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モチベーション

昨日Sports Performance Summitの中のセッションで「どうやってモチベーションを維持していましたか」という質問がありました。振り返るとモチベーションを維持するという考え方はあまりしていなかったような気がします。それがコントロール可能なものであるという前提に立っていませんでした。

飼い主と犬で例えます。犬が飼い主を引っ張っていくようなそんな形が理想です。犬が主体性を感じイキイキするのでその方が勢いも出るし、持続可能だからです。一方で、犬が行きたいように行かせてしまうとどこにいくか分からないし寄り道をしたりしてなかなか前に進みません。

横を見るとライバルたちは早く進んでいるし、計画もあるので一定のペースも保ちたい。そうなると犬の手綱を無理やり引っ張って行きたい方向に無理やり引き摺っていきたくなります。ところが、それをやりすぎると犬は自分の思い通りにならないことに適応してしまい、やる気をなくして飼い主の後しかついていかなくなります。

犬には自分が行きたい方向に行きたいように進んでいるという感触を持ち続けてほしい、一方でいかなければならない方向と保たなければならないペースがある。時には叱りながら、宥めながら、相手の寄り道を待ちながら、なんとか進んでいたというのが私の現役時代でした。

この犬がモチベーションにあたり、飼い主が客観的に見る自分自身にあたります。大事なことはモチベーションが犬のように振る舞うということを理解しているか、またそもそも犬が自分の中にいると思っているかどうかです。犬を乱暴に扱うこともできますが、継続可能ではありません。

人間は複雑です。あの時我慢したことが今違う形で噴出したり、知らずに抑圧し続けてきたことで自分の気持ちがわからなくなったりします。選手にとってはなるべくすっきりとした状態を保つことが大事です。平常心や静かな水面のような心境と言いますが、それはその時意図的に作れるものではなく、日常的に抑圧や自分を歪めることが少なかったからこそ当日澄んだ状態でいられます。したいことをさせないのは何かの抑圧ですから、どこかで抜かないといけません。抑えつけたなら解放させないとバランスが取れないのです。

やりたいという気持ちがなければ全ては始まりません。それが出発点であり全ての動機の源泉でもあります。

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