コーチングが簡単になるフレームワーク①
この記事では僕が作った『目線切り替えMAP』というフレームワークを紹介します。シンプルですがかなり便利で多くのコーチが使ってくれている便利ツールです。
コーチングとフレームワーク
ですが、その前に少しだけ、コーチングとフレームワークについて考えてみましょう。
コーチングが単なる雑談にならないためには、フレームワークがあった方が良いでしょう。
フレームワークとは「思考の枠組み」と言った意味ですね。思考の枠や思考の型のことですね。
構造と呼ぶこともありますが、ただ話しているだけで構造=型がないと、まとまらなかったり、結論にたどり着かなかったりするわけですね。
コーチングで一番有名なフレームワークはGROWモデルです
Alexanderというコーチのセッションをモデリングして作られたと言われています。4ステップのシンプルなモデルですがコーチングらしさに溢れています。
ちょっと中身を見てみましょう。
G ゴール
R リソース
O オプション
W ウィル(意思決定)
の順に考えていくという構造になっています。
はい。ここで質問です!
GROWモデルは、どうしてゴールから考え始めるのでしょうか?
。。。
。。
。
そうです。ゴールが現状や問題に影響されないようにです。
クライアントが現状から話し始めると、ゴールをきいたときにどうしても現状に影響されてしまうのです。
クライアント「子どもが言うこときかなくて」
コーチ「あなたが望んでいることは何ですか」
クライアント「言うことをきくようになってもらいたい」
みたいなね。とくに根掘り葉掘り現状をきいてしまうと、どんどんクライアントの意識が現状に行ってしまうので、ゴールを描く時にも現状の影響が大きくなりがちです。
では次の質問。
なんで、ゴールが現状に影響されるといけないのか?
答え。別にいけなくないですけど、勿体ない。人生は基本的にこれまでの延長線上になりがちです。それを超えて行くためにコーチングがあるわけですから、わざわざ現状ベースのゴールを描いてもらうのは勿体ないですね。
「でも、最初にゴールきいたくらいでは、現状から自由になったゴールを描けるの?」
とかの疑問を感じた人。鋭いですね。その通りだと思います。だから現状から自由なゴールを描いてもらいたかったら、他にも工夫が必要なわけです。(それはまた別の機会には書いてみたいと思います)
次、行ってみましょう。リソースについて
GROWのRはリアリティ(現状)だという人と、リソース(資源)だという人がいるのですが、どちらも基本的には同じ考えだと思います。
そもそもゴールの後に現状を考えるのはどうしてでしょうか?
ゴールから現在を見たいからです。
これかなり重要な発想です。
あなたの現在にどんな価値があるかは、あなたの理想の未来が決めるのです!!
将来お相撲さんになりたいなら、太っていることはリソースですね!
将来スーパーモデルになりたいなら、太っていることは課題になる。
みたいなことです。何がリソースで何が課題かは、理想の未来が決める。
そしてGROWのRではまずリソースを見たいわけです。なにが出来ているか。何を持っているか。まだ使ってないリソースにはどんなものがあるか。
そんな風に考えていくと、エネルギーが上がってきたりもします。
そこで次のオプションです。選択肢の意味ですね。
現在のリソースを活用しながら、ゴールに向かっていくときに、
どのようなやり方が存在しているのか、まずは選択肢を増やしたい
わけです。
人は基本的に同じようなやり方を採用しがちなのです。だから一度思い切って選択肢を広げてみる。そうするとこれまでとは違ったいいやり方が見つかったりする。
そうやって、トライしていくからGROW=成長するわけです。
GROWモデルを成長モデルにしているのは、現状から自由なゴールを描いて、実現のためにどんなやり方があるのか選択肢を広げてみるからなのです!
・ゴールが達成できたとしたら、これまでと何を変えたから?
・ラクラク達成できる人は、どんなやり方をしてそう?
・まだ使ってないリソースを使うとどんなやり方ができる?
・思い切って人に任せるとしたら?思い切って何かをやめるとしたら?
みたいな質問をコーチがするのは、そのためなのです。
そして、最後にウィル(意思決定)ですね。広げた選択肢から、どのルートでいくか決めて、さらには、まずは具体的に何から始めるかをしっかりと決めるのです。
GROWモデルは行動主義です。これまでの延長線上でない未来を望むなら行動を変えていく必要があると考えます。だから具体的に何をするかを決め、その行動を取ってもらうことで、未来を変えていくのです。
ただし、このように行動を変えていくことで、私たちは学習します。だから結果としては、行動が学習を呼び、私たちは成長していくこともできるのです。
マイナーだけどWOOPモデルもおすすめ
WOOPモデルはニュヨーク大学のガブリエル・エッティンゲン博士が提唱しているモデルです。
コーチの間ではあまり使われてきませんでしたが、とても役に立つモデルなので、僕はおすすめをし続けています。WOOPモデルは
Wish 願望
Outcome 結果
Obstacle 障害
Plan 計画
の頭文字でできています
・あなたの願望は何ですか?
