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山とキャンセル。

昨年夏ごろから、北アルプスの山小屋のキャンセルについて、お客さんと何度も話題になりました。

コロナ前、予約なくても利用可能だった山小屋。いつでも受け入れてもらえたので、天気の都合を見ながら臨機応変に行先を変更し、楽しむことができた。その代り、最盛期には部屋に目いっぱい詰め込まれるので、1枚の布団に2人~3人が寝るなんてざらでしたね。

ところが、コロナになって以降、予約が主流に‥。ソーシャルディスタンスの観点から定員を制限する‥ということで予約制になったのだと思うけど、本来、山小屋も同じ宿泊施設。今まで予約なく受けてもらえてたのは本当にありがたいことだったと改めて思いました。

で、山を自由に歩きたい人にとっては少し不自由になったけど、その分、部屋をゆったり使え、布団もひとり一枚だなんて快適すぎる~。

まぁ、どちらも一短一長。

ただ、予約不要時はキャンセル連絡も必要ない。でも、予約をするということは、キャンセルという手続きがあります。みなさんがそれについてどう思うか何度も話題になりました。

宿を経営する立場からいえば、キャンセル料は契約破棄に対する補償になります。1部屋予約された場合は、その部屋は他人へ販売が出来ません。でも、キャンセルされたら売れ残ってしまう。早めにキャンセルがわかれば、まだ売れる可能性がありますが、前日のキャンセルは売れないことが多い。なので、損害が発生します。その保障がキャンセル料です。

なので、山小屋はその損失を請求することは当たり前の権利だと思っています。温泉旅館にビジネスホテル、もちろんゲストハウスもしかり。

ただ、山小屋は「天気」とは切っても切れない関係です。いくら予約したとしても、大荒れの天気の時に、山小屋へ行くことは危険を伴います。そのため、キャンセルに関しては、小屋によって考え方が違うようで、キャンセル料を前日まで取らないところや事前にかかる小屋もあるようですね。

だからこそ、お客さんの会話で、天気が悪いのに、キャンセル料を取られた!とか、事前に支払わないといけなかったので、天気悪かったけど無理に行った!いう不満も時々聞くことになりました。

私も「天気」と切っても切れない関係にいます。野外アクティビティのために宿泊されるので、お天気が悪くなれば、キャンセルが来ることは重々承知。週間天気予報が出たタイミングで一気にお客さんが動きます。たとえ3か月前から予約をしていても、最終決定は結局3日前。そんなことなら、3日前から予約を受け付けるといいのかな??と思うけど、そうすると予定が立たない。

悩ましいキャンセルと天気。とはいえ、寿庵の宿泊代金からキャンセル料を請求するのも正直労力に見合わない。そのため、よほどの(悪質)キャンセルじゃない限りは、ひとこと「また来てね!」で終わることが多いです。

もちろん、みなさん「リベンジだ!」といって必ず再訪されるので、そこは信じて待つようにしています。

とは言え、決して気軽にキャンセルができるよ‥と言っているわけではありません。致し方ない事情だと思い「いいですよ」と言っているので、そこは勘違いをしないでほしいですね。

キャンセル料の山小屋事情の記事の中にもあったように、仲間であちこちの山域の小屋を予約して、ギリギリに天気を見て、エリアを決め、残りはキャンセルする‥。または、毎週予約をして、結局全部キャンセルする‥などの重複予約はやはりやめるべきだと思います。

お客さんの気持ちもわかるけど、でも、宿の立場も考えてほしい。みなさんが好きな山を楽しめるのも、山小屋があり、スタッフが登山道を整備したり水場を確保してくれてるからこそ。その山小屋が経営難になり、サービスが低下したり、それこそ、廃業するようなことにならないためにも、もし、キャンセルをする場合でも、小屋の維持に寄付した‥という気持ちでキャンセル料を払うくらいのおおらかな山屋さんであってほしいって思いますね。

「キャンセルしたらちゃんと払うよ」

ここ最近よく来てくれるガイドさんの言葉。これからも継続してほしいから、ちゃんと払う。これからもまた付き合いがあるからこそ、ちゃんと払う。

なかなかそういってくれる人は少ないですが、私も同じ状況になれば、そういう気持ちでキャンセル料を払いたいなぁ~って思いました。

「雪がないのでキャンセルしていいですか??」

年末年始、3部屋分のキャンセルが出ました。しょうがない!雪のないゲレンデを見れば、もう何も言えません。楽しいゲレンデを楽しみたい人にとっては雪不足はキャンセル云々論外ですね。ほんと、申し訳ない気持ちになるので、私の方から雪の状況を伝えて、あとは各自で判断してもらう。来てくれたらうれしいし、キャンセルでも致し方ない‥。

「山が荒れそうだから、泊まりたい」

山頂泊を予定していた常連が急遽宿泊に‥。人間万事塞翁が馬。いいことだってあるので、ここはめげずに、おてんとさんに向き合っていきたいって思います。

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