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6・19関東だめライフ対談全編書き起こし

本記事は2023年6月19日に行われた関東地方のだめライフ愛好会5団体による対談の全編書き起こしである。各大学の事情、キャンパスの公共性を奪う社会の流れ、だめライフの抱える諸課題、さらにはアジールの問題まで侃侃諤諤の議論がなされた。

参加者
中央大学だめライフ愛好会@dame_life_chuo
東京大学だめライフ愛好会@damelifeut
筑波大学だめライフ愛好会@dame_UTsu_life
東海大学だめライフ愛好会@dame_life_tu
多摩美術大学だめライフ愛好会@varavabon
オブザーバーK氏


自己紹介


中央大学だめライフ愛好会:どうもみなさんこんにちは。関東のだめライフ対談ということで、今日は4人のだめライフの人に集まっていただきました。まず一人ひとり自己紹介をお願いします。どこのだめライフか、どういう活動をしているかとか、あとは諸々言いたいこととかあれば。

筑波大学だめライフ愛好会:筑波大学だめライフ愛好会のワンマン会員みたいな感じで。だめライフ愛好会を始めたのは、とりあえずビッグ・ムーブメントに乗っとくかみたいな感じで。お察しの通り筑波ってホントにカスofカスみたいな、土地もカス生徒もカス教員もカスみたいな、全カス大学なので、オモロの波をふかしていきたいよなっていうのがあって……まぁ何もできてないですね。今日は、タテカンはこういう風に立てるんだとかビラってそういう風にするんだみたいな、結構インスピレーションが手に入ったので、活動出来たらなと思いながら、やるように努めていきたいと思っています、以上です。

東京大学だめライフ愛好会:どうも東大だめライフの主宰です。東大だめライフでは、雑草を食べたり、勝手耕作をしたり、ザリガニを採ったりというよくわからないことをやっているんですが、今はスクウォット、不法占拠に向けて頑張っています。アナキズムの実践というのをテーマにしているので、それをどうやって形にしていくかというのを考えていこうかなと。よろしくお願いします。

多摩美術大学だめライフ愛好会:多摩美のだめライフでやっています。やってきた活動は、自分の大学ではないんですけど、中央大学のキャラクターのチュー王子っていう、権力にまみれた王子様がいるんですけど、そういうヤツの絵を描いて、それを『1984』風のビラにして貼ったり、3Dモデルを作ったり、美術の方面から面白いことだめライフ的なことをしたいなと思って。多摩美のサークル棟にも何枚かビラは貼ったんですけど、これからどんどんやっていきたいと思ってます。

東海大学だめライフ愛好会:東海大学だめライフです。活動内容としては、月に1回、カレーやら麻婆豆腐やらを振る舞ってっていう会をやるくらいですね。サークル棟が今年の12月に潰れそうという話が大学側から出ているのを止める事が一番の目標なのかなと思ってますが、どうなるかわからないです。カレーとか麻婆豆腐とかをやるのは、つまらない大学のなかで、つまらないと思っている人間が集まれる場所を作るっていうのが目的ですね。

中大:じゃあ私は、あんまり紹介必要ないかもしれないですけど、中央大学だめライフ愛好会の主宰でございます。活動は、代表的なのは「葉桜を見る会」というお花見のイベント、これは今年の4月からやってて、今日で3回目なんですね。今日は13、4人くらい来てくれたのかな、結構来てくれて。つまり公共空間のなかで見知らぬ人同士で交流をしようっていうコンセプトがあって、そういう実践としてやってると。あとはフリーマーケット──サークル棟のなかでフリーマーケットやってるんですけど──これは2回今までやってて、それも公共空間のなかでコミュニケーションを図るっていう目的でやって、まぁそれの副産物としてお金もちょっとね、入るわけですけど。(一同笑い)1回目2000円儲かって、2回目は1000円だったんですけど、主に古本を売ったりとかって感じで。あとはビラ貼りとか、サークル棟に色々な種類のビラを貼ったりとか。あとはタテカンですね。これから闇鍋とか、アニメ鑑賞会とか、流しそうめんとか、スクウォットとかいろんなイベントを、つまり公共空間の中で自由にやろうってことで。

