キーボードの沼 その3


その1(https://note.mu/daioki/n/n0acef90fe21f
その2(https://note.mu/daioki/n/ncaecec12640b
からの続きです。

(あらすじ)新しく作ったキーボードのキースイッチの感触がいまいちピンと来なかったので、はんだを剥がしスイッチを入れ替えた。

とにかく、初めて自分で全ての部品をチョイスしたキーボードが完成した。キーキャップは安く買ったものをとりあえず付けていたが、ここもこだわりたい。情報を集めていると良さそうなキーキャップが出てきた。
https://www.massdrop.com/buy/massdrop-x-mito-canvas-xda-custom-keycap-set
これは良さそうだ。でも購入ボタンがない。このサイトは何だろう。ここはMassdropというサイトだった。ユーザーが理想の商品を提案し、賛同者を募る。ある程度投票が集まれば実際に作成され、一定期間のみ販売されるというイメージだ。違ったらごめん。
https://www.massdrop.com/mechanical-keyboards
メカニカルキーボードのカテゴリもあり、よくキーキャップなどが販売されている。

先程見つけた良さそうなキーキャップは、以前Massdropにて販売された商品で、今は買うことができない。残念だ。そう思っていたら、奇跡的なタイミングでいくつかのキーキャップが再販するという。先程のキーキャップもラインナップに含まれている。これはチャンスだ。販売開始から数時間後にアクセスすると、すでにいくつかの再販商品は在庫が無くなっている。しまった、こんなに争奪戦が起こるものだったのか。あわてて注文する。どうやら自分が欲しいカラフルなオプションキーは売り切れている。仕方ない、おそらくこれを買っておけば大丈夫だろう。なんかこれだけ安いな、標準セットだからかな?とにかく注文だ。フォント違いが2つある。安いし、2種類買おう。…そして数カ月後に届いたキーキャップは、なんか数が少なかった。

何故キーの数が少ないんだろう、数字キーもない。自分の購入した商品の名前を見ると「Planck」と書いてある。調べてみた。
https://olkb.com/planck/
そう、僕が注文したのは2種類とも、自分の作った60%キーボードよりさらにコンパクトでキーの少ない40%キーボード用のキーキャップセットだったのだ。このキーキャップどうしよう。確かに見た目はかっこいい。使いたい。だが少ない。いっそこのキーキャップに合う40%キーボードを作るべきなのか?そう考えていたところで、その2冒頭に書いた分割キーボードが頭をよぎる。あれって、40%キーボードとキー数が同じなんじゃないか?

分割キーボード「Let’s Split」の詳細を改めて調べた。どうやら自分が買ったキーキャップがちょうど使えそうだ。そういえば、自分がPC付属のキーボードを使わなくなった理由が液晶タブレットとの相性を考えての事だった。この分割キーボードなら、液晶タブレットの両脇に置くことができるかも知れない。絵を書く時の左手ショートカットにも良さそうだ。よし、Let’s Splitを作ろう。そう思って基板の販売サイトを調べたが、そのタイミングで見つかった全てのサイトで在庫が0だった。さてどうしたものか。さらに調べていると、国内にも分割キーボードのキットを販売している方がいるらしい。設計図の公開されているLet’s Splitの不満点を改善したり、自分で基板を設計したりもしているらしい。

まず見つけたのはLet’s Splitが縦に1列多くなり両親指部分に2キー足された「Helix」というキーボード。薄さにもこだわっているらしい。液晶がかっこいい。だが、販売サイトに行くとこれも在庫がない。twitterで検索すると、どうやら数日前に販売が行われすでに売り切れたらしい。一足遅かった。次に「Ergo42」というキーボードを見つけた。こちらはLet’s Splitを横に一列伸ばしたキーボード。こちらも薄さがある。そして…購入ボタンが押せる!つまり買える!購入だ。発送までは数週間かかるが、他に自分で揃えなければいけない部品もあるし、先にそのへんを調べておこう。また前回のキーボードと違って自分でファームウェアのビルドを行わなければいけないようだ。よくわからんが難しそうだという雰囲気はわかる。だが説明書もある。大丈夫だろう。そう思いながら数週間待つつもりでいたら、なんと「Helix」の基板とプレートを余分に買った人から売ってもらえる機会が到来した。これは買うしかない。これも買った。秋葉原や通販でパーツを揃えた。さあ作ろう。

