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「ジャーナリズムと建造物侵入罪」第5回 宗教施設は治外法権エリアなのか

 幸福の科学の一般公開施設に取材に入ったら建造物侵入罪だと言われて刑事被告人にされている藤倉でございます。3月15日に東京地裁で、罰金10万円、執行猶予2年の有罪判決が言い渡され、3月25日に控訴しました。同月末に一審判決の判決文も届きました。

 下記のクラウド・ファンディングでご支援くださった皆様には、この記事の連載終了まで、その都度PDF版を無料で進呈させていただきます。

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 日本国憲法は「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」(第21条)と定めています。今回の裁判は、取材・報道の自由と建造物侵入罪との兼ね合いが争われている日本初の裁判ですが、過去、政治ビラ配布活動に関して建造物侵入罪と表現の自由の兼ね合いが争われた裁判がいくつかあります。

 今回の裁判では憲法学者の曽我部真裕教授(京都大学大学院法学研究科)が「建造物侵入罪の成立を否定すべき」意見書を書いてくださっています。この中で過去のビラ配布事件との比較検討がなされています。これを引用しながら、取材目的での立ち入りと建造物侵入罪との兼ね合いを考えてきたいと思います。

最高裁判例は「管理者の意思」優位

 曽我部氏の意見書で参照されているのは、「吉祥寺駅構内ビラ配布事件」(昭和59年12月18日最高裁判決)、「立川自衛隊宿舎反戦ビラ配布事件」(平成20年4月11日最高裁判決)、「葛飾政党ビラ配布事件」(平成21年11月30日最高裁判決)。いずれも有罪判決です。

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