各大学のキャンパス事情


東大:公共空間の利用っていうのは、色々やり方があるわけで、勝手耕作にしても、空き地があったから勝手に畑にしたろっていうそういうところから始めたんです。キャンパス内って公共の場なのかって結構議論されると思うんですけど、誰かが刺殺されかけたりする事件があって、キャンパス内の警備強化やら、本来なら関係者以外立ち入り禁止だろとかそういった話が出るようになってるわけで、キャンパスの公共性を問い直すっていうのは大事なんじゃないかなと思うんですよね。コロナの間キャンパスっていうのは閉じられてたじゃないですか。2023年度社会が正常に戻る中でキャンパスの公共性をどこまで取り戻せるかってのは、今年の課題なんじゃないかって思ってます。

中大:キャンパスの公共性……確かに、国立はわかんないですけど私立大学は関係者以外立ち入り禁止みたいな看板があったりしますよね。国立ってあります?

東大:ありますあります。

中大:筑波大学にもある?

筑波:筑波大学はねぇ、色々特殊というか、開かれた大学というのがモチーフで、門がない。普通に学内を散歩の小市民どもがうろついてるみたいなことはありますね。

中大:24時間入れる?

筑波:入れますね。ただ教室は施錠されてるので、施錠されてない場所はごく一握りあるみたいな感じです。だから24時間365日開いてる、そういう場所は暗証番号を入手して開けるみたいなことが必要になってきます。

中大:サークル棟は?

筑波:サークル棟は21時とか22時くらいに閉まりますね。

中大:それは駄目なの。

筑波:無慈悲な。

中大:じゃああんまり24時間入れても面白くないですね。開かれたっていっても意味が違うというか……。

筑波:構内に自由に入れるっていう意味でしかないです。弾圧事例としては、石の広場っていうんですけど、みんなの集まるスポットみたいな場所でロケット花火やりますってTwitterで言ったら、通報されたらしくて警備員が来てたみたいな。だから場所を変えて。筑波大学、寮じゃなくて宿舎っていうんですけどその近くでバババッってあげて。

東大:筑波だったら博士号事件がありますよね。池にスワンボートを浮かべてはいけないという規則がないので、博士号っていう名前のスワンボートを浮かべた人がいるんですけど、大学がだめって言ったので結局スワンボートは係留されたまま動かないっていう。

筑波:あっ、今度修士号やります。(一同笑い)

筑波:2、3人用のちっちゃなゴムボートあるじゃないですか。あれで探検しようかなって思ってます。夏休みくらいに人を集めてやろうかなって思います。でも残念なことに3人乗りくらいしかできないので。(一同笑い)

中大:スネ夫みたいに(笑)悪いなのび太って(笑)

東大:キャンパスの公共性っていうのは、大学当局が勝手に、都合のいいように決めてるって現状があるわけですよ。それをどうやって学生の手に取り戻していくのかっていうのはかなり大事ですよね。

東海:たぶん東大とか筑波とか中央とかは、学生運動がほんとに昔はあったから、そういう発想が出てくる学生がいると思うんですけど、僕の大学は元からないので。

中大:でも全共闘はあったんじゃないですか?

東海:現存する学生運動の痕跡が……。

中大:それはないかもしれないけど、大抵は……国士館ですらあったとかって聞いたけど。

東海:そういう発想を持ってる学生が全くいない……。

中大:それはそう。

東海:公共性っていうものが元から僕らの側にはなきゃいけないって発想が全くないので、主体性のある人間をできるだけ集められるようなフィールドを作りたいっていう点に共鳴してだめライフの名前を借りてる感じですね。

東大:各大学の置かれてる状況ってやっぱり結構違うもので、まずそういう運動に共鳴してくれるような人を探すところからっていうのもあるでしょうし。

中大:でもどこの大学にも必ずいるって外山恒一がよく言ってるよね。

東大:(笑)

中大:国際子ども福祉大学みたいなよくわかんないFラン大学にもいるみたいな。探せばいるっていう。出会ってないだけだって。だから東海大もでっかい大学だから……。

東海:それが僕なんですよ。

中大:1人2人じゃないもっといると思うんだよ。表に出てこないけどひっそりそういうのに関心あるやつみたいな。だからそういう人間といかに出会うかっていうことが、キモなんじゃないかなって。だから葉桜とかもそういう人間を寄せ集めるためにやってるところがあって、現状ほとんど知り合いしか来ないんですけど、絶対いると思うんですけどね。多摩美はどうですか?

