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本との遭遇覚書・冬虫夏草

「つんどく亭の夜」という場を開いています。
近所にある古民家レンタルスペースを借りて、ただ本を読む場所を開いています。
意外と町の中には本が読める場所がないのですよ。
本がある空間を売りにしているところはありますが、そこは「本がある」ことが目的であって「本を読む」ことを目的としていないことが多いのですね。
また本のイベントというと、「本を読む」ことよりも「本を語る」ことが目的となることも多い。
ただひたすら本を読むだけ。本の紹介もしない。感想を語らない。自己紹介もしない。ただその場所に集まり、各々勝手に本を読む。そんな場所が欲しくて始めました。

つい先日も3回目を開いたのですが、毎回実に静かなのです。音楽も流しません。たまに聞こえるページを繰る音のみ。ちょっとしたお茶とお菓子は用意しています。どうぞ好きなように好きなだけ本を読んでください。
毎月1回平日の夜にこそりと開きます。

『冬虫夏草』(梨木香歩)と遭遇。
と言ってもかなり前に。
手に入れてから長い間ほったらかしにしていました。梨木香歩作品だから、『家守綺譚』の続編だから面白いのは間違いない。だから慌てて読むこともなかろう、と思っていたら長い月日が。
ふと思い立って読み始めてみると、思った通り面白い。安心してまた置いておく。
亡き友の家を守る主人公が遭遇する少し不思議な物語。掌編の集まりなので、慌てて一気に読まずとも少しずつひとつずつゆっくり読めばいい。
何となくそこにあるから読んでみる。しおりを挟んでまた置いておく。
そんな本との付き合い方もあるのです。

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