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【報告】キノコ博士と歩く「寿庵きのこクラブ」(第14回)~晩夏のキノコを探す~(9/2)

不定期開催のキノコクラブ。9月に入りまた夏とは違ったキノコに出会えました。次回は10月7日(土)の開催になります~~。報告は講師の牛島先生からです。いつもありがとうございます。

9月にはいっても夏日が続いて、大山は雨もそこそこ降ってしっとり蒸しっとしています。これは夏のきのこが見れる機会にはうってつけだろうということで、標高のやや低い大野池の湖畔の道を歩くことにしました。

まず、大山寺から県道を下っていると、道端に真っ赤なタマゴタケが目に止まりました。この周辺はミズナラなどの林があるので、それらと共生しているのでしょう。他にもテングタケ類やイグチ類などが色々。

タマゴタケ

さて大野池には、コナラ、クヌギ、シデ類、楓類などの落葉広葉樹や、カシ類などの常緑広葉樹、アカマツなどが混じる雑木林です。
このような里山雑木林では特に夏から秋口に、ブナ科樹種やマツ科樹種などと共生する外生菌根性きのこを観察することができます。
また、各種広葉樹やアカマツ、スギの倒木には、木材腐朽性きのこや変形菌も発生します。

アカマツと菌類、変形菌類
この時期、針葉樹の倒木などには変形菌を目にすることが多いですが、早速アカマツの立ち枯れにアミホコリの群生を見つけました。ものすごい大発生でした。材内のバクテリアなどを食べているのでしょうか。
また別のアカマツの倒木には黄色いサケバタケ。傘は鮮やかな黄色ですが、ひだの縁はギザギザで鋸歯状。全体がすごい柔らかいきのこです。きのこクラブでは初めて観察した種類です。

イグチの仲間
林内斜面には大きなパンケーキのようなニセアシベニイグチが群生していました。主な特徴は管孔の厚みが薄いこと、チーズのような甘ったるい香りがすることです。ちなみに毒きのこです。

クロアザアワタケ
傷をつけたら最後に黒く変色します。

クロアザアワタケ

アシナガイグチ
傘の直径に対して足が極めて長いイグチの仲間です。シイ・カシ林で見られます。
これらイグチの仲間は樹木と共生している共生菌(外生菌根菌)です。

テングタケタケリタケ
道の真ん中にはテングタケ属の不明種が生えていましたが、一本風変わりなものが混じっていました。全体が棍棒状になってる物体は、タケリタケです。テングタケの仲間に寄生した子のう菌類です。きのこの表面を覆ってしまう寄生菌です。

テングタケとタケリタケ

アオミドリタマゴテングタケ
傘の表面はクロタマゴテングタケにも見えたのですが、柄の特徴が違います。明るいところで見ると傘の色がやや青緑色です。鳥取県では初めての発見ではないでしょうか。

アオミドリタマゴテングタケ

今年、やたら目にするのはタマゴタケとアシナガイグチ、何か彼らを刺激する環境的な要素があったのでしょうか。気候が不安定な近年は、普段あまり見かけない種類の発生があったりと、興味がつきません。


散策後はいつもの同定作業

何気に見ている菌類・キノコ大昔に彼らが出現したおかげで今日の地球と我々の生活があるようなものなのです。
普段目にする草木や菌類、変形菌、森に佇んで地球を育んでいる生き物の息遣いに耳を傾けてみれば、また山歩きや山散歩も楽しくなるのではないでしょうか。

今年の大山周辺のきのこ、変形菌の顔ぶれはどう移り変わっていくのか、季節を追って引き続き観察したいと思います。

きのこクラブで初めて見た種類
アオミドリタマゴテングタケ(鳥取初)
サケバタケ
アシナガイグチ

牛島先生には詳しく解説をしていただきました。ありがとうございます。次回は10月7日です、ぜひご参加くださいね!

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