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学校に出ては 書物を読ミ 又手習すべし◯書物は事物の理を知り 手習ハ 文字の形を学ぶ


封面/題言

水渓良孝図解・國井應文書『小学入門便覧』(文求堂、明治8年5月官許、同年7月刻成発兌)。明治検定以前の教科書(明治6年-13年)。

題言/四十七字/五十音/濁音/次清音/數字/算用數字ノ図/羅馬數字ノ図/加算九九ノ図/加算九九暗誦読方/乘算九九ノ図/乘算九九讀方/單語図一〜八/連語図一〜十/線及度之図/面及體ノ図/色図/色図略解/體操図解/跋/奥付

これ一冊で明治初期の日本の小学校の教育レベルが判るというだけでなく、その生活がかなりクリアに見えてくるような気がする。書物に関する記述を拾ってみる。

学校に出ては 書物を読ミ 又手習すべし◯書物は事物の理を知り 手習ハ 文字の形を学ぶ◯授業の始ハ 午前七時 授業の終ハ 午後三時なり◯読み書きの外ハ 算術を学ぶべし◯遊歩を為すハ 運動の為◯運動を為すハ気を散じ体を養ふがため◯運動をハれバ 又書物を読み 手習し算術を学ぶ

連語第二

我邦の家は木にて作り 西洋の家ハ瓦石にて畳む◯前に机を居ゑ 後に書架を置く◯机にハ 墨硯筆紙を載せ 書架にハ 和漢西洋の書を積めり 

連語第七
四十七字
數字/算用數字ノ図/羅馬數字ノ図
單語図
單語図より「本」「墨」

ほんハ紙にて製し板木にて種々の字を摺り人の是を読むためになす物なり

單語図「本」の定義
連語図第二〜第三
線及度之図/面及體ノ図
面及體ノ図/色図
色図/色図略解
體操図解
體操図解
跋/奥付

奥付に発兌書林の一覧が出ているのが興味深い。地域だけ数えると、東京、大阪、名古屋、岐阜、金澤、福井、宮津、峯山、豊岡、福知山、亀岡、大津、京都。リストの末尾に挙がっている寺町四条上ルの田中治兵衛が仕切っていたようだ(文字が少し他より大きい)。江戸から明治にかけてはこういうリスト(版元および売捌所)が付されるのが普通であったが、これはたくさん集めてみると面白い〈本屋誌〉が描けるかもしれない。

表紙(題箋欠)

山下良峯『小学入門要覧』(中井久治郎、明治12年翻刻御届)
https://sumus2018.exblog.jp/30841190/

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