コーチングのゴールと『12の物語』②

コーチングカウンセリングって何を目指して行うのか?

コーチングカウンセリングのゴールを12パターンに分けてみたのが『12の物語』です。これを知っておくと、クライアントの状況がある程度わかったところで、今回のセッションは何をゴールにしようかと決めることができます。そうしたら相手の様子を見ながらゴールに向けてプロセスを作っていけば良いわけです。

今日は3つめからスタート

12の物語(1)

③自分の人生を生きていい。それで人の役にも立てる。

こんなふうに思えるようになることが必要なクライアントがいます。案外、忘れがちかも知れないので、気をつけておいてください。

自分の人生を生きたらダメ。自分の人生を生きるなんてムリ。そんなことしたら居場所がなくなる。評価されなくなる。

そんな風に、思っている人たちがいるわけです。

彼らは自分軸に基づいたゴールなど描きません。ゴールを描くとしても、周りからの期待に基づいたゴール、人から評価されそうなゴールになるのです。

そういう人は

「あなたは何がしたいの?」

と質問されても困ってしまいます。自分がしたいことをやることに意味を感じていないからです。そんなことをしたら、家庭や会社や地域でうまくやっていけなくなると思っているのです。そしてそうやって生きてきた期間が長いと、自分が何が好きだったのかもわからなくなってしまうのです。

そういう人たちのスタートラインは、

・自分の好きなことをやっていい
・好きなように生きて良い
・自分を大切にすることが良いことに結びつく

などと思えるようになることです。

大ベストセラー『嫌われる勇気』のタイトルは、

嫌われないことが目的になっていませんか?

と僕たちに問いかけています。

実は人間には2大欲求があります。

それは

・人とうまくやっていきたい!
・自分らしくやりたいことをやりたい!

この両方が満たされることが人の喜びです。どちらか片方ではダメなのです。

ところが人の人生は所属に関する不安や恐怖からスタートします。人間は弱く生まれます。赤ちゃんは到底1人では生きていけません。子どもであるうちは、誰かに守られること、関心を向けていてもらうことが必要なのです。

だから子どもはあらゆる形で、大人の関心を得ようと努力します。大人が反応してくれそうなことをやろうとし続けるのです。それは、大人に喜ばれるような子どもであろうとする場合もありますし、問題を起こし続けることで、周りに注目されるようにするパターンをとることもあります。

いずれにせよ、周りの関心を惹きつけたり、評価されるような行動をとることを覚えてしまうことが多いのです。

それが大人になっても続くと、嫌われる勇気がない状態になるわけです。

周りに合わせる生き方は、どこかフラストレーションが溜まります。「したいことをしない」そして「したくないことをする」のですから当然です。そのうち麻痺してきたとしても、なんとなくモヤモヤしたりするわけです。

そうすると、嫌な空気を出したり、不満や愚痴をもらしながら生きていくようになったりするわけです。

場合によっては

「私だって我慢してるんだから、あなたも我慢しなさい」
「好き勝手言ってるんじゃない。社会というのはそんなに甘いものではないんだ」
「お前みたいな奴が世の中をかき乱す」

みたいに同調圧力をかけるようになったりするわけです。そうすると周りも不幸ですね。不幸の連鎖が起こってしまう

ではどうしたらいいのでしょう。

アドラー心理学では、「嫌われなさい」とか「人なんてどうでもいい」などとは思っていません。

順番を変えたらいい。そう思っているのです。

人とうまくやろうという欲求を先に満たそうとすると、上に見たように、うまくいきずらいのです。だから自分らしくやりたいことをやろうという欲求から先に満たしてみてほしいのです。

それが「嫌われる勇気」のメッセージだと思います。

まずは自分らしく生きようとすること。自分が心地よくなることを大切にすること。良い状態で生き、やりたいことをやってみること。

そうやって生きていると機嫌がよい状態になります。また好きこそものの上手なれで、うまくやれたり成果が出たりします。

その状態をつかって、周りの人たちに貢献すれば良いのです。機嫌良く暮らしているだけで、周りへの貢献ですし、周りの皆にも

「好きなようにやってみなよ」「応援してるよ」と言ってあげたら、それも素晴らしい貢献です。ロジャーズの中核三条件の一致をしている状態にも近いでしょう。

もちろん、あなたがやりたいと思ってやったことの成果で他者に貢献してもいいわけです。

僕はYouTubeで10年以上の間、大量の情報発信をして全国のコーチカウンセラーに貢献を続けてきました。僕の発信によって成功した人もたくさんいますし、命の危機から救われた人もいます。

でもこれって僕にとっては余熱みたいなものなんですよね。自分が好きでやってることの余熱で人にもあったまってもらってる。それだけです。

noteもそうです。この100日間ほど毎日平均5000字くらい書いていますが、誰かに評価されるためにやっているわけでもなく、好きでやっていることをつかって社会貢献しているにすぎません。

このように、まずは自分らしく生きる。機嫌よく生きる。その上で、少しずつでも人に社会に貢献すること。そのように生きたら「人とうまくやりたい欲求」も「自分らしくやりたいことをしたい欲求」も満たして幸せに生きられるわけです。

もちろん世の中には皆で協力しないといけない課題もあります。夫婦で協力して家計を守ったり、子育てしたりすることは必要でしょう。社員で協力して、利益を出していくことも必要でしょう。

でも、それは自分らしく生きている人同士が、同じ目標に向かって協力するというやり方では不可能なのでしょうか?

