寿庵は古い建物です。古民家風で趣があるのではなく、建物が古い。できるだけきれいに保つように掃除だけはしっかりして、ちょこちょこと悪いところは改修工事。なんとかお客さんに不具合ないようにしているのですが、なんせあちこちガタがくる。あと、言わずもがな共有スペースも多いし、狭い洗面所でみなさんが譲り合い。山のお客さんと寿庵は相性がいいのだけど、初めてのお客さんを受け入れる場合は大丈夫かな？ってちょっと緊張する。

この正月に宿泊しくれた香港の家族。ゲレンデ目的だとわかっていたので、惨憺たる状況(雪不足によりリフトが1本しか動かない)に申し訳ない気持ちになる。もちろん、状況は説明したのだけど、久しぶりの海外で、すごく楽しみにしている‥とメールをいただく。となれば、なんとか楽しんでもらえるよう寿庵最大出力で対応する。

とはいっても、にこやかに対応するくらい。

でも、そんな私に「Cozy」という言葉を使って喜んでくださいました。

Cozyは直訳すると居心地がいい。宿をやるうえで、一番うれしい誉め言葉です。あちこちいったけど、とってもCozyだった‥と。建物は古いけど、でも、居心地がいいよ！といって元旦に褒めてもらったのはすごくうれしかったです。

私の好きな言葉に「toasty cozy」という言葉があります。toasty はほっとする暖かさ‥という意味になります。寒いところから、暖かいところに入ったホッとする気持ち。温かい飲み物を飲んでほっこりすること。それを「toasty」という言葉で表現すると教えてもらいました。 「cozy」も同じような意味で、ほっとする空間や居心地の良さを現します。

大山に泊まって心がほっこりした‥そんな風に思ってもらえればとてもうれしい。かつて、自分が一人旅をしていた時に、居心地がよかった宿は思い出すだけで心の中がほっこりあたたかくなる。

暖かい空間に、暖かい布団。そして温かい言葉におもてなし。建物が古かったり不便だとしても、それでも大山の記憶が温かいと思えるのであれば、それば一番って思います。

正直、隙間風があって寒い宿なんだけど、でも、冷たい対応にならないように、心がけたいって思いました。

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