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開業から7年を振り返る。ついでにそれまでの人生も・・。で、これからの宿について思うこと。

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2014年の6月に開業した寿庵。本日6月6日で無事7年を終え、8年目に突入いたします~!飽きっぽい私がこんなにも物事に集中して信念がぶれる(時々ブレてる?)ことなく一つのことをやり通してるなんて・・・・すごい!自分で自分をほめたい!とどこかで聞いたようなフレーズを思わず言ってしまいますね。

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さて、以下はなが~い手記?になるんで興味ない場合は、これからのページまでぶっ飛んでね。

開業まで

物事が長続きしない私は、社会に出てからも会社勤めが続かずで、最初の会社は1年半、次も3年程度で辞めています。やめた後、ふらふら旅に出かけ、その後、夏は学生時代にやってみたいと思っていた北アルプスで山小屋バイトをはじめました。そして、冬は大山のスキー場内の宿でレストランのウエイトレス。そんな生活を3年したのち、拠点を完全に大山に移し、登山口の旅館で年間バイトをするようになりました。

子供のころから山が好きで、学生時代はワンゲル部。就職してからは山の会に所属。なので、職場や生活の場に山を選ぶ・・というのはある意味自然な成り行きだったように思います。

仕事ってのはスーツ着て名刺もって会社に通勤・・という考えがどこかあったのですが、住込みの旅館バイトというのがやけに自分にしっくりきて、とにかく楽しくてしょうがなかった。働く・・と言っても季節労働なので、少なくとも年に4~5か月は仕事をしていません。仕事のない時は旅か山。旅がエスカレートして1年以上帰ってこなかったり、山も半月行ったっきり帰ってこない。それでも、宿のご主人はふらっと帰ってくる私をすぐに受け入れてくれて、仕事をくれたものです。起業まで携帯を持ってなかったので、連絡つかずでいつも行方知れずと言われてました。

そんな生活をしていながらも、起業資金は自分で調達しています。宿をしたい!と思い立ってから7年、その間はお金を必死にためています。クラファンなんてのも知らなかったし、起業するお金は当然自分のすべきことって思ってました。もちろん、国の新規起業補助金なども活用。で、銀行さんにはたびたびお世話になっておりますので、未来永劫借金を抱えています。

あと・・・・人に恵まれ本当にラッキーだった。寿庵の前身、寿荘の女将さんが理解ある方で、素性だって知らなかったであろう私の「宿をやりたい!大山が好き!」という情熱だけを信じてくださり、快くこの宿を引き継がせていただきました。引き継ぐと言っても廃業を経ての新規立ち上げだったので、そのハードルを越えるにあたって、そこは商工会の方や、役場の担当の方、そして消防の予防課の方、環境省の方(国立公園内のため)までが一生懸命サポートしてくださいました。もちろん、仲間や以前働いてた宿のご主人やお客さんたちも。

とにかく、自分がここで宿を構えたい!という理想の場所で、理想の建物で、それが叶えられたのは本当に今思えば奇跡みたいなもんだった気がしてならないですね。

開業後

開業するまでは結構勢いあるし、気持ちが前のめりなんで、一気にできた。周りの仲間も、なんか面白そうだね!って手伝ってくれるし、大変だけど、私みたいなド素人でも起業できちゃうんだ!という驚きもありました。とりあえず、場所と物件と最初の資金(立ち上げにかかるもろもろ経費に改装費)、あとは開業までの書類上での手続きと検査。それでOK!勉強はしなくっても、開業はいくらでもできちゃいます。

ただ、苦しかったのは、開業後でしたね・・。

私が開業した時、すでにこのエリアは宿の廃業が相次いでいました。毎年1軒づつ廃業する・・そんな感じでした。ビジネス的に勝ち目があるのか?とか将来性とか、マーケティングとか、何にも調べてないし、考えてもいませんでした。ただただ大山が好き!の気持ちだけ。開業してなければきっと大山の旅館で今でも働いてると思います。決してゲストハウスを経営してみたい・・とかじゃなく、大山のこの場所で自分の宿がしたかったので、他地域で宿をするという気持ちも一切ありませんでした。当然、勉強嫌いの私、経営を勉強したり、セミナーへ行ったり、何にもしてない。ほんと勢いだけ。

開業してみたまではよかったけど、開業に一生懸命すぎて宣伝をしてないことにあとから気づく。なのでオープン直後はご祝儀で仲間が泊まってくれるんだけど、そのあとは誰も来ない(涙)。恐怖でしかなかったですね。借りたお金が一気に底をつくし、入金することがないのに引き落としだけがかかる通帳を見ると、気分が悪くなる。ほんと、2年くらいはそんなのの繰り返しでした。

それまでのんきに人生送って来て、ただただ楽しいだけを追求していた私。起業してからはあれだけ好きだった旅や山へ気持ちが向かうこともなく、宿の中で予約が入るのをじっと待ってる状況でした。日々の食事すらままならない。以前働いていた宿でご飯を食べさせてもらい、時々バイトをしながら宿を維持。

