木本大介の二流のプロフェッショナル「作家 友利昴さん」

サマリ

【媒体】

【トークテーマ】

  • 「友利 昴」とは?

  • 出身大学・卒業、知財との繋がり

  • 企業知財と作家の二足のわらじ

  • 知財に「ロマン」を感じた

  • 越境知財

  • 知的財産権は外から見られたナンボ

  • 「ロマンの社会的実装」

  • メインは作家?

  • 仕事術〜時間の活用

  • 死ぬまで作家か?

概要

第3回のゲストは作家の友利昴さん。
前回のゲスト「ちざたまごさん」からの紹介だ。

友利昴さんは、知的財産領域に留まらず、様々な著書を発表されている「作家」。
2023/07/26には、最新作「職場の著作権対応100の法則」も発売予定だ。

(友利さんの作品の一部)

上記以外にも、様々な著書を発表されている(参考:友利さんの著作一覧)。

僕自身、話すことと書くことは好きな方だ。
ただ、友利さんはプロ中のプロ。

「作家魂」について、様々な切り口で解析を試みたが、返す言葉の一つ一つに重み(想い)を感じた。

これが“作家「友利昴」”、という回となった。

トークテーマ

知財の仕事のキャリアより作家のキャリアの方が長い

冒頭から驚かされた。
大学生のときから雑誌向けの記事を書いていたらしい。

単行本のデビューは、2006年とか。
amazonで調べると、知財の枠を超えた多種多様な著書が並ぶ。

ご本人から「人が好き」という言葉も出た。
確かに、著書のタイトルを見ると、読者という人に対して、他人とのコミュニケーションや関係構築に関わるようなワードが並んでいる。

作家の世界では当たり前なのだろうが、「どういう読者なのか」(いわゆるペルソナ)をしっかり持って、内容だけでなく文体も調整しているのだろう。

言葉の選び方も声のトーンも、人間味を感じた。
番組ののっけから「ファン」(虜)になってしまった。

小さい頃から書くことが好きで、「国語だけは得意」だったそうだ。
国語が大の苦手だった僕には、想像が及ばない。

最初のキャリアは、学生起業で出版関係の会社を作り、そこから今のキャリア(企業知財部)に繋がるという。
連続性に謎めかしさを感じる。

その後、会社を畳んだときに、「知財は企業、執筆は作家」という棲み分けを自ら選んだとか。
自身の最初のキャリアをバランス調整した結果が今に繋がっているのだろう。
とても連続的なキャリアだと思う。

パーフェクトオールラウンダーを目指して雑食中の僕も、日々打ち込み続けている点の周りが見えずに不安になることもある。
しかし、友利さんの話を聞いていると、点と点を繋げることも自分の意思一つなんだと学ばせてもらった。

知財に感じた浪漫

そんな友利さんに「知財のどこに魅力を感じたのか?」という質問を投げてみた。

すると、一瞬の間を置いて返ってきた言葉がこれだ。

「知財という制度に浪漫を感じたんですよね。」

僕は、「浪漫」という言葉に弱いので、この言葉に瞬間的に飛びついてしまったw
(参考:弊Blog「魔法使いのメンティ「ロマンの社会的実装」」

友利さんは、こうも続けた。

「有効な知財を活用すれば(知財の価値を高めれば)、ビジネスの世界で一発逆手もできる。」
「知財の価値を高めていけば、小さい会社でも、大企業と渡り合える梃子になる。」
「そんなところに浪漫を感じた。」

よく考えてみると、スタートアップと大企業のオープンイノベーションにも通じるところがある。

そう言えば、かの丸島儀一先生の「キヤノン特許部隊」も浪漫を感じる話だった。

たしかに、知財には浪漫が詰まっている。

純粋培養の知財人じゃないこと

友利さんは、自ら起業した会社で泥臭い事業からキャリアを始めている。
このキャリア(いわゆる一般的な知財業界では亜種と呼んで良いだろうキャリア)だらこそ、「知財とは何か」という極めて抽象的な問いにも「浪漫」という言葉が瞬時に返ってきたのだろう。

「一度外に出れば、自分が作った権利をありがたがっている人が、自分が思っている以上に多いことに気づける。」

仕事とは端的に言えば、昨日の自分を越えることであり、昨日の自分を越えることがキャリアなのだと思う。
そのためには、外に出ないと気づけないことがある。

自らの知的財産権をフィールドに出してみる。
すると、浪漫を感じられるはずだ。

脳のスイッチング

本業は何?

「表向きの顔はやっぱり作家。」
「本業と副業の違いは自分の感覚としてはない。」
「どの仕事も本気で全力投球している。」

しかし、「言うは易し、行うは難し」。
特に、脳のスイッチングには苦労されているはずだ。

そこで、スイッチングのコツも聞いてみた。

「あんまり飲みに行かない。」

それだけ?

しかし、その本質はおそらく、「自分を意図的に律し、その瞬間に自分がやるべきことに自分の視線をフォーカスする」ということだと解釈した。
なにより、そこに強い意思を感じた。

睡眠とパフォーマンスの相関も強く意識されている。
僕はショートスリーパなので、自己管理能力の違いを見せつけられた思いだ。

「寝るときは寝る、書くときは書く。」
「寝る直前に良い文章を思いついたら、起きてメモをする。」
「寝ている間には考えないようにしている。」

作家の卒業条件

第1部の最後では、恐る恐る「作家の卒業条件」を聞いてみた。

「書きたいものがあって、書けるという自信がある限りは、書く。」
「書くことが自分から絞れなくなった(書きたいことがなくなった)ら、辞める。」
「前に書いたことと同じようなことを繰返し書くようになったら、卒業だろう。」

裏を返せば、「書きたいことが枯れない限り、一生作家であり続ける」。
僕にはそう聞こえた。

僕には、「書きたいもの」が枯れた友利さんの姿を想像できない。
そんな友利さんを酒席に誘うハードルはしばらく高いままなんだろう。

次回予告

次回は、友利さんの本業である「書くということ」に迫っていく。

友利さんは、それぞれの著書にどんな思いを込めたのか?
誰に向けてどんなメッセージを発しているのか?
それらのスタンスは、どういうキャラクタによって生まれたのか?

謝辞

友利さんは知財業界では知らない人はいないであろう著名な作家さんだ。

実は、お会いしたことはない(収録のときもカメラをオフにしていたので、お互い動いている絵は知らないままだ)。

この番組も3人目のゲストになって初めて「初めまして」のゲストであった。
こんな僕でも人並みに緊張はする。
だが、その糸を切るのに10分も必要なかった。

「知財は浪漫」という言葉が飛び出した瞬間のことは鮮明に覚えている。

「あ、今日は神回になる。」
そう確信した。

気づけば、収録の前後も合わせて2時間たっぷりお話することができた。
それでも話し足りない分は、今度直接お会いして埋める。

浪漫と夢の交差点で会おう。
そう約束して、収録を終えた。

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