リヨンの郷土菓子、ビューニュ

Bugnes

中世から続くリヨンの郷土菓子
ビューニュ

 「ビューニュ(bugnes)」は、リヨンを代表する揚げ菓子。パリパリとした薄い長方形やリボンまたは手綱こんにゃくの形をしており、どれも大量の粉砂糖がかかっています。このビューニュという名前の由来は、揚げ物を表すbeignetと同じく、古フランス語のbeigneやbeugneが変化したものと言われ、リヨンにしかない呼び名です。

 毎年3月末~4月末までの復活祭(Pâques)前の40日間は、肉、卵、乳製品を断つ禁欲期間の四旬節(carême)。その禁欲期間に入る前のお祭りが謝肉祭です。謝肉祭最後のお祭り、マルディ・グラ(Mardi gras)には卵をたくさん使ったクレープや、ドーナツなどの揚げ菓子を食べて身体に脂肪を蓄えるという習慣があります。しかし、リヨンの「ビューニュ」は、中世のときからマルディ・グラだけでなく、その後の禁欲期間中でも例外的に食べることが許されていた揚げ菓子です。四旬節の最初の日曜日は(le dimanche des Brandons)は、「ビューニュの日曜日(le dimanche des bugnes)」と呼ばれているほどです。

 リヨンでは、毎年マルディ・グラが近づくと、このビューニュがパン屋さんやパティスリーのショーウインドーに並びます。作り方は簡単なので、家庭でも手軽に作られるお菓子です。もちろん、リヨンっ子(gonesといいます)の大好物。

 ビューニュの特徴はふつうの揚げ菓子とは違う、軽い口当たり。ホロホロと生地が崩れやすく、たくさんの粉砂糖がかかっているので、きれいに食べるのがとても難しいお菓子です。失敗してテーブルを粉砂糖だらけにしてしまった人には、bugneにちなんで「Quelle bugne(おばかさん)!」と言うそうですよ。

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