ペルージュ

Pérouges

中世にタイムスリップ?
ペルージュの「ティボー家の人々」

 リヨンから北東約40キロ、小高い丘に位置する城塞に囲まれた中世そのままの村、ペルージュ。この村は、「フランスの最も美しい村 Les Plus Beaux Villages de France」にも登録されています。城壁内の人口はわずか80人で、ゆっくり歩いて一周しても1時間もかかりません。1996年に開催されたリヨンサミット(G7首脳会議)では、当時のビル・クリントン大統領や橋本龍太郎首相も訪れています。

 ペルージュの名前は、イタリアのペルージャ出身者が村をつくったことに由来すると言われています。その後、17世紀まではサヴォア公国の「国境の村」として塩や織物の取引をする定期市で賑わいました。しかし、19世紀末に鉄道が開通すると、商業の中心は丘のふもとのミクシミューに。ペルージュはその当時、なんと人口十数人にまで落ち込みました。そのうちの1家族がティボーさんのご家族です。

 ここからのペルージュ復興の歴史は、ティボー家なくしては語れません。リヨンで化学の教鞭を執っていたティボーさんの祖父は、同僚の文学の教師、エドゥアール・エリオ(のちのリヨン市長、フランス首相)と共にペルージュ保護委員会を設立。城壁内の朽ち果てた家々を買収し、修復していきました。

 現在のペルージュ名物ガレットは、ティボーさんの祖母の考案。バターを練りこんだブリオッシュ生地に、バターと砂糖をかけてカラメリゼしたものです。やわらかい生地とクリスピーな表面との味のコントラストが楽しめます。そして、もうひとつの名物である食前酒「イポクラス l'Hypocras」との相性も抜群。このお酒は、ティボーさんの祖父が14世紀の料理人、タイユヴァンのレシピをもとにワインにスパイスやハチミツを加えてつくったものなのです。

 ティボーさんは、父親と共にホテルレストランを営みながら、ペルージュ保護委員会の事務局長を長らく務めてきました。お店は、1792年に植えられた菩提樹「自由の樹」がある中央の広場に面しています。今では5代目に当たるティボーさんの息子と娘さんが経営を担っています。

 ペルージュを訪れて、中世にタイムスリップしてみませんか?

information

Hostellerie de Pérouges
Place du Tilleul 01800 Pérouges
http://www.hostelleriedeperouges.com

ペルージュ観光局
http://www.perouges.org

mémo

ティボーさんのオステルリー(レストラン)のガレットは、食べた分だけ後で支払うシステム。歴史的建造物に指定されている中世そのままの内装、家具、暖炉も必見です。



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