、僕も仕事でやりたいこと、子供と妻に話します」

簡単フォーカシング解説

どうでしたか?フォーカシングの雰囲気伝わりましたかね。コーチは終始ゆったり穏やかに声掛けをしていました。

このクライアントは集中度合いもとても高いし、言語化のスキルも高いですね。初めてフォーカシングを受けた人だとなかなかこうは行かないと思います。とは言え、フォーカシングが何をやっているかわかりやすいケースだったのでご紹介してみました。

さて、フォーカシングでは何が起こるのでしょうか

レゾナンスとフェルトシフト

まずはフェルトセンスというものに気づいてもらいました。

今回のケースだと

家族のことで悩んでる

罪悪感?

重苦しい感じ

みぞおち下の黒い雲状の物

みたいにフェルトセンスにアクセスしていきました。そしてフェルトセンスと繋がりながら「◯◯っていいたいの?」のようにYES/NOクエスチョンを投げかけました。そうするとレゾナンス(共鳴)が起こるわけです。「そうだよ」とか「違う」とかフェルトセンスが反応してくれるわけです。

そうして、だんだんと理解を深めていくと、フェルトシフト(フェルトセンスの変化)が起こっていきました。今回のケースだと

黒い雲状のもの

小さくなり下に移動。頑なな感じ

青空のような広がり

と変化していきました。そして最後には納得感のある無意識からのメッセージが残り、彼の新しい指針となったわけです。

フォーカシングで使う質問

コンセプトがわかればあとは質問ですね。上記の例でも僕は基本的にこの質問で関わっていました。

これだけ覚えよう

フェルトセンスを見つけるための質問
メッセージを尋ねるための質問
レゾナンスやフェルトシフトの確認のための質問

3つに分けて覚えると理解しやすいですね。応用はさまざまですが、まずはシンプルにやってみるのがおすすめです。

いきなり相手にやるのは、とても難しいと思いますので、自分に対してやってみるか、誰かにやってもらうのからスタートするのがいいですね。関西大学の池見陽教授をはじめ日本には素晴らしい指導者の先生もおられますので、興味があれば本格的に学ぶのも良いですね!!

カジュアルにコーチングに取り入れる

普段コーチングコミュニケーションをしている人なら、以下の質問を入れるだけで、カジュアルフォーカシングになります

カジュアルフォーカシング

先ほどの質問とコンセプトは何も変わりません。何が違うかと言えば「よし今日はフォーカシングするぞ」と決めて関わらなくても、コーチングの途中に上図の質問を混ぜていくのです。例えば

CO「本当はどうしたい」
CL「え、のんびりしたいかも」
CO「言ってみてどう?正しい感じする?」
CL「んんん。。。ちょっと違うか」
CO「じゃあなんだろうね」
CL「。。。。。。楽しみたい。。。楽しみたい。。。だな」

「言ってみてどう?」「正しい感じする?」をレゾナンス(共鳴)をチェックするつもりできいてみるわけです。じつは確認の質問の「反芻」はレゾナンスチェックの質問なのです。他にも

CL「うーん。やりたいのは間違いないんだけど」
CO「そう言ってるとき、身体にどんな反応がでてる?」
CL「。。。ちょっとザワザワしてるかな」
CO「ザワザワね。その部分はなんていってそう?」
CL「。。。やめときなよ。。。かな」
CO「どうしてだろうね?」

などもカジュアルに試してみてもいいわけです。

コーチカウンセラーの方々は、ぜひカジュアルフォーカシングも試してみてください。自己理解の精度があがり、結論への納得感があがると思います。

いろんな活用例はありますが、いずれにしても大切なのは、クライアントの身体の感覚にアクセスして、自己理解を深めるということです。

フォーカシングの劇的な応用例はこちら!こんなのに遭遇したらびっくり&感動します↓↓↓

ということで、今回は「探索」とその究極ワークであるフォーカシングのお話でした。


おわり

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