甲府愛する友のため
雨が降り頻る山形の地で無情にもタイムアップの笛が鳴り響く。
歓喜に沸く山形の選手とスタジアム。
試合中は決して止むことのなかった声援が沈黙に変わる瞬間だった。
目の前に広がる光景を信じたくはなかった。
込み上げてくる感情を、悔しさを抑えることができなかった。
すすり泣く声が四方あちこちから聞こえてくる。後ろを振り返っても電光掲示板には
2-1
と刻み込まれた表示。
この瞬間ヴァンフォーレ甲府のJ1への旅路が非情にも終わりを告げた。
やがて、選手たちが挨拶にやってきた。
1番にやってきた元希のごめん🙏のジェスチャーに涙が止まらなくなった。
詩音や蓮、颯太が号泣している。あんなに明るい凪生が俯いたまま顔を上げない。
「前向けよ!!」
どこからか聞こえてくる選手への声掛けが虚しく空を切る。
前なんて向ける訳がない。
昇格を目指し、全てを出し切った選手たちに待ち受けていたのはあまりにも残酷な仕打ちだった。
選手たちに慢心があったとは断じて思わない。
だが、焦りは素人目にも伝わるほどだった。
正直なところ、あの日の後半残り15分の記憶はショックで抜け落ちてしまった。
試合を見返すことも当然できず、心にぽっかり穴が空いたような心地がした。
山形の寒波が冷え切った心をさらに加速させる。
まだACLが残っている。
そんな気持ちにもなれなかった。
頭ではそうわかっていても心が追いつかない。
シンデレラボーイ現象である。
冗談はさておき、このnoteを書き出すのに時間がかかってしまったのは、筆者の心の整理ができなかったからに他ならない。
ただ、この悔しい思いを決して忘れてはいけないと思うし、前を向かなければならない。
これから先訪れるであろう苦難や歓喜の度にこのnoteを読み返し、自分を奮い立たせるつもりで書き出した。
筆者は、たらればは昔から大嫌いな性分だ。
あの時勝っていれば、あのシュートが入っていれば、そんなことは幾らでも言える。
他のチームだって、そうではないだろうか。
積み上げた勝ち点が、紡いできた試合の数々が体をなしたのが今年の8位という結果である。
この結果から目を背けていてはダメだ。
来年以降もこの先も甲府を応援し続けよう
時間が経つにつれて、そう自然と思えるようになってきた。
賛否こそあるが、ACLに他サポが駆けつけヴァンフォーレのために全力で応援する光景を見た時、改めて甲府というクラブがいかに愛されているかを認識した。
小瀬で足を引き摺りながらも朗らかな表情でスタジアムに足を運ぶ姿を見た時、このクラブがいかに地域に根差したクラブであるかを思い知った。
ゴール裏で必死で飛び跳ねるサポーターを見て、こんなにも夢中になれる空間があるんだということを実感した。
地元のクラブであることを差し引いても、贔屓目に見てもヴァンフォーレ甲府は自慢のクラブだ。
だからこそ、どんな時でも歌い続けなければならない。甲府愛する友のために。
甲府を愛するサポーター諸君、
これから待つ歓喜のために応援し続けようじゃないか。精一杯叫ぼうじゃないか。
たくさん泣いて笑おうじゃないか。
ヴァンフォーレ甲府に出会えて良かった。
心からそう思えるクラブが地元にある喜びを噛み締め、来シーズン以降も応援し続けたい。
青赤la甲府J1へ行こう。
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