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【報告】エコツアー「大山のナラ枯れを観る」

9月26日(土)に開催した、ナラ枯れの観察会についての報告です。報告はKガイドより。

2020秋、大山の森が茶色く紅葉している?葉っぱが茶色くなっているのはなぜ?と多くの方からの声が・・・。テレビや新聞もこぞってこの現象を取りあげ、巷では、なんだ?なんだ?!大山の森が大変なことになってるじゃないか!!・・・ということで、大山に起きておる現象を実際に観て、知って、考えて貰おうとツアーを開催しました。

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枯れているのは主に、ミズナラの木。葉が残ったままで茶色く枯れています。

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近づいてみると、木の根元には、米ぬかのような木くずがいっぱい落ちています。これはフラスといい、昆虫がこの幹の中に侵入した証拠。そう原因は昆虫の仕業・・・。

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フラスをたどって昆虫が侵入した穴を探して、爪楊枝をさしてみます。爪楊枝をさすと分かりますがかなりの穴があいていて、それだけの数の昆虫がこの木に侵入したんだとわかります。

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そして、昆虫の飛散防止と侵入防止でよくやられているビニールを幹に巻く手法。

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かなり効果があると言われている手法です。地面からの高さ180cmくらい、隙間なく巻いて、根際までしっかり保護するように巻きます。そうしないと、効果がない。3人で約5分。足場のいい登山道横で、木もそれほど曲がったりしていない。比較的簡単な状況で5分かかりました。
「みなさん、この環境で5分です。大山の森は斜面もあり、足場も悪いでしょう。そんななかでは、1本を5分では難しいでしょうね。その作業を何百、何千、何万ってできるでしょうかね?」これがこの対策の難しいところです。※もちろんビニールは最後に、きれいに外しました。

この大山の森が茶色く枯れる現象は、カシノナガキクイムシという小さな昆虫がミズナラの木に侵入し、幹の中で菌を育て、それを幼虫の餌とする生態があり、その菌が木の内部で広がり水や養分を吸えなくなってしまうことで起きるものです。加えて暖冬と夏の猛暑でトリプルパンチ。大山の森が茶色くなった姿は、私たちの目にはとんでもないことが起きている・・・悲しいな、となりがちですが今回参加いただいたみなさんには、なぜ?、どうして?、どんな対策がされている?、このあとどうなる?といろんな視点で観ていただきました。

私たちは、100年後の大山の森を見ることはできません。これから先、大山の森はどうなっていくのでしょうか?気になるところですね・・・。

参加者8名、思ったより予報が悪くなり、大雨の中の開催となりました。Kガイドが前もって色々と段取りしていたのですが、雨の為、予定していたすべての作業ができずでした。それでも大山の森を観て何かを感じていただけたかと思います。参加のお客様の中には「枯れていく森をみていると、つらくなり、何かしないといけないんじゃないか・・と言う気持ちになっていたけど、自然の流れの中で今はいたしかたない時にいるのかな・・と言うことだけでもわかり、自然のなるままに任せよう・・・と言う気持ちになった」とおっしゃっていました。

鳥取県では平成3年に東部地域で初めて被害が確認され、その後中西部へと移動し、近年は県西部を中心に発生。全県的に見ると、県東部地区を中心として平成22年度にピークを迎え、その後、被害は減少しつつも、県中部・西部地区に移っていきました。平成26年度以降は大山周辺のミズナラの被害が見られ、平成29年度の枯損木本数は9000本を超えるなど、現在も被害は続いています。鳥取県は今後、登山道、または道路脇のナラ枯れの木々を伐採し、撤去する予定にしています。ただ、すべての枯れた木々の伐採まではできないと思われます。これからの大山の森が、どうなるのか・・様子を見守っていきたいと思います。
寿庵では、お客さんが気になること。教えてほしい事などあれば、それを参考に企画を作ります。大山のことでもっと知りたいことがあれば、ぜひともご連絡くださいね~!


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