そもそも自分が間違って買ったキーキャップに合うキーボードを探していたのに、気づいたらそこからいくつかキーが増えたものを作る事になってしまっている。足りないキーはブランクキーキャップという表面に何も印刷されていないものをAliExpressで購入し補った。キースイッチは、今回は適度なカチカチ感があるという茶色にしてみよう。いろいろあって完成だ。

かっこいい…。ブランクキーキャップが混ざっているのは気になるが、まあいいだろう。そもそも自作キーボードをやっている人たちはすべてのキーをブランクキーで揃えている人も多い。つまり表面に何も印刷されていないキーボードだ。玄人感がすごい。まあそれはともかく完成した。いいからタイピングだ!
…あれ?茶色のスイッチ、なんか「違う」な…。

ここでまたキースイッチ問題が発生した。どうやら押したときに若干のクリック感のある茶色軸は、自分の好みではないらしい。人間の指先は敏感だ。少しの感触の差が違和感を生む。人によってはまたキースイッチを1つ1つ分解してグリスを塗って滑らかにするらしい。ようやるわ。ともかく違和感は拭えない。またAliExpressで注文しよう。Ergo42も届くことだし、2種類注文だ。でも両方前と同じ赤軸だけ注文するのも面白みがない。せっかくだから別の色も買ってみよう。どんどん深みにハマっていく気がした。

2種類のキースイッチとErgo42がほぼ同時期に到着した。キースイッチの感触を確かめ、Helixにつけていた茶色のキースイッチのも剥がし、それぞれつけていく。はんだを付けるのも剥がすのにも慣れてきた。完成だ。

上がHelix、下がErgo42。間違えて買った2つのキーキャップをどうしようというところから、2つの分割キーボードが生まれた。ちなみにHelixのブランクキーキャップにはアイロンによる昇華印刷で印字を行った。Ergo42のほうにはひとまずマスキングテープを貼ってある。

新しく届いたキースイッチも悪くない。というか、Gateron Silent Red(Gateron社の静音赤軸スイッチ)、感触がめちゃくちゃいい。若干のカサカサ感はあるが、最高だ。そう思っていたところ、例のカスタマイズを思い出す。以前「ようやるわ」と思っていた、スイッチを1つ1つ分解してグリスを塗るやつだ。気づいたらSuper lubeという潤滑油をamazonで注文していた。翌日到着。さあ分解だ。基板にはんだ付けされたキースイッチの蓋を取り外し分解する方法も検索すると見つかったが、メーカーの違いか工具の違いかだいぶ時間がかかる上にプラスチックが変形する。これなら一度はんだを外したほうがいい。また全てのはんだを外した。何回やるんだこれ。そして全てのキーキャップを1つ1つ分解し、内部のパーツにグリスを塗り、また戻す。それを全てやった。若干のカサカサ感のためにここまでした。ようやるわ。翌日は買ってみたものの若干重いかなと思っていた別のキースイッチのバネを軽いのに交換したりしていた。もちろん1つ1つ分解して、グリスも塗った。ようやるわ。

とりあえずハマった経緯を簡単に書くつもりがここまでになってしまった。ここに書いてない試行錯誤もそれなりにある。基板にファームウェアを書き込むのに失敗してただの板になってしまったりしたこともある。あと液晶タブレットの両端に置いて使うのはかなりキツイことも分かった。
https://twitter.com/daioki_katsudou/status/984659838176129025
でも楽しい。それに作ったものが日常的に使えるのもいい。

最後に、完成したキーボードでテストタイピングをしていたときに表示された文を貼っておく。


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