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ロールモデル

先日は、僕が奨学金をもらっている米日カウンシルという団体のAnnual ConferenceがワシントンDCであり、参加する機会に恵まれた。ウェブサイトによると「米日カウンシルは、日米関係の強化に貢献すべく、太平洋両岸の多様なリーダーを結集し、ステークホルダーとの交流の場を提供すると共に、コミュニティと政財界にとって有益な課題に取り組む、教育的非営利団体です」とあり、設立者がIrene Hirano Inouyeというこの間亡くなった元上院議員のDaniel Inouyeの奥様であることもあって有名である。実際にカンファレンスでもアメリカ側ではIreneを初め、Elaine Chao, Wilbur Ross, Ernest Higa, Gary Moriwaki, Kathy Matsui, Paul Yonamine, Michael Green, Glen Fukushima, James Higaなど錚々たるメンバーが参加していた。日本側からも森金融庁長官や経営共創基盤の冨山さん、MIGA長官をされていた小林いずみさんなどがいらっしゃった。

上記の名前を見てもわかるのだが、参加者の中には日米の架け橋ということもあり、日系アメリカ人が多かった。僕は日系アメリカ人が全体的に好きなのだが、その魅力は明るく、陽気なところにあるのかもしれない。サンプル数が少なくて恐縮なのだが、少なくとも僕の知っている日系アメリカ人の方は皆突き抜けてあかるく、一緒に会話をしていて非常に楽しい。上に名前が出てきた日系アメリカ人の人達はみな僕のヒーローと呼ぶべき人たちなのだが、カンファレンスでは普通に廊下ですれ違いざまに立ち話をするような機会もあり、改めてファンになってしまった。

カンファレンスでは多くの日系アメリカ人の方の話やパネルディスカッションを聞く機会があったのだが、気づいたのは教育の重要性を強調していた点である。やはり、アメリカに後から移住してきた人たちとしては子供が安定した職に就くのが大事なため、よく勉強をすること、そして弁護士、医者、金融などの仕事につくことがずっと奨励されてきたようだ。確かに会場で名刺交換をした時にもこういった職業の人が多かった。そして職業の階段を上るという表現をよくしていた。これはアメリカに後から入ってきたグループとして最初はあまりお金を稼げる、もしくは社会的地位が高い仕事がつけないものの、2世、3世と教育を重視して育てるうちに、少しずつ社会的により認められる仕事についてきて、日系アメリカ人がアメリカ社会において大事な位置を占めるという考えのようだった。この最たる例が上院議員を長く勤めたDaniel Inouye議員であり、やはり中央の政界に日系アメリカ人から人を送り出すというのは大きな快挙のようであった(個人的には職業と社会的地位を結びつけるのはあんまり好きではないのだが)。これは以前に世界銀行のKim総裁が大学院にいらっしゃった際にもおっしゃっていたのだが、教育重視の姿勢は日系アメリカ人に限らず、アジア系アメリカ人(Kim総裁は韓国系)、ひいては移民してくる多くの人に共通して言える傾向なのかもしれない。

(以前のKim総裁のブログはこちら: https://note.mu/daisuke_m/n/n5a0eb837698e?creator_urlname=daisuke_m)

そして、以前の山口県のブログのエントリーでも書いたことがあるのだが、ロールモデルというものを大事にしていると思った。このカンファレンスでも次から次へとこれでもかというほど日系アメリカ人の所謂成功者と見なされている人たちが登場して、自分のストーリーを共有していた。会場には若い日系アメリカ人も沢山おり、おそらくこういう先人の偉業について学んだり、それから感化されることで、さらに頑張ったり、また会場でのネットワーキングを通して、自分のチャンスに繋げたりするのであろう。カンファレンスや米日カウンシル全体として若い世代を引き上げようという意図が伝わってきた。

(以前の山口県のブログはこちら:https://note.mu/daisuke_m/n/n8fc5fd2203fa?creator_urlname=daisuke_m)

このカンファレンスを通して日系アメリカ人の方々がアメリカでどうやってこれまで頑張ってこられたのか、そして自分たちの地位を築いてこられたのかを垣間見ることができた気がした。また、彼女は日系アメリカ人ではなく台湾系アメリカ人なのだが、基調講演の一人としてアメリカの運輸長官で元労働長官も務めたElaien Chaoがスピーチをしていた。トランプ政権の重要閣僚の一人ということもあり、批判を受けることも多いのだが、僕は密かなファンである。彼女は8歳の時に台湾から両親とともに渡ってきて英語も話せなかったのだが、そこから努力を重ねて運輸長官や労働長官を務めるまでになった。会場での彼女のスピーチを聞いていると(内容は全く覚えていないし、多分大したことは言っていなかったのだが)、そこまで自分で道を切り開いてきた人の逞しさや存在感をひしひしと感じることができた。授業は休まなければいけなかったのだが、日系アメリカ人や他のアジア系アメリカ人の方々などがどうやってアメリカでその居場所を掴みとってきたかを知る素晴らしい機会となった。

このElaine Chaoのインタビューは短く、オススメである。(英語もわかりやすい)

(写真はカンファレンスでスピーチをするElaine Chao)


 

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