多摩美:多摩美は……僕自身1年の頃あんまり活動的じゃなかったんであんまり全体のことはわかんないんですけど。現状として、誰々が何々やったぞみたいな面白いことやったぞみたいなのは全然聞かなくて、でもちょっと前にキノコを裏山で採ってきてそれを喰ってたみたいな話はちょこちょこ聞くんですけど。美術の大学なのに、他の人も活動的じゃない、大きな事件も耳に入ってこないんで、せっかく常識とは外れたことを求めて美術大学に来たのになんかみんな枠に収まってるし、就活もみんな、ほとんどの、デザインとかに片足突っ込んでる人たちは就活もちゃんとやるし、多摩美は就活が強いって美大の中では言われたりするんで、美大生なのに型にゆるく収まってるっていうのが気持ち悪い感じはありますね。そもそも周りに爆発的な、エネルギーが強いような活動が散見されないって現状があって、僕は自分で動こうと思ってだめライフってのを見つけて、みなさんと一緒にこうやって活動したいなって思ってここにいます。

中大:どこの大学も中々仲間が簡単に見つかるってことはないでしょうね。東大もそういうのないですか?

東大:うーん、ないことはないです。まぁ厳しいですよね時代なのかもしれないけれど。

中大:立て看同好会に入ってるんですよね?

東大:はい。

中大:立て看同好会は政治性みたいなのはあるんですか?

東大:元々個人でやってたところなんですけど、個人の思想を出す場として存在してたんですけど、私とかが入ってきて、タテカンをメディアとして表現手段としてより広い意味でタテカンを広めるっていう方針に転換したわけです。そうやったら1年生が10人以上入ったわけですけど。とはいえ、そういう、型にはまりたくないっていう人はそんなに多くはない。1人2人くらい。だめライフにも来てくれますね彼らは。

中大:筑波大学もそんな感じですか?

筑波:1人中核派の学生がいて、その子が頑張ってる。

中大:1人だけ?

筑波:その人が何人連れてるかはわかんないです。

中大:1人で何やってるんですか。情宣活動やったりとか。

筑波:よく家にビラが入ってますね。

筑波:あとは指宿昭一っていう有名な弁護士が……茨城県なんで近くに入管があるじゃないですか。だから入管の支援に行こうみたいな……。あとは、一人、学内に変な人がいて、学内にビラ貼ったりしてたんですけど、めちゃめちゃ叩かれて。

中大:それはどういうビラですか?

筑波:学生自治をやろうみたいな、そんぐらいの内容だったんですけど、めちゃくちゃ叩かれて、とにかくそういう大学ですね。

中大:叩かれるってどこで叩かれるんですか?

筑波:Twitterでめちゃくちゃ叩かれる。手続きを通じて貼れよみたいなめちゃくちゃしょうもない……。ただ申請したら貼れるってわけじゃくて顧問教員がいるみたいな。

中大:めんどくさ!

筑波:めちゃくちゃめんどくさいから、勝手にペタペタ貼ってるのに、顧問教員をつけてやりましょうねって。

東大:顧問教員をつけろっていう制度そのものに反対するっていうのを書いた方が良くないですか?

筑波:でもねぇ、バカが多いから何言っても伝わんないですよね。筑波大学って学長の任期がないんですけど、だから学長選もないっていう、それが問題だってことも伝わんないっていう。実際永田学長にリーダーシップがあることは事実なんですよ。功罪両方の側面があれど、とりあえずプラスの側面があることは事実で、学生はそこしか認識できてない。成果が出せてるならなんで選挙する必要があるのっていう、それでいいじゃんっていうのが支配的だから、選挙がないってことがどれだけ異常かってことをこんこんと説明したとしても、成果出してるんだったらそれでよくない?っていう。

東大:学長が変わった後、無能が学長になったらどうするんですかとか、制度としての問題を突いていけばよくないですか?

