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【アルビ日記】2023-29:vs川崎 3-2


「今季でさいこう」

試合情報

・9/29(金)19:00キックオフ
・@等々力陸上競技場。晴れ
・新潟11位、川崎9位

アルビレックス新潟・スタメン

GK小島享介。DF新井直人、 舞行龍ジェームズ、千葉和彦、堀米悠斗。MF秋山裕紀、高宇洋、長谷川巧、高木善朗、三戸舜介。FW鈴木孝司。
【途中出場】星雄次、渡邊泰基、長倉幹樹、松田詠太郎、太田修介。

試合ダイジェスト

【前半】
23分川崎先制。右CK、クリアで流れたボールを遠野がシュートGK弾いたところをシミッチが詰めた。30分、新潟が同点に追いつく。三戸の無回転ロングシュート、右ポストに跳ね返ったボールを鈴木が詰めた。1-1で前半終了。

【後半】
59分新潟勝ち越し。左CK、一度跳ね返されたボールを高木が低いクロス、ファーに流れたボールを新井がダイレクトで蹴り込んだ。76分、川崎同点。山田が獲得したPKを自ら決める。80分、新潟が3点目。左サイドから中央にカットインしてきた太田が右足一閃。ファーサイドに突き刺した。3-2で新潟勝利。

あえぐフロンターレ

今シーズンでさいこうの、痛快なゲームだった。

舞台はアウェー等々力、ポゼッションスタイルの偉大な先輩・川崎フロンターレに打ち合いで勝つ。

内容も、今日ばかりは川崎を凌駕していたといって差し支えないだろう。

川崎が息苦しそうにあえいでいたのは、試合中、2度のシステム変更を行ったことからも推測できる。

おなじみの4-1-2-3でスタートしたフロンターレは、前半の終わり頃に4-4-2に修正。さらに後半途中から3バックに変更した。

プレスがハマっていない、アルビに気持ちよく、あいだあいだで受けられている… というストレスがずっと続いていて、これをなんとかしたい、という気持ちの表れに見えた。

こういう川崎フロンターレを見るのはなんだか珍しい。
ボール保持の王者・川崎をそうさせたアルビが誇らしくもあり、惑う川崎に少し寂しさも覚えた。

普段ボールを保持するチームが、相手にボールを持たれると、ピッチ内に不安が伝播していく。11人という大人数でやるスポーツだからこそ、皆の拠り所となる「スタイル」はかなり重要なのだ。

川崎フロンターレに鳴り物入りで加入した元フランス代表のセンターフォワード・ゴミスだったが、今日は残念ながら身体がひと回り小さく見えた。

アルビのDF陣に効果的なプレスをかけられないばかりか、ボランチすら消しきれず、ビルドアップの出口を作ってしまった。
ゴミスの周りを、面白いようにボールが通り抜けていく。二、三歩遅れて追いかけてくるゴミスを尻目に、秋山や高、降りてきた鈴木や高木が前を向ける。

この状況を嫌って川崎の鬼木監督は、後半を待たずに2トップの決断をする。

ゴミスのようなFWが諸刃の剣になり得るということが、良くわかった前半だった。

匂い立つアルビ

苦しそうなフロンターレと対照的に、90分間ずっと楽しそうにサッカーしていたアルビの面々。

良かったのには色々な要因があるが、センターバック2枚にフォーカスしてみたい。

トーマス・デンの、ボールを運ぶ推進力。敵のプレスをいなして、ボールを持って加速、4歩5歩と進む。

千葉和彦の、空間と時間をあやつるボールタッチ。止めて出して、出すふりして止まって、やっぱりはたいて。少しのずらしとボールスピードの緩急で、ボールの受け手に時間を与えるプレーは見事。

そして両CBともに、相手がなかなかの剣幕で襲いかかってきても、ビビらない。悠然としている。

ビルドアップとプレッシングの駆け引きは、メンタルによるところがかなり大きいわけで、今日はここでまず勝っていたな。

両センターバックのボール保持技術の巧みさもあって、この日のアルビは川崎を敵陣に押し込んでポゼッションする時間帯が多く見られた。

ハーフウェーライン付近で、トーマスデンや千葉がボールを持ち、前線で三戸や長谷川巧が裏抜け等の駆け引きを繰り返す。
川崎DFは揺さぶられ、疲弊した。

右ウィングの長谷川巧は、ボールタッチは少ないがスプリント回数が多い。後方でみんながパスを回しているときに、ひとり危険なスペースへ走り込んでいる。それを何回もトライしている。ボールが出てくるのは、10回に1回くらいかもしれない。でも続ける。

長谷川のスプリントがあることで、相手DFは引っ張られ、そこにスペースが生まれる。そのスペースで高木なり鈴木がボールを受け、起点ができる。
おそらく長谷川は、ボール保持に間接的に、だが大いに寄与している。

3点のゴールはどれも見事だったが、太田修介の復活弾にはシビレた。この人は、やっぱりシュートがよく似合う。ストライカーというのは、真ん中にいる人だけを指すのではないのだ。

各々の個性を立たせながらも、11人の共通理解が高い次元で達成できていたこの試合。ポゼッションでフロンターレを圧倒した試合。

ゴールの匂いがぷんぷんしていて、セクシーフットボールで、くらくらした。


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