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育児雑感①

昨年娘が生まれた。37歳(当時)にして初めての子供。

子供は先日1歳になった。

彼女はただ1歳になったわけではない。

親(つまり妻と僕)とその他いろんなひとの見守りとお世話のお陰で無事1歳を迎えることが出来たわけだ。

感想よくこれまで絶滅しなかったな、人類

育児は超過酷な労働だ(適切な表現ではないかもしれないが、しっくりくるのはこのことばだったので悪しからず)。

子供を一人育てることがこんなにも重労働だとすれば、現生人類(ホモ・サピエンス・サピエンス)という生物種がこの世に誕生してから数十万年の間、よく絶滅せずに済んだと思う。マジで。

未成熟のまま生まれ、3ヶ月間首も座らず、生後半年後には母親からの免疫も切れ病気にもかかりやすくなるのに話せも歩けもしない状態が続き、食べられるものの種類も極めて限られ…。なんせ新生児は弱いのだ。悲しいほど弱い。まぁ大人も負けないくらい弱いけど。違う意味で。でもとにかく新生児は弱い。

だから、ここまで親がコストをかける必要がある以上、当然親への負担は重い。それは子供への愛情でカバーできるはず!なんてのは、幻想に過ぎない。愛情で体力は回復しない。実際僕も、最近疲労でダウンした。日々の中でイライラが募ることもまれではない。

先進国の新生児は生後1年の間にほとんど死なない。厚生労働省の2017年人口動態統計によれば、日本の新生児死亡率は、0.19%だ(出生数946,065人に対し、1歳未満の新生児の死亡数は1,761人。これらはもちろん統計上の数字であり、他意はありません。実際にお子様を亡くされた方々には同じ親として心よりお悔やみ申し上げます)。

本物の新生児とその後の1年間の奮闘子育て期間を体験してみると、これはすごいことだと思う。だれかが、言葉の真の意味で「常時監視」していないと、新生児はいともたやすく死んでしまう。しかし、誰かが常時監視することはそれほど簡単なことではない。とくに、核家族化と職住離遠が進んだ現代では。だからこそ、僕は人類の歴史のどこかの時点で常時監視を諦めたとしても、それほどおかしなこととは思えないのだ。もちろん、僕はそれを諦めるつもりもないし、子供のことはもう超愛しているし、自分のこどもは責任を持って育てるつもりだ。でも、実際問題かかる負担の大きさはどうしようもない。その負担を、今現在まで連綿と誰かが常に負い続けてきたという事実に、単純に驚くのである。

もちろん、古代から現代まで人間を取り巻く状況はもうありえないくらい変化した。だから今僕が見ている状況で全てを語るべきではないし、その時々の適応の仕方があったからこそ人類は生き延びて、現在のところ地上で最も繁栄した生物種となっている。

とはいえ、新生児の弱さ自体はサピエンスが種として誕生した当初と変わらなかったはずだ。なんせDNAの構造はほとんど全く変わっていないのだから。したがって、育児に必要な要素も変わらなかったはずだし、それに伴い発生する負担の種類もほとんど変わらなかったはずだ。新生児だけを見れば、100000年前の赤ちゃんと現在の赤ちゃんはきっと見分けがつかないだろう。これほど大変な新生児期の育児を、種として何十万年もよく続けてきたな、すごい。人類すごい。




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