筑波:結局、出る杭は叩かれるような閉鎖性がありますよね。

中大:筑波大学自体がそういう設計のもと作られた大学っていうのはあるんで。

東大:政治性を持たせないようにそうやって隔離したわけですからね。

キャンパスと仲間意識の喪失

中大:どこの大学も一緒だと思いますけど、コロナが決定的に学生文化とか自治っていうものを破壊したって面は絶対ありますよね。中大を例にとると、6月の6日──実際には5日ですけど──サークル棟の共有部分の──僕らがさっきえっちらおっちら運んだ物品ですけど──当局が撤去するっていう知らせを6月1日に通知してきたんですよね──1週間もない──っていう事件があって。で、向こうの言い分だと例年やってるってことなんだけど、仮にやってたとしても規模としてはほんとにちょっとなんですよ。全部撤去しちゃうなんてことは数年、ひょっとしたら10年くらいなかったんですね。だからそれがなんでいきなりやるのかなって。それは建前上は避難経路の確保のためとかみなさんの安全のためみたいなよくある建前でやってるわけですけど、でも今までちゃんとやらなかったのに何でやるんだろうと。それはどうやらコロナで大学にみんな来なくなって最近になって戻ってきたっていうことで、そのタイミングでやろうって話になったらしくて、だからそこにどういう思惑が入ってたってのはわかんないけど、コロナでより統制を強めようみたいな意図がなにかしらあるんじゃないかと思うんですよね。

東大:力関係が変わってしまったのはあるでしょうね。学生と当局が。

東海:学生側がコロナっていう期間を経たことによって、サークル棟とかサークルに対する歴史の伝承がある種なくなったことで、スムーズにいってしまうっていうところがあると思うんですよね。

筑波:それでいうと私の大学、平日全然人がいなくて、まともにやってるの軽音とか吹奏楽系ぐらいで、あとは誰もいない。

東大:他の文化系サークルはどこで活動してるんですか?

筑波:そもそもノンサー率がすごく増えてる。

東大:それはコロナでかなり増えたでしょうね。

中大:近年の大学生ってのはサークル加入率が50%位だったってデータがあって、それはコロナ前でね。あとはバイト。大学生の仕送りの額が年々減っていって、特に一人暮らしの人なんかは絶対バイトしないといけない。社会全体の変化も関係しているのかな。

東大:社会に余裕がなくなったきたのが……。遊びというものを認められない社会になっていって、学生は勉強だけしてればいいのになんで社会に口出そうとするんだとか……。そういう風にどんどん余裕がない社会になりつつあるんじゃないか。

中大:あまりにも趣味嗜好が細分化しすぎた面もあるんじゃないかと思うんですよね。

東大:インターネット時代の……。

中大:1つのサークルに入るにはあまりにも多様化しすぎててどうも自分は合わないんじゃないかって感覚が強まってる気がするんですよね。

東大:リアルで人間関係を築く必要が薄くなってきた。インターネット時代で……。

多摩美:リアルで会わなくても生きていけるみたいな。あったらあったで僕は楽しいんですけどね。

東大:それはそうなんだけど、大体Twitterで話したら満足してしまう。さらに趣味とかが細分化されていって、狭い趣味の人間とはリアルで繋がるってのは難しいので、そういった同じ趣味の仲間と繋がりたいというのもネットで完結してしまう。そこにリアルの入り込む余地はないわけですよ。

中大:今の話で思ったのが、これは今に始まったことじゃないと思うんですけど、やっぱり同じ〇〇大学の学生だっていう意識、あるいは同じ大学生だっていう意識は今ほとんどないんですよね。だから公共の中で何かやっても人が来ない。同じ中央大学に在籍してる人間だけど他人なんですよね。キャンパスも通路と一緒で、交わろうっていう気にならないんですよね。そういう情況の中でだめライフみたいに公共で活動するっていうサークルがやっていけるのかっていう問題について話をしていきたいと思うんですよね。どうですか?

筑波:だめライフが通じる人ってある程度の政治的下地がないと。でも政治的下地っていうのが今の社会で最も嫌われてるものだから浸透のしようがないというか。

中大:たとえば葉桜を見る会みたいなお花見は、もちろんこちらは政治的意図をもってやってはいますけど、参加する側は別にそんなこと気にしなくたって、「なんか花見みんなでやってて楽しそうだ行こう」みたいなそれぐらいの気軽さで政治性もなにもなく入る事ってできるわけじゃないですか。でもそれがやっぱりないと。それは他人感覚があまりにも強すぎるからなんじゃないかなって思うんですよね。

