サン・ジャン大聖堂の天文時計

L'horloge astronomique de la cathédrale Saint-Jean

600年余りの時空を超えて
時を刻む天文時計

 ソーヌ河右岸、フルヴィエールの丘の麓に位置するリヨン旧市街のルネサンス地区。この地区の中心にサン・ジャン大聖堂があります。12~15世紀にかけて建立されたこのロマネスク・ゴシック様式の大聖堂(cathédrale)は、リヨン大司教座が置かれている権威ある大聖堂です。1600年には、アンリ4世とメディチ家のマリー・ド・メディシスの結婚式も執り行われました。

 天文時計は、このサン・ジャン大聖堂の中、北側翼廊の角にあります。天文時計とは、時刻だけでなく、太陽や月といった天体の動きを表す「アストロラーべ(astrolabe)」や、毎年の暦や宗教行事を表す永久カレンダーのある機械式の時計のこと。多くは、からくり人形がついており、この大聖堂も例外ではありません。

 大聖堂の天文時計は、14世紀より造られ、コペルニクス以前の天動説に基づいたヨーロッパで最も古いものの一つ。石造りの3層構造で、2辺の幅はいずれも約2メートル、高さは約9メートルあります。1日4回、鐘の時報とともに機械式のからくり時計が動きます。

 エリック・デマルケさんは、3代にわたってこういった教会などの建造物にある時計や鐘の保守、調整を行なう「campaniste」と呼ばれる職人。ふだんは、5日に1度、天文時計のすべての機械部分を動かす300キロのおもりを40メートルあるケーブルで巻くとともに、天文時計の機械部分の細かな調整を行なっています。この「機械式時計」のオーバーホールは約50年に1回。前回は、先代の1992年のときだったので、次は早くても20年後とのこと。

 600年余りもの間、リヨンで時を刻み続けている天文時計。近づいてみるとほら、中世の音が聞こえてきますよ。

information

Primatiale Saint-Jean-Baptiste de Lyon
8 Place Saint-Jean 69005 Lyon
http://cathedrale-lyon.cef.fr
Métro C : Vieux Lyon



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