・目指すのはどんな結果ですか?
・そこに向けてどんな障害がありますか?
・どのような計画ですすめますか?
のような質問をしていくことになります。
このモデルの素晴らしいところの1つ目は、未来が2段階で語られるところです。
Wishは神様お願い!的な願望ですね。
だから自分でできるかどうかを超えて、望む結果について話してほしいということです。わかりやすく言えば、ぶっ飛んだ未来です
だから「願えば何でも叶うなら、どんな未来を望みますか?」くらいの質問はしてみたいわけです。
そして次はOutcomeですね。これは結果という意味ですね。もう少し言うと「様々なプロセスを経て出た結果」みたいな意味。
こちらは私たち人間が試行錯誤してたどり着く結果なわけです。
わかりやすく超訳すると
Wish 様々な制約を超えた、夢のような未来
Outcome このくらいなら実現できるかもという目標
でしょうか。
コーチングでは、このようにゴールを分けてみることは大切です。制約の殆どはクライアントの思考によって作られているのです。
クライアントの思い込みを外して、制約のない未来を描いてみたら、案外実現できる方法が見つかったりします。そうやって未来を変えていきたいのです。
とは言え、制約を外してぶっ飛んだ未来だと、そのまま実現するには、現実からかけ離れすぎているかもしれません。そのためのOutcome(目標)なのです。
まずはここを目指そう!という目標(望む結果)を決めるわけです。
人事を尽くして天命を待つではありませんが、
やれば出来そうなこと(Outcome)の先に、天命(Wish)があるのかも知れません。
そしてWOOPモデルの素晴らしいところ2つ目は、障害を織り込み済みにすることです。
・ゴール達成に向けて動く中で、どんな障害(問題)が予想されますか?
などと質問するのです。
GROWモデルでは障害については質問しません。ゴール達成に向けて必要な行動にだけフォーカスを当てるのです
ところがWOOPモデルでは、あらかじめ障害を予測しておきます。もちろん事前には予測できない障害もありますが、障害の多くは予測できます。
どうしてでしょうか?
ゴールに向かう途中で起こる、多くの障害は、クライアントの思考行動パターンが生み出しているものだからです。
ゴールに向かう途中で
・頑張りすぎて体調崩す
・やりすぎて、家族との関係悪くなる
・人に頼れずにどんどん大変になる
・他のことに手をだしてしまい途中で止まる
・ちょっとうまくいかなくなるとやる気がなくなる
・他の仕事を断りきれずに時間がなくなる
・人から批判的なことを言われ意欲が低下する
など、ありがちなことですし、実はこれらは、これまでも繰り返化されてきたパターンだったりするわけです。
それを一度浮き彫りにしておいたうえで
Plan(計画)の出番です。障害を織り込み済みにしたうえで、対策を盛り込んだ計画を立てるわけです。
開発者のエッティンゲン博士は実証研究の結果として、WOOPモデルを使うと、モチベーションが上がるし、成功率があがる。と言っています
その秘密がメンタルコントラストです。
楽観(WishからのOutcome)と悲観(Obstacle)のコントラストを鮮明にするわけです。
そのことによって
やりたい&やれたらいいなぁ
VS
でも(いつものように)無理か
というような対立が頭の中で起こるわけです。
そのタイミングで、障害対策入りの計画(Plan)の登場です。
そのことによって、
うわぁ!!今回はやれそうじゃん!!!
とモチベーションが上がるわけです。そして実際にゴールに向かって行動していく際に、問題が起こったとしても、すでに織り込み済みだし、対策も用意してあるので、粛々と対策を実行すればいいのです。このことにより、成功確率が上がるのです(これだけで2‐3.2倍上がったと報告されています)
どうでしょうか?
実はGROWモデルではゴール達成のために必要な行動は決めますが、やめたほうがいい行動は決めないのです。
やめたほうがいい行動を取っているから、問題=障害が起こったりしているわけです。
なので、やめる行動を決めておいても良いわけです。でも何をやめたらいいかはちょっとわかりにくいですよね。
なので、
ゴールを作る→途中の障害を特定する→障害対策をするOR障害を起こすような行動をやめる
のような手順で考えると良いのです。
というわけで、2つのモデルでコーチングを考えてきましたが、GROWもWOOPも未来と現在の間のことしか考えてないんですよね。
もちろんコーチングはそれで良いわけです。これまでの何をしてどうなってきたかは、別に未来に向けてはどうでもいいのです。
とは言え、過去から学んだことをコーチングに活かす良さもありますので、
過去から学べる仕掛けを作ったり、他にも、あと2つ工夫を入れたフレームワークが目線切り替えMAPなのです。
ということで次回はいよいよ便利ツール目線切り替えMAPのご紹介です
続く
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