東海:大衆性っていうものを獲得するようなポップさがだめライフにあれば……。

中大:そうそう、だめライフっていっても各だめライフごとに色んな理念があるだろうから一概には言えないんですけど、うちの中だめ(中大だめライフ)の場合は面白主義っていうことでやってるんで、既存の政治党派みたいにストレートに政治的な訴えをしてっていうんではなくて、なにか面白いことの中に思想を込めて、ノンポリの人たちの気を惹こうみたいな考えでやってるわけで、それはその通りなんですけど、だからやり方がまだそこら辺の人が参加するには足りてないのかもしれないけど、そこはこれから鍋とかやってくんで、実験していこうと思ってるんですけど、ただどうなんだろうね、日本って社交の文化がないってよく言いますけど、赤の他人がワイワイやってるなかに入ってくハードルってのが高いのかもしれない。

東大:赤の他人が同じ空間にいたら話しかけざるを得ないんじゃないですかね。そういう空気が醸成されていれば赤の他人でも話しかけられそうなんじゃないですかね。

多摩美:その空気を作りたいみたいな。

東大:昔はバックパッカーがすごいいたわけじゃないですか。ゲストハウスとかで同じ宿に泊まってるだけの人に話しかけるってのは当たり前だったわけで……今年の1月、私タイに行ってたんですけど、どこの馬の骨ともわからないような人とも話すわけですよね。なぜ同じ国で同じ言語で喋ってて同じ大学に通っているのに話しかけられないのかっていうのは不思議ですよね。そういう空気が醸成されてないからって言ったらそれまでなんですけど。

中大:物理的にシェアハウスはもちろん狭い空間だから他人でも距離が近いから関わらざるを得ないところはあると思うんですけど、キャンパスだと広すぎるからね。

東海:僕の大学の場合は中高の附属から上がってくる人が半分以上で、関係性を作る必要がない。そういう要素があるので人が集めづらい。

東大:外部から来た人たちは内部で進学してきた人と話す事ってほとんどないってことですか?

東海:何人かは話したことはありますが、元々関係性ができたうえで入るので、仲間を作らなきゃいけないって意識が希薄です。僕は実際、そういう人たちとは仲良くならずに留学生とかとよく喋ったりしてますね。

中大:それはさらに身内化を加速させてますよね。

だめライフと”華やかさ”


東海:華やかさが必要だなっていうのが課題ですね。

東大:東大だめライフも華やかさが欲しいんですけど……。

中大:華やかっていうと?

東大:目立たないじゃないですか正直キャンパスの隅っこで畑作っても。何らかの目立つ集まりを……。

中大:お祭りみたいな。

東大:駒場寮があったときの駒場寮祭を復活させたらっていう話とかも出ていて。

筑波:それでいうとね、私のやったロケット花火をめっちゃ打ち上げるっていうのはめっちゃ手早くて、みんながエッて。打ち上げたときめちゃくちゃ燃えて(炎上して)、私がやりそうだなってわかってる連中は、「あぁやったんやね」って、だから音を支配するというか、爆竹とかいいなって思いますね。

中大:その意味では音楽もいいでしょうね。僕はまだ楽器が弾けないんでできないですけど、ある程度できるようになったら桜並木とかでゲリラライブとかやったりして。

筑波:カラオケ大会とか。

中大:面白いよね。そういうのやったら来るのかもしれないけど。

多摩美:音もいいんですけど、目も大事だと思うので、それこそ僕みたいな美術系の人が華やかさを演出するっていうのも可能性があるんじゃないかと思いますね。

中大:(東大は)だめライフでタテカン作ったらいいんじゃないですか?

東大:だめライフでタテカン作りたいんですけど、何描くかってのが頭の中で全然決まらなくて。

多摩美:僕はそういうモヤモヤした観念みたいな問題を視覚に落とし込むことを勉強としてやってるんで、そういう意味ではタテカンとかできそうだなって。

東大:じゃあ一緒に作りますか。

多摩美:作りたいです!

