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ビジネスを譲渡するという話

昨年のこと、同業の方と話をした際に「宿ビジネスを丸ごと譲渡(売却)するかも‥」と教えてくれました。そこは人気の宿で、稼働率がうちとは比べ物になりません。次に受け継ぐ人も利益を出せるからこそ、引き受けるのかもしれませんし、すでに軌道に乗った宿をそのまま経営できるってラッキーですよね。

ときどき、ゲストハウスを大山で開業したい!という相談を受けるので、私もこの先、どこまでできるかわからないし、若い人で大山が好きな人がいれば、それもありだなぁ~って、ふっと思うわけですよ。でも、ここは自然環境が厳しいし、街中で生活するのと違っていろいろと大変。しかも田舎の集落なので、組合や祭り、自治会のことなど業務以外でも案外と忙しい。そう思うと、簡単に「どうぞっ」て事にはならないかもしれません。

ビジネス譲渡の話から、私が20代の頃にホームステイしていた、ニュージーランドのホストマザーのことを思い出しました。彼女は親の代から始めた家業を継いでいたのですが、引っ越しをするのを機に、ビジネスを従業員ごと売りに出し、次に継承しました。当時は、そんなことできるんだ!とびっくりしたんです。だって、家業をいとも簡単に従業員ごと売りに出すって感覚がなかったからです。※サラリーマン家庭に育ってるので、家業を継ぐような状況になったことがないので、知らないだけかもしれませんけど‥。

でも、ここ数年、継承に関する話題をよく耳にするようになりました。商工会からも調査があるのですが、次の代が引き継ぐのかどうするのか‥など。つまりどこも人手不足、後継者がいない。

寿庵の前進、大山寿荘さんも後継者がいなかったため、廃業を決意。たまたま、私が物件を探していたタイミングだったので、運よく引き受けることに。ただ、いったん、廃業されたため、私は一から新規事業として宿を立ち上げることになったので、すこしハードルが高くなりました。それでも、居ぬきで買い取ることができた上に、建物の癖や機械のこと、それこそ、屋根の雪下ろしのノウハウまで丁寧に教えてもらったので、本当にラッキーでした。

農業や漁業に関しては行政支援もあるようですね。例えば、若い担い手を数年修行という名で雇用して給料を払い、そのまま継承してもらうような支援です。担い手不足にならないように、官民協力して支援しているんですね。

宿もそんな支援があるのだろうか?女将さん育成といって、給料もらいながらするとかあるのかな?そういや地域おこし協力隊の活動にもそんなのがあった気がするなぁ‥。

そんな急ぐ話ではないけど、寿庵だって今後どうなるかわからない。次に引き継ぐのかどうするのか‥。今後、設備投資をする時も減価償却などを考えると、あと何年しないといけないのか?と、ちょこっと頭の隅におかないといけないですね。

譲渡の話を教えてくれた同業のオーナーさんも、私と同じように立ち上げ時には苦労した…と言っていました。創業者はその時の苦労を知るからこそ、事業に対しての思い入れが大きい。次引き継いだ方は、やっぱり初代の苦労も忘れずに経営してほしいなぁ~と思います。自分のことではないけど、ついつい考えさせられる話題だったので、自分のことに置き換えていろいろ思いめぐらせました。

さて、数日前に来てくれた旅人が、寿庵のあとは、そのビジネス譲渡の話をしたオーナーの宿をご予約。ネットでチェックすると名前も以前と変わらないし、HPもそのまま。もしかしたら気が変わって、譲渡してないかもなぁ~って思ったので、ご主人によろしく伝えてください!と伝言。

でもその夜にメールで「オーナーさんはこの春に変わったみたいです」と教えてくれました。

そっか~~。やっぱり譲渡したのね。なんとも潔いなぁ‥。昨年あったときに、もし譲渡すれば、しばらく旅を楽しむとも言ってました。コロナもあけたことだし、きっと起業前のまだまだ自由だったころのように海外へ足を延ばしてる可能性もありますね。

事業で躓くたびに投げ出したくなる時もあるけど、でも、やっぱりこの仕事が好きなので、すぐにやめるという判断はなかなかできない。いつかは譲渡するかもしれないけど、それまではしっかりメンテナンスもして、なおかつお客さんが途切れないくらいに繁盛させて、いい状態で引き継いでもらいたい!という気持ちで日々やっていこうって思います。

ということで、いつものチェックイン前のつぶやきでした。

寿庵のHPはこちらをクリック!


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