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令和6年「現状打開公開討論会 若輩者の立場から」

晴天の桃の節句、凍てつく外気をくぐった先にある熱気の場に身を委ねた。
会場はかながわ労働プラザの多目的ホール、300人は収容できる大会場であり、過去に参加した右翼の集会とは一種違った緊張感が漂っていた。これから始まる前代未聞といえる若手右翼による公開討論会の行方が、主催する菊水國防連合・國防研究會はじめ誰もが想像もつかないからでろう。それだけの期待と高揚感が会場を覆っていた。


開催趣旨

きっかけは過去の國防研究會において「若手右翼が何を思っているかを聞きたい」という意見が出たことによる。
時を同じくして十代の若手右翼が複数名誕生したこともあり、10代、20代の右翼に限定した討論会を開こうという流れとなった。
高齢化の波は右翼業界にも押し寄せる中、これだけの若手が集まる機会は前例がない。普段行動をともにしていない団体が協賛に名を連ねているのも、若手右翼への注目や期待を表していた。彼らがなぜ右翼に入ったのか、そして今何を思っているのかは多くの耳目を集めたゆえの熱気であった。

登壇者(年齢順)※年齢は登壇当時

石破肇國(いしば としくに)15 維新政党新風
秋津和(あきつ なぎ)17 山口二矢顕彰會
白石湊(しらいし みなと)18 民族の意志同盟学生戦線
仲谷忠憲(なかや ただのり)22 皇極社
加藤百(かとう もも)25 山口二矢顕彰會
坂井毅(さかい つよし)25 言論同志會
早乙女悠(さおとめ ゆう)28 義清塾
※維新政党新風は右翼団体ではなく右派系政治団体であるため、告知ポスター上での石破氏の肩書はなく「個人」での参加であったが、当ブログにおいては便宜上政党・団体の区別なく記していく。

動画

本会の全編が「大吼ジャーナル」YouTubeにて公開されている。
最初の動画のリンクを貼っておくので興味のある方は全編を見てほしい。

会の流れ

「公開討論会」と銘打ったものの、朝生のようなクロストークが展開されるものではない。今日初めて顔を合わせるものも多く、またこうした経験も少ない登壇者において「フリー」の状態にするのはリスクがある。そのため進行係として日本国民党の金友隆幸氏のリードにより質問が投げられ各氏が答えるという流れで進められた。
振り返ってみてもこの進行は成功と思われ、一人当たりの回答時間は合計10分程度だったが、同じ10分の持ち時間で一人ずつ演説を行うよりも深く幅広い意見が交わされた。
また、いずれの回答も司会者に近い順であったため常に石破氏が最初だった。大きなプレッシャーだったと思うが、後の流れを作る良い回答が続き大役を務めあげていた。

きっかけ

はじめに右翼運動に参加したきっかけを問われた。
皇室に興味を持った、戦国時代の切腹から三島由紀夫に派生した、対人関係の問題、父と靖国神社に行った、学生時代に社会に興味を持った、行動保守の運動をネットで知った、父の影響、など。
かつての「右翼」といえば暴走族の延長で街宣車に興味を持ったり先輩の斡旋であったりが主流であったが、一人もそうした話は出なかった。
むしろ加藤氏に至っては「街宣運動ではない」という理由で時対協・山口二矢顕彰會への入会を決意したという。間違いなく「街宣右翼からの脱却」の賜物であろう。
唯一、早乙女氏が靖国神社で街宣車を見たことを挙げていたが、そこから全愛に興味を持ち門を叩くという流れには現代風を感じた。
石破氏や白石氏などネットやTwitter(X)などがきっかけとなった例もあるが、ネット右翼として活動するのではなく実体のある、もしくは歴史ある右翼団体・政治団体に属するきっかけとなった点は更に掘り下げて聞いてみたかった。

個性と団体の色

その他の質問では「右翼運動の中で印象に残っていること」や「尊敬する人と好きな言葉」といった定番のものから「今の右翼の良いところや課題」といったきわどい質問も交わされた。いずれの質問も澱みなく答える様はまさしく右翼活動家であり、そこに「若手」というくくりなど存在していなかった。
質問に回答する中で、所属する団体の色も強く出ているように感じた。
言論同志會の坂井氏は自身の農業に従事する経験から農本主義の橘孝三郎を挙げ、現代の農業の高齢化について論じた。
全愛会議・義清塾の五月女氏が語った対SEALsへの抗議活動は、まさしく全愛らしい活動であった。
皇極社の仲谷氏は「右翼の良い点」として系譜について語った。曾祖父に玄洋社の平岡浩太郎を持つ田中健之が作った団体に所属するがゆえに発せられた言葉であろう。
山口二矢顕彰會の秋津氏は「敬神尊皇」について神武天皇から語るのではなく地神五代から学ぶべきとの指摘をし、地神五代全てを諳んじてみせた。この胆力には感服した。
いずれの回答からも、各人が所属する団体で正しく学び、その団体に誇りを持っていることが端々から伝わった。自ら門を叩くだけあり、堂々と、自信に満ちた答弁であった。

事前準備

上記の回答からも登壇者が何も持たずにやってきたわけではなく、入念に準備した形跡が伺える。
民族の意志の白石氏は当日朝に森垣委員長直々に講義を受けており、こうした点からも団体の未来を背負っていることが伺えた。
当の白石氏、昨冬の民族の意志同盟の集会においても異彩を放っていたが、今回も人の心に残る言葉が見受けられた。個人的には「子どもは大人よりも敏感であり世界を鮮やかに感じているからこそ、子どもが幸せになる社会であるべきだ」という言には膝を打った。
全愛会議議長の新井議長から「今日一番気に入った」との言葉もあり、型に嵌らないからこその右翼人であり、民族の意志らしさが見られた。


尊敬する人物と好きな言葉

質問の半ばで「尊敬する人物と好きな言葉」というくだりがあった。
自身に当てはめたときにどうしても野村秋介に偏ってしまうと思いながら聞き入っていた。私にとって尊敬する人物は野村であり、好きな言葉は「言葉を伝える闘い」である。鈴木邦男が野村と話しているときに聞いた言葉であると鈴木の書で読み、爾来座右の銘にしている。

よもやま

かくして熱気に包まれたままに3時間弱の討論会は終了した。開始前後や休憩中に見えた光景を最後に記す。
下記にある協賛団体からも分かる通り、この討論会は今まで共闘したことのない団体が多く参加し、右翼界からもネットからも様々な人が来ていた。森垣委員長を出迎える河原議長や、森垣氏、河原氏、丸川氏の三者が談笑する様子など、長年右翼陣営を見てきた者ほど感極まるシーンがいくつも見られた。
Twitter上で名を聞く人も複数参加していたようで、参加者の幅の広さを感じた。この裾野が更に広がることを願う。

協賛団体(五十音順)

神奈川県維新協議会
関東協議会
九州共闘委員会
國防協議會
國民協議会
時局對策協議會
志の会
松籟維新聯合
新日本憂国連合評議会
青年思想研究会
大行社
大日本憂國協議會
日守木會
北陸民族青年会議
宮城県民族友誼団体
民族革新会議
憂国清心同友会
励志救國協議會

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