健康診断

健康診断にいった。
僕は、胃の検査(バリウム)付き。
いつものことなんだけど、少し緊張する。
21時以降に食べちゃいけないから、ちょっと余分にご飯を増やしたり、水以外飲んじゃいけないから、早めにコーヒーを飲んでみたり。いろいろ気を使ってしまう前夜なのだ。
当日は、受付を済まし、検査着に着替える。
ここでも少し緊張する。うっかりすると、派手じゃ!というようなパンツを履いてきてたりするからだ。そんなことを意識して毎日パンツを選ばないので、前夜のパンツを選んだ時の自分のテンションを呪う時もある。

今日はセーフだ。

そして検査ははじまった。ロッカーの中にスマホをいれてきたのだけど、待ち合わせではスマホを使っている人がいる。こんな時でも人はスマホを使って情報を収集したり、ゲームをしたりしているのだ。「みんな大変なんだ」と思いながら、僕は字幕放送している民放のどこかをぼーっと眺めている。着々と検査は進み、無事に何事もなく終わろうとしている。
バリウム検査や血液検査など、僕には苦手な検査などない。造作もないことだ。
ただ、視力検査は違う。健康診断の中で唯一の自分との戦いだ。
職業柄、目は悪くなる。ただ、メガネはクソほど似合わないのでかけたくない。コンタクトはなんだか怖いからつけたくない。だから僕は悪いはずであろう自分の本当の視力より、いかにいい数字を叩き出すかが戦いなのだ。しかも再チャレンジはできない。ノーコンでクリアしないといけないのだ。
時はきた。
「前方のレバーを前に倒してください。検査が開始されます」
心の準備ができないまま、視力検査装置は僕にそう告げた・・・。

「円が空いている方にレバーを倒してください」

と覗き込んだ先にはランドルト環が見える。
僕はレバーを倒していく。次々と・・・。

極端な乱視の僕は、小さくなると本当に見えない。もう円なのだ。どこにもランドルト環など存在しない。

迷っていると、検査装置は
「円が空いている方にレバーを倒してください」
と、煽りを入れてくる。こいつは嫌なやつだ。

もうわからないから、適当にレバーを倒す。
あれ?ランドルト環が大きくならない。さらに小さくなりやがった。まさか正解したのか!!!クリアなのか!!!
そう思いながら、僕は、もはや勘でレバーを倒していく。やたら右が多い・・・。
次々と小さくなるランドルト環であろう、ただの円が現れたことで、僕はいい気になっていた。

「これはいったな、1.5は確実だ。これで、今回の免許の更新もメガネなしでいける」
自分との戦いに勝った。そう僕は確信した。

そして、戦いがおわったあと、看護師は僕に結果を告げる。

「ハチさんの視力は、両目とも0.7ですね!」


ぐ、ぐ、ぐぬぬぬぬぬ!!!!

あんなに小さかった円は、やっぱりただの円だったようだ。

そして僕は免許更新の時は、メガネをつけなきゃな。と思うのでした。とほほ

こんな機能があるんですね!!! どんなことができるかまだ皆目見当つきませんが、 見てくれた人が、ほんの少しだけ笑えたり共感してもらえるものを 書いていきたいと思います。