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#008 DAISプロジェクト×ツキさん アドバイザーは最大の味方です!~片思いは辛いよ~

NPO法人DAISの理事長であり、DAISプロジェクトの第一回目(2018年)からアドバイザー(プレゼンに対してビジネス観点で評価・指導等を行う役割)を務めてくださっている、ツキさん(月原光国さん)に、満を持してお話を伺いしました。
ツキさんが感じているアドバイザーの使命や苦悩、DAISプロジェクトの楽しさが盛りだくさんのインタビューです!

【インタビューを受けてくれた人】
ツキさん(月原光国さん) 製造業(経営) DAISプロジェクトの役割:アドバイザー
【インタビューした人】
あっきー(石津亜紀)

アドバイザーの存在は「答申の質を上げる」ため

【Q:2018年の初回からアドバイザーとして参加してくださっている、月原さんの信念を教えてください】

「答申の質を上げる」ということを柱にしていますね。DAISは素敵なプログラムだと思っているので存続させたいし、理事長という役目もある。DAISを大勢の人に経験してもらうためには、答申先に恵まれなければいけないです。答申先がいなければ成り立たないプログラムなので、答申先を今後も確保し続けるには答申の質を上げるしかありません。それが、アドバイザーとしてできる唯一のことですね。

それともう一つは、答申先もそれなりにチャレンジングな決断をして、多くの関係者や町長さんや村長さんを巻き込んで、その地域が抱えるリアルな課題を提供してくれているので、誠意をもって対応しなければいけない。その誠意って答申の質しかモノサシはない。なのでやっぱり、答申の質を上げるの一言に収斂されるんですよね。

また、これまでの経験上言えることは、プレゼンには具体的なダメ出しが必要ということです。各チームに委ねて任せっきりでは限界があります。最後はチームの力で乗り越えてもらわないといけないけど、それぞれが思い描く高さがバラバラなうちはそれが必要です。

中間プレゼンテーションの評価中

例えば、「あ、この打ち上げ角度と軌道では、全然届かないよ」って横で見ていたらわかります。正直、最初から打ち上げ角度が十分に高いという状態にはあまり出くわさないですね。本人たちはそれなりに一生懸命だったりしますが、自分がイメージする「研修」という枠組みで捉えていたりするので「これで十分でしょ」という感じも多分ある。

だから、伝えてあげなければいけない。それはある意味ダメ出しや否定になってしまうということなんです。でもそれを率直に言わないと、そして早いうちに言わないとあとが大変で。着地寸前に高度が全然足りていませんよって言われても、飛んでしまったロケットはどうしようもないですよね。

なので早めに言ってあげたいし、自分のダメ出しが高度をあげる燃料になればいいなと思ってます。

「否定された」「刺激になった」アドバイザーへの声

【Q:月原さん的には熱い想いが込められたダメ出しでも、参加者によっては「否定された」と捉えられる場合も多いですよね。】

やる気を削がないようにとか、ただの否定に終わってしまわないようにというのは心がけていて、必ず建設的な考えに転用してもらえるように伝えようとは思っていますが、それが中身によっては否定と捉えられてしまって、「この人たちは何の権利で自分たちのアイデアを否定するんだ。この人たちの審査を受けるわけじゃないのに」という思いにさせてしまったこともあったかもしれないです。

【Q:ただ、アンケートを見ていると、「経営者からのアドバイスは今までになく刺激になった」というコメントもとても多いです。ある意味すごく影響を与える立場ですね。】

アドバイザーの士気って大切だと私は思っています。
普通に寄り添って「いいね」「がんばれ」だけじゃ、採択されません。我々アドバイザーも答申先が何を求めているのかをすごく考えます。自分が答申先ならこういうものを求めるなと思い描くものを一つの判断基準にしていて、そこに達していないものは達していないと率直に言うしかない。

その基準が必ずしも、答申先と同じという保証もないけれど、答申先からも直接話を聞くなどして、少しでも理解しようと努めています。

【Qそのような見えない努力もあるんですね。フィールドワークに出られたこともあると聞きました。】

毎度は難しいですが、その町の空気感を感じるために極力伺いたいと思っています。実際に、町の人、役場のひと、担当者の顔や声に少しでも触れると、今回のお題はこう捉えないといけないなというのはわかってきます。そういうのはとても面白いですね。

