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アメリカンドリーム

今日はおそらく60代後半だと思われる日系アメリカ人の方とバレンタインディナーをする機会があった。ワインとシーフード、絶品マカロニチーズを味わいながら、楽しく話をしていたのだが、話題がトランプ大統領に移った際に突然真剣な話になった。

彼によると1965年ぐらいから今までの50年間は激動で、辛かったそうだ。歴史を振り返ってみると公民権運動、ベトナム戦争、冷戦など様々な象徴的な出来事があり、その過程で議論の余地はあるものの、正義の為に闘ったケネディ兄弟、キング牧師、マルコムXなど、彼によるとgood people達はみんな殺されてしまった。そして、一生懸命勉強して、世の中に良い変化を起こそうとしていた若い世代は、希望を失ってしまったのだった。

ただそれでも頑張っていたところ、バラク・オバマが世に出てきて大統領になり、この社会も捨てたものじゃないと希望を持つことができた。アメリカは周知のように格差や人種問題など恐ろしいまでの矛盾や問題を孕んでいる。でも、そのひどいアメリカの現実を、一生懸命努力して成功すれば良い景色を見られるんだというアメリカンドリームが上回ってきたからこれまで頑張れたのに、トランプ大統領はそれを壊したのだと嘆いていた。ただ、アメリカは他のどの国とも違い、アメリカンドリームとデモクラシーを国の基礎としていて、トランプ大統領が一時的にメチャクチャにしていっても、必ずもう一度立ち上がるresilientな国なんだと、確信と共に言っていた。

一方で、先学期にアメリカの元財務長官のJacob Lew教授の授業を受講していたのだが、そこで教授は、もうアメリカは(これは経済成長のみの視点だが)以前のような高い経済成長をすることはないと明言していた。確かに短期的に高成長を示すことはあっても、長期のトレンドとしてこれまでのようなレベルでの成長は期待できないのだろう。これは中国やインドなどの高成長を続けている伸び盛りの国とは対照的である。

アメリカ人の知り合いを見ていて目を引くのは、アメリカはこれからも世界をリードし続けるのだという(ややもすれば根拠のない)自信である。これは彼らのこれまでの人生においてアメリカがずっとそのような立場にあったことが影響しているのかもしれないが、アメリカは何度でも立ち上がるナンバー1の国なんだと信じてやまない。冷静にアメリカの歴史を見てみると、改めて驚かされるのは先住民の人達を除くと、殆どの人がどこかの時代で移民し、冒険者としてこの新大陸に渡ってきたという事実である。これは皆が起業家みたいなものであり、自分と国の将来を信じないとやっていけない(というDNAが埋め込まれている)のかもしれない。客観的でも何でもない浅い考察になってしまったが、アメリカの根底にある信念を垣間見た気がしたバレンタインデーだった。

(写真はバレンタインということでレストランでもらった一輪のバラ)

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