竜とそばかすの姫

ネタばれがあります。

この前映画館で見た。ていうか公開初日だったと思う。期待して観に行った。見終わった時の感想を正直に書くと、これ酷くないか? って感じ。

歌は良かった。世界観もよかった。主人公も悪くない。あと特に主人公の女友達の毒舌メガネの子は好きだ。あとネットで身バレする恐怖は俺の中でも「ネットあるある」だ。それでも、脚本だけが異常におかしい。あの最後、まったく感動なんてできないだろ。最初見終わったあとツイッターで「感動した」っていう感想が多くて 俺は驚いて、子供をだますならこの程度でもOKなのか?っていう思いがあふれていた。主人公の女が最後にやった事は、単に自分を信じさせる為にネットで自分の顔を晒して相手の信用を得て、なんとか相手の場所が分かったのでわざわざ東京に行って顔に傷作ってまでその場の暴力から2人を守って施設に連絡しましたって事で、女の子にだけ感情移入していると「相手の信用を得る為に自分の身バレを犠牲にしたアタシスゴイ!人前で歌えたアタシスゴイ!わざわざ東京に行くアタシスゴイ!大人の暴力に負けないアタシスゴイ!」で終われる。最後好きな人と結ばれてよかったね。ぺらっぺらの薄さ。いやまさか、細田監督がこんなクズな話をいい話だと思って作ったとは思えない。どう考えても向こうの兄弟は救われてない。暴力をふるう親から引き離されてそれで終わりか。それは話として解決でもなんでもない。あの親が腰を抜かして逃げた理由わかるだろ?女の子の顔に傷をつけたんだ、暴力で。その後犯罪者として祭り上げられたら終わりだ。あの兄弟は施設に入ってそれで楽しい暮らしが待ってると本気で思える人間はいないだろ。すべてを中途半端に終わらせて四国に帰ってさあこれから彼氏と合唱部のおばちゃんたちと楽しい毎日が待ってる主人公。なんだそれ。もしこれで色々解決したなんて細田監督が本気で思ってるなら細田ってヤツは人の心なんて持ってないし、人の心が小指の先ほども理解できない鬼だ。 たぶん、そうじゃない。

これは俺の想像だけど、細田監督は思春期の先走りがちな女子高生の浅はかさを描いたんじゃないだろうか。おい、そんな無責任な!っていうツッコミを待ってるんじゃないだろうか。あの映画、感動なんてしたらダメな社会派問題作で現代のネット社会の闇と現実世界のつながりの希薄さを見せつけて、見た人みんなが背筋がぞっとする、そんなトラウマ作品になるぞと作ったんじゃないだろうか。 

なあ、あの自閉症の弟くんが50歳のおっさんでもあの子は会いに行って抱きしめたか?


まあ、とにかくあの映画を見て感動したなんて言ってるやつは綺麗な絵でいい歌さえかかってれば中身なんてどうでもいいやつだ。何に感動したのか問い詰めたい。あの映画をほめるとするなら「こんなにむなしい気分にさせられたのは初めて」だ。

サマーウォーズが良すぎたんだ。みんなあれの再来を求める。細田監督も辛いだろうな。

あとどうしても個人的に気に入らない部分は、ディズニーのキャラデザ入れちゃった事だ。アメリカに屈したのかと思わずにいられない。美女と野獣なんか入れるなよ。いや別に手を組んだっていいじゃないと言う人もいるだろう。しかしな、あれは負けなのだ。あれはオマージュとかパロディじゃない。自分の最大の武器を手放してどうすんだ。暖かい美味しいうどんが夏にスランプになって、自信を失って商売敵のアイスクリームのマネして部分的に凍らしてみたらただのぬるいうどんになりました的な感じがした。

まて、俺は細田監督が嫌いではない。ここまで読み返すと割と悪口が多いな。おかしい。愛がねじれてしまったな。細田さん頑張ってね。応援してます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?