中大:山田リョウ描くとか。

多摩美:やりたいと思ってたのが、ま〇こヨッシー(注:中大のサークル棟に物品撤去時まであった、オナホールの埋め込まれたヨッシーのぬいぐるみ。下品だが学生たちから愛されていた)……ヨッシーあるじゃないですか。あれに山田リョウがまたがって……(一同爆笑)そういう象徴的な絵を描きたいなーって、それはインパクトがあるような。

東大:インパクトしかない(笑)

東大:面白主義でやっていくんだったら、世間の流れって言うのを追っていく必要があって、大変なんですけど。

中大:あとは圧倒的に宣伝が足りてないですよね。多分、Twitterで満足しちゃってる節があって、実際来る人はTwitter経由とか元々の知り合いしかいないわけで、そこらへんの通行人が葉桜に来たためしってないんですよね。今日は楽器弾いてくれた人がいたからその時は注目してたけど、こっちに来てわざわざ聴きに来るってのはなくて、それはだめライフが知られてないってのは大きいですね。どう全学的に宣伝していくかっていうところも課題なのかなって思ってて、その一環として、メインの通り(ペデ下)があるんですけど、そこでプーさんのぬいぐるみを被って、身バレ対策をバッチリして、だめライフの看板を持って歩いて回るみたいな。看板立てたら言われるから、でも持ってるんだったら多分なにも言われないっていう作戦で、だめライフを宣伝していこうかなっていうね。

東海:だめライフ全体でできそうなことってありますか?

中大:一つはスクウォットですよね。東大で今計画してるし、東大で成功したら中大でもやりたいなって思ってて、スクウォットはとにかく人数がいるんで、力押しだから、10人……欲を言えば20人くらいいたらいいと思うけど、東大は10人くらい用意できる?

東大:少なくとも10人は用意できるかなって。

中大:ただ東大は22時くらいに出されるっていう話でしたけど、ルールとしては決まってないんですよね。

東大:何の根拠もない、そういうのが行われているだけなので……。

中大:閉門時間とかではないんですね。

東大:正門は24時間開いてるので。

中大:それだと多分やりやすいんだよね。中大の場合は23時で閉まるっていう風に決まっちゃってるんですよ。だからよりやりにくいと思うんですよね。それこそゲリラ祭なんてのは23時で閉まるっていうことに反抗して24時間解放って理念でやってたわけで、中々24時間居座るってのは閉門時間のある、特に私立なんてみんなあると思うんですけど、だからまず東大でどういうもんかってのを知りたいと思います。

東大:東大に関しては、次期自治会長が24時間開放っていうのを掲げてて地域住民にも説明してっていう段階でやってるので、もう24時間開放は実現秒読みみたいな感じですけど、その点そこまでしてスクウォットやる必要ってのは薄くなりつつあるんですが、とはいえせっかく24時間開放を勝ち取るならやろうってことで。

だめライフとメディア戦略


多摩美:Twitterだけじゃなくて、youtubeとか考えてますか?

東大:私は考えてます。畑の開墾の様子をうまいことyoutubeで撮って。

東海:ステハゲみたいなことやらないんですか?

中大:いやー(笑)ステハゲはだって完全に姿晒してやってるわけじゃないですか。そこまでの覚悟はないかなぁ(笑)。

多摩美:プーさんがペデ下でやってるのを遠くで撮影して、こんな面白いことやりますよーって。

中大:それくらいならいいかもしれないけど、結局この(中大)だめライフの活動は映像映えするようなことはやってないから、交流だから、ちょっとそこは東大だめライフとかに譲るとして……。

多摩美:一応美術大学なんでそういう写真とか動画とか撮ってやれることあったら考えてみます。あとインスタもね。インスタやる人がだめライフ……。

オブザーバー:できうる限りのSNSを導入した方が、できることはやったほうがいいんじゃないかって。インスタも、tiktokはわかんないですけど、若い人ってもうTwitterなんて見てるのかな。できる限り間口を広げないと。

東大:インスタのリールとかでうまいこと短時間動画を作ってやったほうが見る人は増えると思う。

筑波:きわめて原始的な手段として、車にスピーカーを載せるという一手があります。(一同笑い)

中大:右翼みたいなことするなぁ(笑)。

東大:だめライフ音頭でも作って流しましょう。

中大:東京音頭のパクリで……アーラヨイヨイみたいな。

筑波:私はそれをやろうと思ってて、筑波大学は今年開学50周年なんですよ。記念式典とかいうビッグ・イベントがあるらしくて、そこに独裁学長をのさばらせてるわけにはいかないんで、公道使用許可を取って、「永田―やめろー」みたいな叫べたらいいなと思います。

