ドラッグディーラーのルームメイトがリアルにブレイキングバッドを目指そうとして私のモラルが崩壊した。
私のエッセイやエッセイ漫画を読んでくれていた人はご存知だと思うが、米国在住時にハウスシェアしていた奴がドラッグディーラーや中毒者だったの。
彼らとの出会いが私の人生観……というか生死感を変えたと言っても過言ではない。(ちなみにエッセイ漫画の方は表現をゆるく、内容も多少ミックスしてあります。全てをここで語ることは憚れますのでご了承ください)
なんども逮捕されながらもめげずに売り捌いていた彼だったが、ジャンキーどもに夜中叩き起こされて寝不足になり、ストレスフルで頭がいつも以上におかしくなってきた彼は、下記のようなことを言い出した。
「俺さ、化学取ろう思うんだ」
ウィードは電気代もかかるし、大変だし、売れても安いから、自分で最高のMETHを作ってビリオネアになる。「麻薬王に俺はなる!」とか言い出し、リアルブレイキングバッドを目指し始めた。(この時期、BrBaのせいか、真面目に化学を取りたいと言い出したジャンキーが多かった気がする)
今は付き合いもないのでどうしているか知らないが、数学どころか算数も不得意だった彼なので化学をマスターなんて到底無理だろう。(私だって無理だった)
彼は今も多分、彼自身を貫いているんだと思う。付き合いはもうないからどこでなにしてるか知らんけど。とにかく嵐のようなやつだった。
こういう不真面目軽犯罪常習人間に囲まれていると、ふと、真面目に生きてるのがバカらしく思える時がくる。
「私はこんなに真面目にやってるのに、こいつらよりいい暮らしをしていない。いい扱いを受けていない! こいつらは犯罪者なのに毎日楽しそうだ。犯罪者なのに友にも親にも愛されて! ……わたしだって! ……これくらいはいいか。よし、このくらいならいいや、あいつらより悪いことはしてないぞ! このくらい……このくらい……」
といった感じで、心の弱い私はどんどん見せかけの正義のベールを脱ぎはじめた。
でも、結局、それって自分じゃあない。
他人と比べて「ずるいことをしているあいつのほうがいい思いをしている。それが許せない」という、嫉妬でやけになっているだけだ。
そして、そうして彼らと同じ土俵に立ったとしても、ただの妬み嫉みでは純粋無垢
な犯罪者(←)である彼らには勝てない。なぜなら、それが彼らの素で、人と比べて自分の行動を変えているわけじゃないから。誰が損してるとか得をしてるとか考えない。彼らは自分がしたいことをしているだけ。
私は良くも悪くも普通の根は真面目な人間で、道から小さくは外れることができても、大きく外れることができない人間だった。(まだ、失うもの持ってたからな)
純粋な悪人に、真面目に生きろっていってもできるはずもなく、純粋な善人に悪いことをしろっていってもできるはずもなく……
結局、自分は自分にしかなれない。
「善人は早死にする」と言われるけど、悪人と同じようにはできないんだから仕方ないんだよ。
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