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【報告】キノコ博士と歩く「寿庵きのこクラブ」(第10回)~夏から秋のキノコを探す~(9/4)

7月は夏のキノコに出会いましたが、9月は秋のキノコも混じってバラエティー豊かなキノコになりましたね。活動報告はU先生からです。写真はYさん、Kさん、そしてU先生からの提供です。ありがとうございます。

今回は夏から秋のきのこがテーマ。大山はここ最近の雨でしっとり。当日は良い天気で暑い日でしたが森の中は空気が涼しく感じられました。

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散策場所は大山寺参道付近の森の道。森の中に入らずとも道端にもたくさんの種類が見られました。まず、宿近くでもあちこちにある杉の枝の下側には白いコウヤクタケの仲間。そして、参道脇には大小のオレンジ色のハナオチバタケが草に隠れて立派に生えていました。

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その横にはワタカラカサタケらしきものもありました。これらは落ち葉などを栄養源にしている腐生菌です。

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レストラン横の斜面では、地面からフクロツチガキ、オニタケ?、ハナオチバタケ、アカヤマタケなど色々なものが生えていました。道端の栄養豊富な地面なのでしょう。

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さて森の遊歩道へ入ってみると、地面からは綺麗な紫色のウラムラサキ、これは食用きのこです。

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立ち枯れたミズナラ?からはシロキクラゲなどがたくさん生えていました。
シロキクラゲは中華料理などではおなじみの食材ですが、クロコブタケに寄生するきのこです。シロキクラゲは枯れたコナラやクヌギ、シイタケのほだ木などでもよく見かけます。そのほかにも、樹木と共生している菌根菌もいくつかあり、傷をつけると乳液が滲み出るチチタケ属の一種や、乳液の出ないベニタケ属の一種もありました。

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さてナラ枯れの木を見ていると、シロキクラゲの横に、猛毒のカエンタケがありました。小さいものから大きいものまで数本が生えていました。みなさん興味津々で写真を撮り、観察していました。

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触れるだけでも炎症を起こしたりする可能性がありますし、折って内部の液が付いたり目に入ったりすると一番危険です。カエンタケはトリコデルマの仲間で、寄生性とも言われています。トリコデルマ類は原木シイタケ栽培ではシイタケを殺す最も重要な害菌の一つです。カエンタケも含め、そういうものが存在しているということは何か意味があるわけです。大人は子供にしっかり教えてあげてください。マムシなどと同じように‥。

参道に出るブナの生えているところで大きなテングタケが二つ、石の横から生えていました。これは共生菌です。近くのブナ科樹種に共生しているのでしょう。ベニテングタケよりも毒性が強いです。

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近辺をじっくり見ていると青緑色の綺麗なキノコ、これはアオイヌシメジ。ブナ・ミズナラ林で見かけることがあります。落ち葉を栄養源にしているきのこです。

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ホソヤリタケと思われる面白いきのこがありました。傘も柄もない、爪楊枝のようなきのこ、枯れた枝から生えていました。

今回は木材などを腐朽させるきのこ、樹木と共生するきのこ、寄生するきのこ、それぞれ観察することができ、森の中ではこのようなきのこたちが、他の動物、植物とともに、森の維持のために役割を担っています。

秋になるとカエンタケとともに話題となるナラ枯れですが、木が枯れることでそこに空間ができ、陽が入り、新たな芽吹きが生まれ、安定した森に戻っていきますので、なんの害もありません。むしろ自然の中では普通の現象です。※道端の枯死木は危険ですから管理者が伐採すればよろしいです。

例えばサナギタケとブナノアオシャチホコのように、ある特定の生物が増えると、やはりそれを餌にするものが大発生して、森の秩序が保たれようとします。そういう働きが自然に発生します。森の中では菌類や細菌などの微生物、虫、爬虫類、哺乳類、タネを運ぶ鳥も重要、植物など全ての生物が関わって森の維持・更新が自然に行われているのです。人間の力は要りません。
このような大山の森は豊かな生態系によって支えられていると言えます。ですから、ナラ枯れを、枯れているから害として人間の見た目で短期的に見るのではなく、大きく未来志向で考えればよいのです。未来に新しいミズナラが育ち、そこに色々な生物が育ち、またマイタケでも生えるんではないでしょうか。

里山のように人が手を入れて維持されている森と、国立公園などのように手を出してはならない森があります。そこに生きる生き物についてそれぞれの意義、機能を認識し、敬意をもって人は自然界と共生していくことが必要です。

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本日観察できたきのこ(あいうえお順)
アオイヌシメジ
アカヤマタケ
アンズタケの仲間
ウラムラサキ
オニイグチの近縁種
オニタケ
カエンタケ
カエンタケ
カワラタケ
クチベニタケ
クヌギタケの仲間数種
シロキクラゲ
スミゾメヤマイグチ?
チチタケ属の一種
チャウロコタケ
チャダイゴケ
チャワンタケの仲間数種
ツエタケ(広義)
ツチグリ
テングタケ
テングノメシガイ
ドクツルタケ
ニカワホウキタケ
ハナオチバタケ
ヒメコウジタケ
フクロツチガキ
フクロツルタケ?
ベニタケ属の一種
ホソヤリタケ
ワタカラカサタケ
変形菌

参加の皆さんありがとうございました。次回、きのこクラブは10月2日(日)の開催です。次はどんなキノコに会えるかな??お待ちしております。

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