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売上分析:NPOコンサル独立三年目の振り返り

NPO支援を行うフリーランスのコンサルタントとして独立して3期目も無事年内の仕事を納めることができました。

独立してからは毎年年末は少し早めに休みに入るようにしてます。といってもいきなり完全にオフにするわけではなく、この記事の元となるような仕事についての分析や振り返り、そして今後の働き方や生き方についてなど普段なかなか考える時間をとりにくいテーマにじっくりと向き合う時間を取るようにしています。

ということで、今年も一年間の仕事について、特に本記事では売上面からの分析を公開します。

主には今後私のようにNPOコンサルタントを志す方にとっての参考になればという考えで作成している記事ですが、現時点で同じような仕事をしている方やあるいは私たちのような支援者に仕事を依頼する立場であるNPO運営者の方や中間支援組織の方などにも読んでいただけると面白い部分があるかもしれません。

なぜ売上の分析を公開するのか

(本項目は昨年の文章を一部加筆修正しつつ掲載しています)
なぜこのような記事を公開するのか。それは売上、もっと言えば収入というものがソーシャルセクターへ参入することの障壁となっているからです。「障壁」といってもそこにもいくつかの種類というか段階があります。まず1つには「収入が低い」ということ。そしてもう一つには「実態が見えにくい」ということ。

ソーシャルセクターへの関わりも色々とあります。NPOを立ち上げたり既存のNPOに入職(つまり「NPOで働く」)したり、NPOを支える立場として働く(広義の中間支援。NPO「と」働く)など。このうち「NPOで働く」については、ある程度実態自体は見えるようになってきていると感じています。昨今、NPO法人による求人情報は非常に多く出ており、その採用情報には給与を含めた雇用条件がしっかりと開示されていますし、実際にNPOセクターで働く人が経済面を含めたキャリアについて開示したり、インタビューを受けたり、といった記事や書籍の情報も少なくありません。

つまり、「NPOで働く」ことの収入に関する参入障壁は実態はすでにある程度明らかになっており、端的に「収入が低い」に集約しているといえるでしょう(あくまで「収入」に限った話です)。実際に様々な職種、業種の採用情報が出ていますが、営利業界と比べると非常に低い給与水準に留まっているものがほとんどですし、せっかくNPOに入職しても、給与面が厳しく他業界へ転職してしまう人も少なくありません。給与水準を上げることや例えば寄付金などの財源を人件費に充てることを良しとしない考え方が、寄付者側のみならず一部NPO業界側にもありますが、今のままでは極端に言えば「夢と理想のためなら金はいらない」という清貧の価値観を持つ人しかNPO業界で働き続けることができないということになってしまいます。それでは解決できる課題も解決できなくなってしまうのではないか、と私は思います。もちろんあくまで「非営利」の組織なので、金儲けのためにという発想では困るわけでですが、それでも一定水準以上の給与があるからこそ働き続けられるし、人を惹きつけられるという点から目を背けてはいけないはずです。

続いて「NPOと働く」仕事について。私の仕事であるNPOコンサルなどのNPO支援業については、「NPOで働く」とは少し違い、「実態が見えにくい」ことが問題だと感じています。そもそも業界と呼べる程の大きさにもなっていません。「中間支援」と括ると少し大きくなりますが、いわゆる市民活動センターやNPOセンター等の「中間支援組織」と私の仕事は異なりますし、そうした中間支援組織の給与面での実態は運営主体によって行政寄りになるか、NPO法人もしくは公益法人等の公益組織寄りになるかはありますが、どちらかというと前述の「NPOで働く」と問題構造は似た形になるのではないかと思います。

私がこの記事を作成し、公開しようと思っているのはコンサルティングあるいはその他の専門性(例えばデザイナーやITエンジニアなど)でNPOを支援するような関わり方をしている仕事についての実態をお伝えすることが必要であると考えているからです。伝えることで、NPOを支援することを仕事としたい、もしくはできる、と考える人が増えると考えているからです。根本的には収入が高いことを示していけるようになることが必要だと思っていますし、そうしていきたいと願っていますが、まずは実態を見せることができれば参入してくれる人は増えるはずだとも考えています。「NPOで働く」側には収入が低くても参入する人がきちんといます。もちろんそれで十分だと考えていないのは前述の通りですが、「NPOと働く」側についてはその状態にすら至っていないです。NPOを支援するという仕事の必要性は高まっていると私個人は感じており、私個人の仕事を伸ばすだけではなく、業界として形作り成長していくことが社会全体の課題解決スピードを上げることにつながると考えています。

また、もう少し言えば、「NPOと働く」については、実態さえ見えてくれば問題は解決するのではと感じている部分もあります。どういうことかというと、「NPOで働く」でもう一つの問題であった「収入が低い」について、NPO支援の仕事については働き方や提供できる専門性によるのは間違いないですが、クリアできている支援者の方も少なくないと考えています。まだまだNPO支援者としては未熟な私が、それなりに食べていける水準にまで稼ぐことができるようになっているのですから。

ということでかなり前置きが長くなりましたが、このような考えからこの記事を作成しています。細かな情報までできる限り公開していますので、ここから先は有料記事とさせていただきます(クライアントに関する情報や守秘義務違反に関するような情報は一切ありません)。

なお、記事の章立てについては基本的に昨年までのものを踏襲している関係で、概要説明の部分などは昨年の記事の文章をそのまま再利用していますことはご了承ください。前年比較や変化から感じることについてなど、追加的な視点での記述もありますので、昨年分をお読みいただいた方にも、今年分のみお読みいただく方にもお楽しみいただけるのではないかと思います。

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NPOコンサルや伴走支援者になりたかった数年前の私のような方に向けて仕事をする中で感じたことや考えたことを書いています。 支援者育成やNPO支援の仕組み化などに取り組んでいくために、もしいいなと思ってもらえたら、サポートしてもらえると嬉しいです。