アドバイザーと事務局のフィールドワーク

ツキさんが好きな瞬間、嬉しい時間

【Qその町に触れる面白さや楽しさについてもう少し聞かせてください。】

何が楽しいんだろう・・・。
Webサイトの理事長挨拶にも書きましたが、本当に「意気に感ずる(相手の何かをしようとする心持ちに、自分も何かをしようという気になること。)」という瞬間がすごく好きですね。

リアルな課題をいただいているので、まさにリアルに困っているということじゃないですか。そこに接する機会があるのならば、見て見ぬふりして通るわけにはいけない。

「惻隠の情(困っている人を見捨ててはおけない気持ち。助けずにはいられない心。)」という言葉があります。人間誰しも「惻隠の情」というアンテナは持っていますが、人によって感度が違う。感度の高い人につられて周りが動き出すというのが、DAISはいたるところであって、それを横で見ている楽しさはありますね。その空気に触れるのは嬉しいな。

アドバイザーは障害か?自分自身が成長を実感するのは「壁打ち」の時間。

【Q:アドバイザーとしての使命感と、月原さんの価値観がマッチするところがあるのですね。】

僕は、チームの最大の味方だと思っています。協力者。援助者。でも時に彼ら彼女らは最大の障害と思っている。片思いは辛いなあ(笑)。
でも「壁打ち(アドバイザーに自由に疑問をぶつけたり助言を求めるセッション)」というくらいなので、「壁」になる力がないと、壁打ちにならないじゃないですか。壁にもならないといけないのなら、やっぱり障害なのかな(笑)。

でも一方で、アドバイザーとしての自身の成長を一番実感するのは「壁打ち」の時ですね。前回は、壁打ちの希望が来ないチームもあってすごく悲しかったなあ。
中間プレゼンの時は、プレゼンを聞いてわずか1、2分後で、しかも制限時間があるので、一方的で断片的な話になってしまう。フィードバックに対する反応ももらえないので一方通行なんですよね。

でも、各チームに最低1時間はどっぷり向き合う「壁打ち」は、こちらからも聞けるし、向こうからの質問も多い。改めてよくよく聞いてみると、プレゼンで聞いていた意図と違う意図だと気付いたり。それならここをもっと伸ばせばいいという話がじっくりできます。要は全8チームの、いわゆる事業創造に関わっているということです。全部自分なりに必死に協力して考えてという環境なので、こんなに面白いことはないですね。

ストレングス・ファインダーで自分の強みを分析したところ、強みは「着想」でした。
着想することが好きなんですよ。着想こそ勝負みたいなDAISは、アドバイザーとしてチームの着想に一緒に寄り添う中で、許される範囲で自分の着想も補助的に伝えることができる。なので、自分の一番好きなゾーンがDAISのプロジェクトの中にずーっとある感じです。

アドバイザーを”活用”してください!最大の味方です!

答申先のある日の風景

【Q:これからDAISに参加しようかなという人に月原さんからメッセージがあれば。】

アドバイザーに関して言うと、「アドバイザーは最大の味方なんです」というのは知ってほしいですね。敵に見えたり、壁に見えることもあるけれど、最大の味方なんです。ぜひ活用してください。

また、DAISは、「これが研修の効果だ」という定型的なものはなくて、取り組む人の姿勢で得るものが色々変わります。

みんな「何を教えてくれるんですか?」「どれだけ成長するんですか?」という、問いかけから逃れられないんです。実際は自分自身の向き合い方次第で、大きく変わるものなんだと早く気が付いてほしい。
半分くらいの人は途中で気がつきますね。でも終わっても気づかない人もいます。気づかない人は、「あの研修は何だったんだ」と懐疑的なままだったり、いくつか受けた研修の一つで終わってしまってたりもする。それは残念だけど。気づいた人の中には、事務局メンバーやリフレクションパートナーで帰ってきてくれる人もいます。

だから、いただいた課題やチームメンバー、そして何よりも自分自身と真摯に向き合うことで、その人にとってものすごく大きな可能性が得られるのがDAISだということを伝えたいですね。


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