オブザーバー:結構度胸あるんですね。

中大:褒め殺し演説とかいいかもしれない。

オブザーバー・筑波:あーーーー。

オブザーバー:褒め殺しって伝わらないんだよな。ほんとに信じちゃう。だから直接言った方がいいのかもしれない。

中大:ユーモアが通じない。

オブザーバー:面白主義は駄目なのかもしれない。

中大:外山的にも面白主義の時代じゃないって言ってるわけで、もう血なまぐさい暴力の支配する世界になるんじゃないかみたいなね。

東大:面白主義も暴力も両方使ってったらいいんですよ。

中大:面白暴力(笑)。

(一同爆笑)

中大:笑いながら殴っていく(笑)鍋で殴っていくみたいな(笑)喰えや!って(笑)楽しく殴っていこう、楽しく殺そうみたいな(笑)それは新しい発想だね。

だめライフと交流路線


中大:それは置いといて、だめライフの話に戻しますけど、各だめライフ統一してなにかやれみたいなのはだめライフの性質上ないですけど、やっぱり元がだめ連なので、交流してほしいと思うんですよね。だから他のだめライフの人たちも葉桜とかカレーの会みたいな交流路線是非やってほしいなと思うんですよね。どうですか?

多摩美:多摩美だとみんなで絵描こうとか似顔絵大会みたいなのできるかな。

中大:東大は交流路線は。

東大:交流路線は釣り大会とかでやってるんですけど、それとは別に交流メインの交流会とかはやりたいですね。

中大:筑波はどうですか。

筑波:交流っていっても、大学が1つしかないんで、って思って今日来ました。

中大:筑波って学生何人くらいいるんですか。

筑波:大体1万人……。

東大:1万人もいたら、10人は集められるんじゃないですか。

多摩美:筑波内での交流を優先的に。

中大:筑波の中でだめライフの知名度全然ないと思うんですよね。

筑波:ないですね。

中大:ビラとかもやってないですよね。

筑波:やってないですね。

中大:だめライフの課題として、僕が代表面するつもりはないですけど、作るのはいいんだけど、それこそ外山合宿出身者がアナキズム研究会を形だけ作るみたいなのと似てて、確かに形だけ作るのもそれはそれで意味があるんだけど、だめライフは確か17、8くらいあって、実際はほとんど作っただけで動かしただけとかツイートしてるだけみたいなのが大半なんですけど、でもあるだけで「最近大学生の間でだめライフが流行ってる」みたいなツイートも出たりするんで、それだけで実体よりも大きく見せることができるっていう点で、確かに大事だと思うんだけど、でも中身も欲しいなっていうのがあって、だから是非だめライフのみなさんにはもっと活動的に、中身も持ったことをやってほしいなって思いますね。

だめライフを始めた理由


中大:聞いてなかったけど改めてみなさんがだめライフをなんで始めようと思ったのか訊きたいですね。

オブザーバー:就活みたいですね。

中大:僕も後で語りますけど、東大とかどうですか、最初の方に始めたじゃないですか。東海大とか九大の次くらいに始めたじゃないですか。

東大:実は中大のだめライフが始まる前に、アナキズム研究会っていうアカウントを作って活動しようと思ってたんですけど、堅いしイマイチやる気が起こらなかったんですけど、そこにだめライフが現れて「だめライフだ」と思って始めました。

中大:東海大は。

東海:メンバー2人なんで、主宰者の代弁をさせていただくと、中央のだめライフに感銘を受けて始められたわけですが、波に乗ってるからやってるって感じなので、なにか目的があって、「始めたい」と思ってやってるわけじゃないっていうのが正直なところです。

オブザーバー:乗っかっただけ。活動がなにかしらしたくて名前とか口実としてだめライフ……。

東海:場を作るっていう目的は多分あると思います。僕は場を作りたいっていう目的はあるし、それが目的として入ってるので、それが理由になってる。大学当局と闘ってやろうとかは別にないです僕は。ただ場を作りたいっていうだけですね。