今では、お互い独り立ち?している同業の宿主さんたちからも当時はたくさんアドバイスをもらいました。とくに大山バックパッカーズのMさんにはたくさん有意義な情報をいただいたし、よく悩みを愚痴りにいきました~。あと、大山町に地域おこし協力隊で来てくれていたメンバーにもお世話になった。とにかく苦しかったけど、仲間に支えられての2年でしたね。

ちょっと様子が変わってきたのが2016年、山好きの女が山小屋を作ったらしい・・という噂が大山に来る山岳会へ広まったのがこの頃です。それまでは、旅人がメインの宿だったけど、あちこちにゲストハウスができ始め、旅人が来なくなった代わりに、山屋さんが泊まってくれるようになりました。開業時から有名大手予約サイトを使わず、あくまでもHPからの集客。当時のHPはゲストハウス、旅人・・が前面に出ている感じで、特に山屋さんの宿・・と言う特化したコンセプトではありませんでした。時々NOTEに客層のマッチングのことを話題にするけど、とりあえず来てくれたら精一杯!という感じではあったので、どんなお客さんでも基本ウエルカム(もちろん今でも)。ただ、まだゲストハウスが田舎ではなじみのない時代で、周りの旅館と同じだと思われ、食事あるの?と聞かれることもしばしば。なもんで、予約の時点で、どういった宿なのかをきちんと説明し、旅館だと勘違いしているお客さんには、周りの旅館を勧めていました。

そして開業から4年目の2018年。大山寺が開山1300年を迎え、県も町も大々的に大山を宣伝してくれるようになり、イベントも年間を通じたくさんあったのがこの年です。イベント参加目的やお寺への参拝目的など、全国から様々なお客さんが来てくれました。一気に忙しくなったのがこの年。一人で回すのがたいへんになって来て、バイトを雇おうか?ヘルパーいる?などと大それたことを思ったりした頃ですね。実は寿庵は後にも先にも1人だけ一週間のヘルパーくんがいます。開業の年に、本当は他のゲストハウスのヘルパーで来たのに、人員が余り、寿庵を紹介されてきたという子でした。そのヘルパーくんが今じゃ、情報発信ツールとして大活躍の寿庵のFBを作ってくれたんですよ。ほんと、感謝ですね。

今現在の寿庵のHPは2代目、開業6年目にリニューアルしました。初代は「ゲストハウスとは何ぞや」みたいな説明書きや宿の使い方など細かく記載、でもゲストハウス自体が浸透しその必要がなくなりました。そして、寿庵自体も大山に来るお客さんに徐々に浸透してきたので、今のHPはNOTEと連動させ、宿のことよりも「大山のこと」をリアルタイムでお知らせできるようにしています。

ようやく宿で食べていけるかも・・と希望がでてきた2018年と2019年。だけど、2020年はいわずもがなパンデミック!・・で2021年の状況に続きますね・・(涙)

これから

実は今、開業時と同じ状況になっている寿庵です。月の売り上げが本当に厳しい・・でも、気持ちは開業直後の悲壮感とはまた違います。今、確かに収入は少ないけど、お客さんがたくさんいてくれます。2014年は寿庵という宿の存在すら知られてなく、気にかけてくれる人も本当に少なかった。でも、2021年になり、状況は悪いのだけど、多くのお客さんが、気にかけてくれています。メールだったり、電話だったり。来たいけど、来れない!!と悲痛の叫びなど。そう、状況さえ打破したら、絶対になんとかなるって希望がありますね。開業直後の先が見えないことに比べれば、今は状況はかなりいいです。インバウンドに特化してなかった(というか乗り遅れた)のもよかったのかもしれませんし、賃貸でなく思い切って買い取って持ち家にしたという点もよかったかもしれませんね。所詮、2019年でも稼働率は30%程度だったので、今の稼働率10%を切る状況下でも、なんとかなりそうではありますね。もちろん、新たに借金(またかよぉ~)もしたので、運転資金は当面あります。

あれ??なんか暇に任せて、過去からさかのぼって色々考えてみると、今の状況はそんなに悪くないですね。やっぱ創業者ですから、起業した時のいろいろ苦労を思い出したら、なんだか安心しました。2年間、いや4年近くは正直苦しい状況下で経営してきたんで、それから比べればまだまだ耐えられますね。

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そういや節目節目にパーティなんてのやってないけど、せめて10周年くらいにでもなればかっこいいんで、その時まで周年記念はお預けで。それまで細々頑張りますね。

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開業時に小さい看板を設置。もともとあった看板の上に、寿庵のシールを張っただけ。お金たまったら大きいの付けるぞ!なんていってたけど、変わらず。

それにしても、開業時より情報発信は容易になってきたし、ツールも変わってきましたね。とはいえ、私自身は相変わらず進歩なし。でも、わかったことが一つ【お客さんの紹介や口コミってのが結局、最強ツール】ってことなんで、これからも大きな看板は設置したり新ツールでの発信などは(たぶん)しないと思います。

コロコロ変わる世の中や、時代のニーズについていけなくても、【大山】と【お客さん】にフォーカスし、寿庵に何が求められるかをこれからも考えていきたいですね。

ということで、2021年、6月6日、丸7年を終え、新たに8年目に入る寿庵を今後ともよろしくお願いいたします。

長くなりましたが、ご笑覧いただけたら幸いです。

寿庵のHPはこちらをクリック!

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