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起業家精神

今週はいつもの学生団体のイベントでAcumenという非営利のベンチャーキャピタルでご勤務されている松川倫子さんに大学院にお越し頂いた。ウェブサイトによると「アキュメンは「事業・リーダー・思想の普及への投資を通じて貧困問題への取り組みを変える」というミッションを掲げ、寄付金をベースとした「忍耐強い資本(Patient Capital)」の社会的企業への投資に取り組んでいる多国籍NPO法人です。具体的には東・西アフリカ諸国、パキスタン、インド、ラテンアメリカ諸国、アメリカ合衆国において、貧困問題の解決を図る革新的なビジネスに対して、投資と投資後のビジネスサポートを行っています。」とあり、現在よく議論されているSocial Impact Investing(社会的インパクト投資)をしている団体なんだと素人ながらに漠然と思っていた。

イベントではケーススタディを読んでから議論をする形でAcumenの取り組みについて学んだのだが、所謂Social Impact Investing以外にも沢山のことをされているということに気づいた。僕が議論をしたのは+Acumenというオンラインコースについてだった。これは無料で提供されているオンラインの教材で(一部有料のコースもあるようだが安価らしい)誰でもウェブサイトからアクセスして学ぶことができる。僕が読んだケースステディでは53歳のインドに住んでいるITコンサルタントのおじさんが、このコースで学んだことをきっかけにインドの貧困に苦しむ人の生活改善の為に他の人も巻き込みながらプロジェクトを始めたストーリーが記載されていた。

オンラインコースの内容は社会的な問題を解決するに当たっての手法などが学べる内容となっており、このインドのケースでは"Market Segmentation at the Bottom of the Pyramid"というコースの内容が活用されていた。ウェブサイトを見たところでは他には"Business Impact for Social Impact"、"Adaptive Leadership"、"Introduction to Human-Centered Design"、"Financial Modelling for the Social Sector"などがオンラインコースとして提供されていた。元々はAcumen内の小さなチームがGoogle DocsやFacebook Groupを使いながら実験的に始めたそうなのだが、誰でもアクセスできて、かつ社会的な問題の解決に貢献できるのがすごくクールだと思った。

(+Acumenのウェブサイトはこちら:https://www.plusacumen.org/)

Acumenは他にも沢山のことをされているようなのだが、松川さんがおっしゃっていた中で一番印象に残ったのが、"We believe in the power of entrepreneurship"という言葉だった。上記の+AcumenにしてもAcumenの方が全てのインプリメンテーションまでフォローするのではなく、オンラインコースを提供して、それを活用した無数の人達がそれぞれ社会にインパクトを与えるというシステムになっている。これはまさにオンラインコースから刺激を受け、かつ実践するのに必要なスキルを身につけて、自らのEntrepreneurshipを発揮している例なので、なるほどと思った。

公共政策大学院で学んでいると政府の立場や国際機関の立場から議論をしたり、物事を考えることが多く、比較的entrepreneurshipなどが果たす役割について考える機会は少ないのだが、今回はまさに目から鱗であった。Acumenもスケールアップの段階では政府などと協力することもあるそうなのだが、こういった比較的leanな組織がスピード感をもって世の中にインパクトを与えているのは本当に格好いいし、これから更に重要になってくるのではと思う。今回の+Acumenのオンラインコースにしても誰でもアクセスして社会にインパクトを与えることができるようになっており、チェンジメーカーになる様々な面でのハードルはどんどん下がっているのだと実感させられた素晴らしいイベントだった。

(写真は全然関係ないがハドソン川と対岸のニュージャージー州)


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