中大:その場っていうのは、知らない人同士が集まれるような公共的な。

東海:大学という空間につまらなさを覚えている人が少しでも集まれる場を作れればいいなと。

中大:その辺でなんか微妙に各大学に色が出てて面白いな。

オブザーバー:正直一番共感しますね。やっぱり、僕は大学ってところに縛られてないんで、街を歩いてて、トー横キッズとか象徴的なんですけど、家と商業的都市空間以外行く場所がないんですよね。そこで金を使って一休みしたければスタバかカフェ入って場所代払って、カネを絶対介在しないといけない商業的空間かもしくは自分の労働の再生産する家って空間しかない。もう社会ってものがないですよね。サッチャーの言葉思い出したんですけど、社会というのは存在しなくて男と女と家族があるだけなんだって、プラス商業的都市空間、その間の全く家族と関係ない個人が集まる公共空間がなくて、だから僕もそういう空間を作りたいですね。だからスクウォットっていうのに興味あるんですけど、使ってない商業空間を占拠して、そこを解放区に、作るみたいな。

東大:アジール──権力が排除された中間的な空間──ってものがなくなってしまった。市場(しじょう)じゃなくて市場(いちば)とか寺とかの境内だとか、あるいはキャンパスだとかっていうのはアジールとして存在していたわけで、現代に新たに生成されたアジールがトー横なんですよ。グリ下とか。結局資本主義ってのは公共空間を飲み込んでいくときにはみ出し者とされる人たちは公共空間から締め出されてそういうところに流れ着くしかないんですよね。

オブザーバー:単純に飽きないのかなって思うんですよね。家と都市空間の移動だけで終わる生活が。京都から来た女の子が、新宿を見て「何もないよね」って言ったんですよ。京都は自然もあって川もあって都市もあって全部あるんですよね。今日はこっちの気分であっち行って、今日は鴨川でも行ってみたいなローテーションをしたいんですよ生活としては。

東大:今日多摩センターから来た時に思ったんですけど、多摩センターってなんでもあるじゃないですか。でもめちゃくちゃつまんないなって多摩センターと南大沢を見る時に思うんですよね。たとえば公共性の議論で都市開発とかそういう話になるんですけど、多摩センターとか南大沢みたいな設計されたベッドタウンってめちゃくちゃつまんないですよね。めちゃくちゃ便利ではあるんだけどめちゃくちゃつまんない。

オブザーバー:全然話が別種の方向に行っちゃって……。

ーーー多摩美だめライフ、帰宅ーーー 

多摩美だめライフにだめライフを始めた訳を訊けず!中大だめライフも始めた訳を話せず!

それぞれの思うだめライフとは


中大:とりあえずこの対談を締めないといけない……まだちょっと時間あるので。やっぱり聞いておきたいのは、みなさんが思うだめライフとはっていう。だめライフとはなんですか?

東大:無価値っていうものを、無条件で肯定できる社会を作るのがだめライフですね。人間ってカネによって、性的魅力によって測られたりするわけじゃないですか。そこで無価値と判断される人間にも居場所を与えるべきであって、少なくともそれを提供できるのがだめライフでありたいなと。

筑波:長々と言ってもあれなので何語かにまとめると、「無気力」「怠惰」「何もしない」「迷惑」この4語でございます。

東海:僕はサブカル性というところがポイントかなというか、実践したいなと思うところで、享楽的であれば何でもいいと思うんですが、何かの文脈付けのなかで行われることが大事だと思うし、その上でサブカルっていう反骨精神っていうもの、就活とかいわゆる大人が望む道っていうものから逸れた生き方みたいなものにだめライフを見い出してますね。

中大:僕の思うだめライフってのは、一言で言うと自由ですね。自由を求める運動がだめライフだと思ってるんですね。だめって言葉で誤解されることがあるんですけど、それこそ、何もしないとかっていうのの批判みたいになっちゃうんだけど、そういう分かりやすい意味でのだめ、無気力とか怠惰とかそういう意味で捉えられることが多くて、でも中大だめライフはそうではなくて、あえて言うんだったら、「積極的能動的だめ」をやるっていうことで、そのだめっていうのは、葉桜を見る会にしてもフリマにしても、それはやっぱり大学の中の常識では、良いか悪いかで言ったら悪いんですよね。特にフリマはそうですけどね。葉桜も誰もやらないっていう意味ではだめというか逸脱と言ってもいいと思うんですけど、そういうだめとされている活動をあえてやるってことがだめライフであり、それはイコール自由を求める運動であるという風に思ってますね。だから自由を求める運動がだめライフですね。

おわりに


中大:それぞれだめライフの意味が色々あると思うんですけど、それが分かって、今回は面白い対談になったと思います。途中から1人抜けちゃったんで(多摩美だめライフ)あれですけど、みなさん来てくださってどうもありがとうございました。








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