そんなことはないと思います。自分をころしてまで達成しなければならないものとはなんでしょうか?それはなんのためにするのでしょうか?そんなふうに生きるしか選択肢がない。本当にそんなことあるのでしょうか?

僕たちコーチはそんな風に考えています。だからクライアントが

③自分の人生を生きていい。それで人の役にも立てる。

という考えにリアリティを感じてくれたら嬉しいなと思っているのです。

自分らしさも、所属や貢献もどちらも諦めなくても良いのです。

アドラーは「もっと広い世界にでなさい」と勧めます。広い世界にでたら

・いろんな人に会えることで、自分らしさに気づく機会も増える
・あなたのままで、楽しく一緒に生きていける人たちと出会える
・あなたらしさや、あなたの能力を求めている人の存在に気づく

そんなことが起こるのです。

さて、クライアントに③自分の人生を生きていい。それで人の役にも立てる。と感じてもらうためにコーチに何ができるでしょうか

いろんなやり方がありますので、いくつか紹介しましょう

A.結末予測
これは、このまま行ったらどうなるかを考えるパターンです(目線切り替えMAPで言うと未来ーのエピソード)。

自分がやりたいことをやらず、人に合わせた人生を生きていくと、自分がどうなっていくか。自分がよくない状態になることで、周りにどんな影響があるかをイメージしてみるのです。

これによって、今のライフスタイルを手放し、もっと自分を大切に、自分にもやりたいことをやらせてあげて、幸せに生きよう。それが皆にとってもいいんだ。と、思える可能性が生まれますね。

B.うまくいったエピソードを思い出す
つぎは、過去の自分がやりたいことをやってたけど、周りともうまくやれたエピソードを思い出してもらうというものです(過去+エピソード)

「あなたが自分らしくいても、周りの人とうまくやれた出来事をいくつか教えてください」などと質問して、それらをありありと思い出してもらえば、「自分らしく生きても良い」「むしろ自分らしく生きるのがいい」と思うようになるかもしれません

C.理想の未来を想像
自分らしく生きている未来を一緒に想像してみることができるのならそれもありです(未来++エピソード)

自分が良い状態でやりたいことをやっているイメージをして、それで周りの人が喜んでいたり、貢献できている未来にリアリティを感じることができれば大成功ですね

D.親友などの視点に立つ
これはポジションチェンジです。親友でも親兄弟でもいいですが、あなたの幸せを願っている人の視点から、あなた自身を見てみるのです。

そうすることで「周りの人のことよりも、あなた自身を大切にしてほしい」などの言葉が出てきて、そこにリアリティを感じたら、自分らしく生きていいんだ!それで人にも喜んでもらえる。そう思えるようになってきますね。

僕自身も「親の期待に応えないといけない」という気持ちをどこかで持ち続けていましたが、当の親から直接「自分のやりたいことやりなさいよ」と言ってもらえて、すごく楽になった体験があります。ポジションチェンジでそれに近い体験をしてもらうイメージですね

E.大切な人のことに置き換えてみる
これは特殊なパターンで、自分の子どもや親友など、あなたにとって大切な人が、自分の気持ちをころして、人のために生き続けていたら、なんと言いたくなるか?を考えてみるパターンです

子どもの幸せを願うように、自分の幸せも願おう。友だちの幸せを願うように、自分の幸せも願おう。そういうことですね

F.何か自分らしい行動をとってもらう
これは宿題をつかったパターンです。コーチからの宿題として、自分の気分が良くなるような行動(ただし承認欲求を満たす系で気分がよくなるのはダメです)を毎日とるようにしてもらうのです。

自分の気分があがる行動の一覧をつくってもらって、実施してもらう。自分の気分がさがる行動の一覧をつくってもらって、それを避けてもらう。そんなことをやるとより本格的ですね。

行動活性化法(行動活性化療法)に近いやり方ですが、とにかく自分の気分がよくなる行動をとってもらうのです。

そうすることで、よい気分で過ごせるようになりますし、自分の気分が良くなる行動を優先するということは、自分軸で生きているということになるのです。

といようなわけで、いくつかコーチができることのアイディアをあげてみました。

クライアントと話をしていて「③自分の人生を生きていい。それで人の役にも立てる」と思ってもらうのが今回のゴールだな、と感じたらぜひ試してみてください。

クライアントがこの感覚がもてると、次回以降のコーチングがうまくいくようにもなってきます。

ということで次回に続きます。

僕たちと人生を変えるコーチングカウンセリングを見つけたい方は以下をどうぞ










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