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貧乏ゆずり : 妄想ショートショート005

『貧乏ゆずり』

田中は、貧乏ゆすりが大嫌いだった。特に、貧乏ゆすりをする上司へのプレゼンは、彼にとって地獄のような時間だった。しかし、ある日、気が付いた。貧乏ゆすりに出会った日には、必ず思わぬ良いことがある。特に副収入に恵まれるのだ。

そう、田中は"貧乏ゆずり"という特殊な能力を持っていたのだ。それに気がついた彼は、貧乏ゆすりをする上司に積極的にアプローチするようになった。毎日、新しいアイデアをぶつけては、コテンパンにされる。しかし、なぜかその後にラッキーな事が起きる。

ある日、田中は大胆なアイデアを思いついた。上司の前で、わざと最悪のプレゼンを行うことにした。上司は当然、貧乏ゆすりをしながら彼のアイデアを全否定した。しかし、その日の夜、田中のもとには、以前投資していた株の大きな配当が入った。

そして、それを続けた結果、田中はあっという間に大金持ちとなった。彼はそのお金で会社を買収し、上司を部下にした。しかし、彼は上司に感謝していた。なぜなら、彼の"貧乏ゆずり"の能力のおかげで、今の成功があるからだ。

ある日、田中は元上司に言った。「君の貧乏ゆすりのおかげで、私は今の地位にいる。ありがとう。」元上司は驚き、そして笑いながら言った。
「実は、私も同じ能力を持っているんだ。」
なんと元上司は貧乏ゆすりをすることで、貧乏をゆずる能力を持っていたのだ。二人は大笑いして、その日から最高のパートナーとなった。

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って、え?
二人の貧乏はどこにゆずられていったのでしょうかね、。

おしまい。



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あとがきメモ
この話は、実話が元になっています。
いませんか?貧乏ゆすりをしながらプレゼンを聴いている人。
何か得体の知れないプレッシャー下にあるのかも知れませんが…
残念なことですが、その役割やポジションが本人の能力では受け止められない。ということの表れです。

なかなか良いアイデアを持ってきた若手が、いつもの調子も出せず、伝えるべき事も言えず、ただただ泣きそうになっていたり…
本人に悪気が無いこともわかりますが、そこで働く人にとって、本当に"貧乏ゆずり"でしかない、。
本音の議論もできない職場が、クリエイティブなエネルギーで満たされるのは難しいでしょうね。
そして、価値創出できない組織となってしまったら…企業にとっても世の中にとっても貧乏ゆずり…
気を付けましょう。




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