リヨンの「ドリフ」、ギニョル

Guignol

リヨン生まれのキャラクター
ギニョルとニャフロン

 ギニョル(guignol)とは、糸で操るのではなく、人形に直接手を入れて動かす操り人形(マリオネット)のことです。ローラン・ムルゲによって19世紀初頭にリヨンで誕生しました。

 当時、ムルゲは「歯抜き」を生業としていて、歯を抜くときにお客が怖がらないよう、イタリアの伝統的な風刺劇コメディア・デラルテの道化師、プルチネッラのマリオネットを使って、お客の気持ちをなごませていました。

 その後の経緯は明らかになっていませんが、歯抜きの仕事をやめ、本格的に街頭マリオネット劇場をスタートさせたようです。しかし、パートナーである酒好きのトマは、なかなか仕事に来ません。そこで、彼を模した鼻の赤いのんべえのキャラクター「ニャフロン(Gnafron)」が生まれました。その後、プルチネッラに代わる新しい主人公としてムルゲ自身を模した「ギニョル」が誕生したとのことです。

 ギニョルの劇は、基本的にはセリフが多く、菩提樹でできた頭部や手を舞台に打ちつけてのドタバタ喜劇。子どもが喜ぶシーンもお約束です。大人にしかわからない、風刺の効いた「大人のギニョル」の演目もあります(かつて、ギニョルは大人向けでした。19世紀、ナポレオン3世の検閲によりたくさんの劇場が閉館の憂き目に遭ったそうです。)

 テット・ドール公園内、動物園の隣にある「ギニョル広場」には屋外のギニョル劇場があります。ここは現存するリヨン最古のギニョル劇場。時間になると周りに目隠しのカーテンが引かれ、レンガ造りの立派な舞台で伝統的なギニョル劇が演じられています。

 リヨン市内には、常設劇場が旧市街に2カ所、クロワ・ルース地区に1カ所、屋外劇場がテット・ドール公園内に1カ所と、計4カ所のギニョル劇場があります。ムルゲの胸像も旧市街にあります。学校が休みの水曜日や週末には、子どもたちや、かつての子どもたちの笑い声が絶えませんよ。

information

Véritable Guignol du Vieux Lyon eet du Parc Tête d'Or
Place de Guignol, Parc de la Tête d'Or, 69006 Lyon
http://www.theatre-guignol.com

Théatre la Maison de Gugnol
2 montée du Gourguillon 69005 Lyon
http://www.lamaisondeguignol.fr

mémo

ムルゲの作ったギニョルは、ガダーニュ博物館内の世界のマリオネット博物館に展示されています。
http://www.gadagne.musees.lyon.fr




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